「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

この国と原発:第2部・司法の限界/5 国内初の本格訴訟<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
この国と原発:第2部・司法の限界/5 国内初の本格訴訟
毎日新聞 2011年09月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20110921ddm002040021000c.html
▼全文転載

 ◇「後世のため資料を」

 「ばかにするな」という憤り。「やっぱりな」という諦め。00年12月、松山地裁伊方原発2号機訴訟 の原告、近藤誠さん(64)=愛媛県八幡浜市=は、全面敗訴の判決をそんな思いで聞いた。判決は新たに分かった活断層の存在を理由に「当初の安全審査は結 果的に誤り」としつつも、「重大事故が起きる可能性が高いとは言えない」と請求を退けた。弁護士を付けず、33人の住民のみで提訴してから22年半。原告 は21人に減っていた。

 近藤さんらが「手本」にした訴訟がある。73年8月、住民35人が伊方原発1号機の設置許可取り消しを求め、松山地裁に起こした国内初の本格的な原発訴訟だ。

 60年代後半。伊方町での原発建設計画が表面化し、住民らはビラまきやデモなどの抗議行動を展開した。逮捕者や 土地契約を巡る自殺者まで出た。そんな中、国は72年11月に1号機の設置を許可。「実力行使の限界」を感じた住民たちは、反原発運動の理論的支柱として 活動していた核化学者、久米三四郎・大阪大講師(故人)に相談を持ちかけ、複数の冤罪(えんざい)事件に関わった大阪弁護士会の藤田一良弁護士(82)を 紹介された。

 住民と藤田弁護士らの共闘で始まった訴訟。当時、原発の安全審査はブラックボックスと言えた。「訴訟で国から資料を引き出せば、後々につながると考えた」。藤田弁護士は前例がなかった国との闘争の意義を語る。

 準備書面や証人尋問調書など膨大な裁判資料は現在、立教大共生社会研究センター(東京都豊島区)で閲覧できる。

 科学や法律の知識に乏しい住民たちには、未知の裁判で展開された双方の主張が、どこか地に足のつかない ものに見えた。原告の漁業、谷本功さん(66)=八幡浜市=は「実際に事故が起きておらず、(危険性を)証明するものがなかった」と振り返る。論争は、事 故が「起きる」「起きない」の水掛け論のようにも映った。

 1号機訴訟は92年10月、最高裁で住民側敗訴が確定。「審査に重大な誤りがあった場合は設置許可を違 法とできる」との初判断が示された。「裁判所は原発の安全性ではなく、審査手続きの合理性のみを審理する」という趣旨だった。藤田弁護士は「司法とは何な のか、つくづく考えた」と振り返る。

 2号機訴訟の1審敗訴後、近藤さんらは控訴を見送った。1号機訴訟を見て、法廷は国と理論的に対決でき る場だとは感じたが、裁判所に住民側の訴えを理解しようという姿勢が感じられなかった。「裁判外の運動で原発を止める」。そう決意した。今も原発反対派市 民団体の事務局として活動を続けている。

 控訴断念から10年余り。危惧していた原発事故が起きた。「間に合わなかった」。危険性を訴え続けてきた近藤さんは唇をかんだ。=つづく

==============

 ■ことば
 四国電力伊方原発愛媛県伊方町
 77〜94年、加圧水型軽水炉の1〜3号機の運転を開始。国内では唯一、内海に面した原発でもある。1、3号機は現在、定期検査のため運転を停止している。

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/

この国と原発:第2部・司法の限界/6止 訴訟どう変わる<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
この国と原発:第2部・司法の限界/6止 訴訟どう変わる
毎日新聞 2011年09月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20110922ddm002040081000c.html
▼全文転載

 ◇判断厳格化は必至

 「実際の原発事故を目の当たりにすると、認識は甘かったと思う」。高浜原発訴訟の1審で裁判長を務め、93年12月の判決で原告の運転差し止め請求を棄却した海保寛弁護士(74)は、テレビに映し出された福島第1原発事故の光景に言葉を失ったという。

 当時は、海外の原発事故の書籍を読みあさって訴訟に没頭した。「老朽化の激しい蒸気発生器の細管が破断 すれば、炉心が溶けて放射能被害が出る危険が大きい」とする原告側の主張に対し、判決では「細管破断が炉心溶融(メルトダウン)に至る危険性があるとは認 め難い」とした。

 福島第1原発1号機では東日本大震災発生からわずか16時間で、炉心の核燃料の大部分が溶融したとみら れている。高浜原発訴訟で争われた内容とは異質だが、海保弁護士は「原発事故の影響の大きさは観念的には分かっていたが……。原発がここまでもろいとは思 わなかった」と衝撃を隠さない。

 原発訴訟に関わった法曹関係者の間では、福島事故が今後の原発訴訟に変化をもたらすとみる人が多い。

 福島第2原発3号機訴訟の2審(原告敗訴)で裁判長を務めた鬼頭季郎弁護士(70)は「原発の安全運転に関する行政の基準が厳しくなるのに伴い、 司法判断も厳格になっていくのは間違いないだろう」と推測する。女川原発訴訟の1審(同)に関わった塚原朋一弁護士(66)は「『1000年に1度の巨大 津波』をどう想定に織り込んでいくのか。今後、審理はますます難しくなる」とみている。

 原発訴訟に的確に対応できるよう、工夫を求める声もある。

 専門性が高いとされる税金や知的財産に関する訴訟では、関係省庁から一時的に裁判所に籍を移し、裁判官をサポートする「調査官」が活躍する。福島第2原発1号機訴訟の2審(同)に関わった木原幹郎弁護士(72)は「原発専門の調査官を設けてもよいのではないか」と話す。

 裁判官の大半は法学部出身。女川原発訴訟1審判決で陪席裁判官を務めた六車明・慶応大法科大学院教授(59)=環境法=は「理系出身者がもっと裁判官になってもいい」と指摘する。「裁判官の研修でも、原発問題を学ぶ機会を設けてはどうか」と提案した。

 最高裁によると、大震災以降に起こされた原発関連訴訟は少なくとも20件に上る。訴訟に携わってきた原告側の関係者は、今こそ司法が原発に厳しい目を向けるべきだと期待を込める。

 福島第2原発1号機訴訟の原告で、今も避難生活を強いられている早川篤雄さん(71)は「本当は司法の責任を果たせなかった裁判所を訴えたいくらい」と言いつつも、「憲法の番人としての本来の役割に目覚め、国民の命を守ってほしい」と望む。

 志賀原発2号機訴訟の1審で住民側を勝訴に導いた元弁護団長の岩淵正明弁護士(61)も訴える。「福島の状況を見ても『想定外だから仕方がない』というのか、『想定外でもあってはならないことだ』というのか。裁判所は被害を直視しなければならない」=おわり

      ◇

 この連載は伊藤一郎、和田武士、野口由紀、篠原成行が担当しました。

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html
毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/



☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

この国と原発:第3部・過小評価体質/1 黙殺された確率評価<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
この国と原発:第3部・過小評価体質/1 黙殺された確率評価
毎日新聞 2011年10月28日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20111028ddm001040031000c.html
▼全文転載

 ◇「津波リスク、交通事故死以上」 「寝た子起こすな」

 「津波の評価を行う際、想定外を考慮することが重要」との書き出しで始まる英文の報告がある。東京電力 の原子力部門の技術者らが、06年7月に米国であった原子力工学の国際会議で発表した内容で全7ページ。福島第1原発の津波リスクが試算され、結果を示す 図には、想定外の津波に襲われる確率が年5000分の1程度であることを示す曲線が描かれていた。日常生活に当てはめると、交通事故で死亡するリスク(年 1万分の1程度)より高い確率だ。

 原発のリスク評価が専門の平野光将・東京都市大特任教授は「想定をわずかに上回る津波でも、(最終的に 原子炉の熱を除去する)海水系が壊れれば、シビアアクシデント(過酷事故)に至る可能性がある。対策をしなかったのは、安全文化の欠如によるサボタージュ ではないか。これでは『想定外』の事故とはいえない」と指摘する。

 技術者たちは、明治三陸地震(1896年)など大津波を起こした地震に加え、明治三陸規模の地震が福島県沖で起きた場合なども組み合わせ、確率論的安全評価(PSA)と呼ばれる手法で試算した。

 対策に生かさなかった理由を、東電は社内の事故調査委員会に「試行的な解析の域を出ていない」などと説明した。だが、PSAに詳しい蛯沢勝三・原子力安全基盤機構総括参事は「当時の範囲では最適の方法と判断していい」と解説する。

 大地震などによる想定外の事故のリスクが数字で明確に表されるPSA。06年に改定された国の原発耐震 設計審査指針の審議では、導入が検討されたが、見送られた。改定を検討した内閣府原子力安全委員会の分科会委員だった入倉孝次郎・京都大名誉教授は「指針 でPSAを決めなかったため、過酷事故の確率が表ざたにならなかったという問題はあると思う」と話す。

 なぜ、導入されなかったのか。分科会委員でPSA義務化を求めていた大竹政和・東北大名誉教授は、経済 産業省原子力安全・保安院の知人からこう聞かされたという。「指針を近代的なものにしなければならないが、寝た子を起こすことになってしまったら、あぶは ち取らずだから」

 大竹名誉教授は解説する。「(国や電力会社は)原子力は安全だと言ってきたのに、リスクがあるというこ とになるとやりにくい。リスクに光を当てることは『禁忌』だった。保安院が規制と原子力行政を進めるには、電力業界の支援なしにはできない。電力には経産 省OBも天下り、先輩がいる会社に大きなことは言えない」=つづく

    ◇

 原発事故はなぜ防げなかったのか。国の安全審査や電力会社の対策に潜む「過小評価体質」を追う。

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html
毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/

「殺人ダニ」感染症に日本パニック 実は何百年も昔からあった病気<J-CASTニュース>

J-CASTニュース
ホーム>http://www.j-cast.com/
「殺人ダニ」感染症に日本パニック 実は何百年も昔からあった病気
2013/2/20 19:47
http://www.j-cast.com/2013/02/20166215.html?p=1
▼全文転載

新たに発見された感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が、日本列島を騒がせている。媒介するのは日本中どこにでもいるようなマダニ、しかも致死率は10%を超える。2013年2月19日には広島県で4人目の死者が確認された。

「恐怖『殺人ダニ』感染症で4人目の死者」(サンケイスポーツ
「殺人ダニ国内初確認『SFTSウイルス』死者4人の脅威」(ミヤネ屋)
「殺人ダニ 国内感染拡大」(朝ズバッ!)
「日本で4人目マダニ"感染死"」(news every.)

ホラー映画さながらの見出しで、メディアも恐怖をあおり立てる。ところが、専門家は意外と淡々とした反応だ。どうやらこの騒動は、いささか勇み足気味らしい。
防ぐには、とにかく肌の露出を減らす

SFTSウイルスは2011年、中国で発生した原因不明の疾患を調査する中で発見された「新しい感染症」だ。媒介するのは屋外に生息するダニの一種「マダニ」で、日本全国の野山を始め、都会などにも普通に出没する。

ウイルスに感染したこのマダニにかまれることで発症し、発熱のほか、食欲低下や嘔吐(おうと)、下痢・腹痛などといった症状、さらには頭痛や 筋肉痛、意識障害やけいれんなども引き起こすこともある。最悪の場合、死に至る可能性もあるのは前述の通り。現時点ではワクチン、また「特効薬」も存在し ないため、防ぐには、とにかく肌の露出を減らすなどして「かまれない」よう気をつけるしかない。

国内では2013年1月30日、12年秋に死亡した山口県の女性が、最初のSFTSによる死者として確認された。その後も愛媛県、宮崎県、広島県在住の計4人が、SFTSによる死亡例として報告されている。

これを聞くと、「殺人ダニがやってきた!」とパニックになるかもしれない。しかし、国立感染症研究所のウイルス1部部長・西條政幸氏によれば、STFSは、

「100年、それどころか1000年単位の昔から日本にあった病気だと思われます。少なくともここ最近、あるいは戦後といった時期に来たものではありません」

という。

(続く)
今まで原因不明として扱われていた

報道だけを見ていると、まさに今「殺人ダニ」のせいで死者が急増している、というような気がしてしまうが、実際には今回確認された死者はいず れも2012年夏〜秋と少し前の話だ。「新型ウイルス」が突如として日本に襲い掛かってきた――というよりは、今まで原因不明として扱われていた症状の正 体に、ようやく光が当たったというべきところらしい。病気自体の発生件数としても、

「あくまで比較論ですが、インフルエンザやノロウイルスのような多くの人が感染する病気と比べれば、極めて少ない」

と西條氏は話す。

「むしろ今回の発見で、今まで診断がつかなかった患者さんの状態がわかるようになった。これからの感染症対策には重要な発見です」

もちろん厄介な病気であることは間違いなく、対策をとることは重要だ。一方で西條氏は、

「『危ない』と言って過剰に、たとえば山などに出かけるのを取り止めるというのは行き過ぎです。涼しい時期には長袖を着るなど、『今までどおり』の対応で十分だと思います」

と、「殺人ダニ」におびえすぎないよう注意を促した。

J-CASTニュース ホーム>http://www.j-cast.com/


☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

原発事故で自殺酪農家遺族提訴へ 東電に賠償請求<河北新報>

河北新報
トップ >http://www.kahoku.co.jp/
原発事故で自殺酪農家遺族提訴へ 東電に賠償請求
2013年02月20日水曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/02/2013022001002134.htm
▼全文転載

写真 URL
http://www.kahoku.co.jp/img/20130220/2013022001002138.jpg
 東京電力福島第1原発事故の後、将来を悲観して自殺した福島県相馬市の酪農業菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサ・アボルドさんと息子2人が20 日、東京都内で記者会見し、東電に約1億1千万円の損害賠償を求める訴訟を起こすと明らかにした。3月中旬にも東京地裁に提訴する。
 菅野さんは事故後、放射性物質の影響で原乳の出荷を停止し、乳牛を手放した。フィリピン国籍のバネッサさんが子どもたちと一時帰国中の2011年6月10日に牧場内の小屋で自殺。壁に「原発さえなければ。仕事をする気力をなくしました」と書き残していた。

東北電、議員社員の厚遇廃止 東北と新潟の14市議対象<朝日新聞>

朝日新聞
ホーム>http://www.asahi.com/
東北電、議員社員の厚遇廃止 東北と新潟の14市議対象
2013年2月18日
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201302180047.html
▼全文転載

 東北電力は、現役社員の市議会議員に対し議員活動で仕事を休んでも給与を支払ってきた特例を、3月末で廃止することで労働組合と合意した。

 東北電は家庭向け電気料金を7月から11・41%値上げする計画を国に申請しており、コスト削減の姿勢をみせる狙いがある。

 対象は東北6県と新潟県の14市の市議14人。1カ月に7日間を上限に、議員活動による欠勤日の分も給与を支払ってきた。こうした給与は電気料金の算定のもとになる原価に含まれる。家庭や企業など電気の利用者の料金負担が、こうした厚遇を支えてきた。

 このような社員議員への厚遇については、先に値上げを申請した関西電力や九州電力も見直しを進めている。

関連記事

東北電、11%値上げ申請 家庭向け、被災地も対象(2/14)
http://www.asahi.com/business/update/0214/TKY201302140050.html?ref=reca
電力各社、「社員議員」の給与見直し 料金値上げ前に写真付き記事(12/23)
http://www.asahi.com/business/update/1223/OSK201212220177.html?ref=reca
東北電、13年度からの値上げ表明 被災地も対象(11/30)
http://www.asahi.com/business/update/1130/TKY201211300412.html?ref=reca

原発9社に社員兼議員99人 91人は電気料金から給与写真付き記事(11/25)
http://www.asahi.com/politics/update/1125/OSK201211240192.html?ref=reca
▼全文転載

図URL
http://www.asahi.com/politics/gallery_e/view_photo.html?politics-pg/1125/OSK201211240193.jpg

 【大谷聡、白木琢歩、大高敦】原発を持つ全国の電力会社9社に、現役社員のまま地方議員になっている「社員議員」が99人いることが朝日新聞の取材でわ かった。うち91人は議員報酬とは別に会社から給与を受け、さらに関西電力や東北電力など6社の52人は議会活動で会社を休んでも有給となる「特例」を受 けていた。議員への給与は電気料金に含まれており、市民が活動を支える構図になっている。

 電力会社の社員議員の多くは、地元議会で「脱原発」の意見書に反対したり、地域で原子力の勉強会を開いたりするなど、原発を推進する会社の方針に沿った活動をしている。労働組合に推されて立候補するケースがほとんどで、議員は労組側からも政治献金を受けている。

 朝日新聞が原発を持たない沖縄電力をのぞく電力10社と各労組に取材した。議員99人にも取材を申し入れ、93人から回答を得た。

朝日新聞 ホーム>http://www.asahi.com/


☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

原発:電力会社など、県技術委3人に研究費や寄付 知事、問題にせず /新潟<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
原発:電力会社など、県技術委3人に研究費や寄付 知事、問題にせず /新潟
毎日新聞 2013年02月07日 地方版
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130207ddlk15010024000c.html
▼全文転載

 原発の安全管理について議論している県技術委員会の委員16人のうち3人が、電力会社などから寄付金や共同研究費を受け取っていたことが、県がホームページで公開した各委員の自己申告書で分かった。これに対し、泉田裕彦知事は6日の記者会見で「共同研究自体を否定すると、現場に詳しい人を排除することになる。望ましい議論ができるのかということになる」と述べ、現状では問題はないとの見方を示した。

 委員のうち、東北大大学院教授は、日本原子力研究開発機構から12年度に約170万円の共同研究費を、 日本原子力発電と原子炉施設の設計などをする「日立GEニュークリア・エナジー」から09〜12年度で計240万円の寄付を受けた。京都大名誉教授は関西 電力などから06〜12年に寄付金を受け取り、12年の寄付額は計70万円だった。新潟大教授は、主に電力各社の給付金で運営されている一般財団法人「電 力中央研究所」から10〜12年度に共同研究費として計335万円を受けた。

 下部組織の小委員会で関西電力から共同研究費を受けた委員も1人いた。東京電力から研究費や寄付金を受けた委員はいなかった。

 委員は3月末で任期が切れるため、県は新委員(再任を含む)を選定中。泉田知事は専門家が減少傾向にあることを指摘し「程度問題はあるが、1円でももらったからアウトというわけではない」としている。【宮地佳那子】


★関連記事
毎日新聞
特集ワイド:規制委の3人に1人、原発事業者から「資金提供」 「公正な判断」に懸念
毎日新聞 2013年01月25日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20130125dde012010003000c.html
▼全文転載

 原発の規制ルールづくりに携わる専門家が電力会社や原発メーカーから受け取った資金の内容を、原子力規制委員会が公開し始めた。旧原子力安全・保 安院時代にはなかった画期的な試みだが、専門家の3人に1人、チームによっては半数以上が資金提供されていた。果たして独立性や公正さへの影響はないの か。【柏崎通信部・高木昭午】
 ◇審議への参加制限なし

 福島第1原発事故を検証した国会事故調査委員会は「規制当局は電気事業者の虜(とりこ)だった」と指摘 した。専門家への資金提供の公開はこれを受けての措置だ。規制委事務局の原子力規制庁は「公開内容を照らし合わせることで、その委員の意見を割り引いて聞 くこともできるようにした」と言う。

 現在、規制委は外部専門家を招いた検討チームを12設けている。公開対象はうち8チーム、専門家延べ 49人だ。(1)最近3年間に電力会社や原子力関連企業に勤務したか(2)各社から年50万円以上の報酬を受けたか(額は非公表)(3)研究室などへの寄 付や共同研究費をどこから、いくら受けたか−−について自己申告した結果を規制委のホームページに掲載している。

 (1)〜(3)のいずれかに該当すると回答した専門家は49人中16人。1人当たりの金額は(2)(3)合計で最低30万円、最高2864万円(さらに非公表の報酬がある)。金額非公表の研究費なども3件ある。

 資金受領者の割合が最も高いのは「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」で、6人中4人 が「提供あり」。金額が最も多い山本章夫・名古屋大教授(原子炉物理学)は09〜12年度にかけ、原子燃料工業など各社から寄付金や共同研究費計2714 万円を受けたほか、共同研究1件と個人報酬150万円以上(ともに金額非公表)がある。山口彰・大阪大教授(品質保証)は09〜11年度に三菱重工業など から664万円を寄付され研究費に使った。さらに09〜10年度、東芝電力システムと計346万円の共同研究を実施。額は不明だが原子力エンジニアリング から個人報酬も受けている。

 規制庁の担当者は「人選は事務局が規制委員と相談して決めた。原子炉の安全の中核部分を議論するチームなので原子力と関わりのない専門家は少ない。結果的に『提供あり』が多くなった」と話す。

 なお田中俊一委員長以下5人の規制委員は全員、(1)〜(3)のいずれも「なし」を条件に選任されている。

    ■

 資金提供が専門家の意見にどう影響しているかははっきりしない。だが、気になるケースはある。

 「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム」。規制委員長代理の 島崎邦彦座長(元日本地震学会会長)と外部専門家11人が、活断層の真上への原発建設について激論中だ。禁止、容認の両論があり、事務局が出す規制原案は 繰り返し修正されてきた。揺れによる被害より、地盤がずれて建物を直接引き裂く恐れが問題になっている。チームがつくる新基準は既存原発にも適用され、決 着次第で廃炉の原発も出かねない。

 7回目となった22日の会合に「原子炉建屋は活断層上への建設を想定しないが、その他は安全上重要な建 物・構築物(耐震Sクラス)でも条件次第で認める」との趣旨の事務局原案が出た。関西電力大飯原発では、耐震Sクラスである「非常用取水路」の下に活断層 があるのかどうかが問題になっている。22日の原案が正式基準となれば、活断層と判断されても運転を続けられる可能性が出てくる。

 外部専門家の一人、谷和夫・防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター契約研究員(地盤工学)は「海 外では重要なダムでも断層変位(ずれ)を考慮した設計がされている。新幹線やリニアモーターカーも断層に対処する技術が開発されている」と原案を支持し た。さらに「断層の活動性がないことの確認は実務的に大変」と指摘。規制対象を「活動性が認められる場合」に限るよう主張した。

 これに「無責任だ」と反発したのは和田章・東工大名誉教授(建築構造学)。「半径30キロの住民が何年 も帰れないものと(新幹線などを)同じ(扱い)にしてはいけない」と言い、条件次第での容認を意味する文章を削除すべきだと訴えた。谷氏は「無責任なこと を言っているつもりはない」と応じたが和田氏は譲らなかった。

 谷氏は昨年12月17日の会合でも、耐震Sクラスの建物・構築物について「長さ数キロに及ぶ断層上への 建設は禁じるが、小さい断層なら個別に判断する」との趣旨のメモを提出。当時は「建設禁止」としていた事務局原案の条件付き緩和を唱えた。「何らかの方法 でクリアできるなら建設を認めるべきだ」と擁護したのは平石哲也・京都大防災研究所教授。これに対し島崎座長は「断層がどれだけずれるかの予測は難しい」 と「禁止」の原案を支持。和田名誉教授らも賛同していた。

 谷氏は電力9社の寄付でつくられた財団法人電力中央研究所の元職員。横浜国立大教授だった10、11年 度に同研究所と研究費200万円の共同研究をしている。今年度以降も300万円の共同研究をする計画だったが、10月に防災科研に転任したために中断し た。平石教授も今年度、中部電力、東電、日立造船と30万円の共同研究を実施中だ。チームではこの他、中井正一・千葉大教授(都市防災工学)が08年度に 東電設計から45万円の寄付を受け、パソコンなどを購入している。

    ■

 資金提供が公正な判断をゆがめたり、その懸念が生じたりする状態は「利益相反」と呼ばれる。厚生労働省 薬事・食品衛生審議会の利益相反対策ルールでは、医薬品の承認審査の際、審査委員がその薬の製造・販売企業や競合企業から年50万円以上の寄付などを受け ていれば議決に加われず、500万円を超えると審議そのものに加われない。

 一方、原子力規制委では検討への参加制限はない。規制庁は「広範囲に意見を聞けるように」と説明する が、その背景には人材不足で外部専門家に頼らざるを得ない現状がある。田中委員長は昨年の会見で「安全規制に必要な知識や人は幅広く高いレベル。(確保 に)時間がかかる」と語っている。

 防災科研に谷氏への取材を申し込んだが「安全基準の検討のめどがつくまでは応じられない」とのことだった。活断層上の建設容認に賛成した外部専門家は他にもいる。

 とはいえ、安全性の判断は価値観にもよる。判断が公正であるのはもちろん、「公正に見える」ことも重要 だ。金子勝・慶応大教授(元原子力委員会新大綱策定会議委員)は「5人の規制委員に原子炉本体の専門知識はなく、仮に利益相反のある外部専門家が甘い基準 をつくっても覆せない。社会の信頼を得たいなら、そうした専門家は法律で排除すべきだ」と話す。「原子力村」と疑われないよう、やはり参加制限が必要では ないか。

==============
 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を

t.yukan@mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/

1カ月で地震1300回に「山上がり」箱根山噴火カウントダウン<日刊ゲンダイ>

日刊ゲンダイ
トップ >http://gendai.net/
1カ月で地震1300回に「山上がり」箱根山噴火カウントダウン
2013年2月15
http://gendai.net/articles/view/syakai/140981
▼全文転載

 温泉地として有名な箱根の山が不気味な動きだ。先月中旬から地震活動が活発化し、噴火寸前に見られる「山上がり」(山体膨張)も観測されている。神奈川 県温泉地学研究所によると、1月15日〜2月14日に起きた地震の総数は1300回以上。今月10日には、箱根のロープウエー駅で震度5の揺れが起き、 ネット上でも騒ぎになった。

「1月中旬から周辺地震の数が増え始め、その後は増えたり落ち着いたりを繰り返している状況です。10日にはM2.3の大規模地震が起こっています。群発 地震の増加は火山活動中の変化の可能性が高く、熱水や火山性ガスなどの流体の蓄積が原因と考えられます」(同研究所担当者)

 火山周辺では、01年、06年、08〜09年にも膨張が見られている。その上、噴気異常も起きていて、「いよいよカウントダウンか」という声が聞こえるのだ。

 箱根山が最後に噴火したのは、約3000年前。このときに大涌谷芦ノ湖ができたとされている。

 長い間休んでいた分、噴火時のパワーは大変なものになりそうだ。地殻変動解析を専門とする元前橋工科大教授の濱嶌良吉氏がこう言う。
「箱根山は富士山噴火の時より大規模な噴火を起こしています。このときは山の原形がなくなるほど崩れた。威力が強いのです」

<富士山にも飛び火!?>

 噴火活動が始まれば、まずは水蒸気爆発だ。箱根町火山防災マップによれば、火口から噴石や火山灰などが噴出するという。直径数センチから数十センチの石がコンクリートの天井に穴を開け、火山灰によって呼吸器や目がやられる。

 火山灰と空気が混じった「火砕サージ」も怖い。時速60キロ超のスピードで襲ってくるから逃げるのは困難だ。

 噴火手前の水蒸気爆発でもこれである。実際に噴火したら、もっと大変である。過去の噴火では、軽石の塊とガラス質の火山灰が約60キロ離れた横浜市南西 部まで達したという。「関東平野を覆っている関東ローム層は箱根山と富士山の噴火によるもの」(濱嶌氏)というから、東京も被災する恐れは強い。

 しかも、箱根山と富士山は“兄弟分”。箱根山がおかしくなれば、富士山も引っ張られる。

「富士山はすでに5合目まで亀裂が入ったことが分かっていて、いつ噴火してもおかしくありません。亀裂は富士山周辺にも及んでいて、その延長上に箱根山が ある。つまり、富士山と箱根山は地盤が続いているのです。一方が噴火すればもう一方も、となる危険性があります」(濱嶌氏)

 温泉でリフレッシュするなら今のうちか。

日刊ゲンダイ トップ >http://gendai.net/


☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

変形グラス・血染めの白衣…遺物が語る被爆写真展 長崎<朝日新聞>

朝日新聞
ホーム>http://www.asahi.com/
変形グラス・血染めの白衣…遺物が語る被爆写真展 長崎
2013年2月20日
http://www.asahi.com/national/update/0220/SEB201302200012.html?ref=com_rnavi_arank
▼全文転載

 「remains 遺物が語る原爆」と題した写真展が28日まで、長崎市南山手町の長崎南山手美術館で開かれている。被爆の爪痕が刻まれた遺物を通して、原爆の実相に迫っている。

 爆風で砕かれた聖人像、熱線を浴びて変形したグラス、文字盤が溶けた懐中時計、血に染まった白衣……。1945年8月9日に原爆に遭い、そのまま時が止まってしまったかのようだ。持ち主に代わり、あの日を静かに語っている。

 撮影したのは、朝日新聞福岡報道センターの溝越賢記者(45)と東京写真部の金川雄策カメラマン(31)。溝越記者は長崎出身、金川カメラマンは2005〜07年に長崎で勤務した。

写真
血に染まった白衣=長崎大医学部所蔵
http://www.asahi.com/national/gallery_e/view_photo.html?national-pg/0220/SEB201302200015.jpg
爆風で破壊された聖像の手首=浦上教会所蔵
http://www.asahi.com/national/gallery_e/view_photo.html?national-pg/0220/SEB201302200013.jpg
爆風で吹き飛んだ聖人像の頭部=浦上教会所蔵
http://www.asahi.com/national/gallery_e/view_photo.html?national-pg/0220/SEB201302200014.jpg
朝日新聞 ホーム>http://www.asahi.com/

環境省、水環境の放射能汚染ランキング-千葉県柏市の河川は2万2000ベクレルの汚染!

ベスト&ワースト
トップ>http://www.best-worst.net/
環境省、水環境の放射能汚染ランキング-千葉県柏市の河川は2万2000ベクレルの汚染!
 2013年2月17日 14:00
http://www.best-worst.net/news_avBnGF3eV6.html?right
▼全文転載

■公共用水域(河川、湖沼・水源地、沿岸)の放射能汚染
2013年2月7日、環境省は東京都、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の公共用水(河川、湖沼・水源地、沿岸)における放射性ヨウ素、放射性セシウムの調査結果を発表した。

調査地点MAP
図URL
http://www.best-worst.net/files/828/ba6b3a97cdb6bf7b19906262d10020cd.jpg
http://www.best-worst.net/files/456/7e3846b83d77d591554c030dc42b29bf.jpg


調査期間は2012年5月から9月。調査地点は各都県以下のようになっている。

宮城県 5地点(河川4、湖沼・水源地1)
福島県 43地点(河川14、湖沼・水源地20、沿岸9)
茨城県 5地点(河川2、湖沼・水源地3)
栃木県、群馬県 各2地点(河川1、湖沼・水源地1)
千葉県 4地点(河川2、湖沼・水源地2)
東京都 1地点(沿岸)

■福島県・水環境の放射能汚染ランキング
福島第一原発に近い福島県と他県を同列に評価するのは無理がある。

福島県は人が避難している地域の調査をしているのだ。ランキングは福島県と他県と分けて作成してみた。

まず、福島県で放射能汚染の酷かった水環境のワースト3は以下の地点となっている。

1位:福島県浪江町、請戸川室原橋(16万5000ベクレル/kg)
2位:福島県葛尾村、上野川(農業用ため池)(9万6000ベクレル/kg)
3位:福島県楢葉町、下繁岡(農業用ため池)(7万7000ベクレル/kg)

図URL
http://www.best-worst.net/files/656/151f6b51a12854782cdd360fa14ffc7f.jpg
http://www.best-worst.net/files/370/e3ad5fbd5433ad58481e234db525d898.jpg


ワースト3はやはり福島県が独占している結果となった。福島県浪江町は「警戒区域」、福島県楢葉町は「避難指定解除区域」である。

どの地域も福島第一原発から近い場所だ。

■福島県外では千葉県柏市の汚染が酷い!
福島県以外ではどうであろうか?

福島県外の水環境の放射能汚染ランキングは以下のようになる。ワースト3は以下の場所だ。

1位:千葉県柏市、大津川上沼橋(2万2000ベクレル/kg)
2位:千葉県柏市、大堀川北柏橋(1万2000ベクレル/kg)
3位:千葉県柏市・我孫子市、手賀沼根戸下(7600ベクレル/kg)
図URL
http://www.best-worst.net/files/548/778f7487125797886b285060000dce92.jpg


1位となった千葉県柏市、大津川上沼橋は前年データが無いが、2位の大堀川北柏橋は前年の9700ベクレルから1万2000ベクレルと放射性セシウム汚染が悪化している状況だ。

3位の千葉県柏市・我孫子市、手賀沼根戸下も前年の3300ベクレルから7600ベクレルと悪化。

放射性セシウムが河川や湖沼の低泥に蓄積していっているのではないかと思われる。

千葉県柏市の水環境放射能汚染レベルは福島県と並べてもそん色ない水準にあるようだ。

外部リンク
環境省 報道発表資料−公共用水域における放射性物質モニタリングの追加測定結果について(4月−9月採取分)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16286

ベスト&ワースト トップ>http://www.best-worst.net/


☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】 「円安で貿易赤字解消」は幻想だ

日刊ゲンダイ
トップ >http://gendai.net/
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
「円安で貿易赤字解消」は幻想だ
2013年2月22日
http://gendai.net/articles/view/syakai/141099
▼全文転載

暮らしに負担

1月の貿易赤字が単月として過去最大に膨らんだ。輸入額から輸出額を差し引いた貿易収支は1兆6294億円の赤字。麻生財務相は「このまま続くと日本にとって大きな問題なのは確か」と、7カ月連続の赤字に危機感を示していた。

 正月休みで生産が落ち込む1月は、もともと貿易収支が赤字になりやすい。これまでの最大の赤字額も、昨年1月の1兆4815億円だ。それにしても、今回は巨額である。

 一部では円安が進めば輸出が増えて貿易赤字が解消される、との期待もあるようだ。急ピッチの円高が日本製品の国際競争力を低下させた。円安になれば、価格面の不利が解消され、市場で存在感を示せる。そんな見通しもあるようだ。

 輸出が活発になれば、国内の輸出関連企業の業績が上向いて、国民所得も増え、経済は回復していく。そんなシナリオもささやかれているが、完全に幻想だ。

 円安がプラスに働くのは、安倍晋三首相の父・晋太郎氏がご存命だったころまで。すでに日本経済は円安がプラスに働く体質になっていない。

 失われた20年の間、日本企業はどんどん海外に展開した。生産は現地で行い、そこから第三国に輸出したり、日本に逆輸入したりするパターン。産業構造はかつてと様変わりしている。

 だとすれば、円安はプラスではない。むしろ国民の暮らしにはマイナスだ。

 ガソリン価格は毎週のように上昇しているし、小麦粉やチーズなど輸入に頼る食料品も軒並み上がる。牛や豚、鶏の飼料も輸入頼みだ。国内産の牛乳や肉も値 上がり。その上、来年4月になれば、消費税の負担増まで乗ってくる。ただでさえアップアップの国民は、暮らしていけない。

 さすがに安倍首相も、工業製品の輸出だけで景気が何とかなるとは思っていないらしい。産業競争力会議で、「農業を成長分野の産業として伸ばしたい」と話 したそうだ。それは結構なことである。地方には郷土色豊かな高品質の農産物がたくさんあり、どんどん輸出してもらいたい。TPP参入の地ならしだとして も、本腰を入れるのなら賛成だ。ただ、具体策はサッパリ見えない。

 経済が成熟した日本で、国民の暮らしを豊かにするには、かなりの知恵が必要だ。
【高橋乗宣】



日刊ゲンダイ
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
バブル後に始まる「失われた50年」
2013年2月15日
http://gendai.net/articles/view/syakai/140982
▼全文転載

GDP伸び率は右肩下り

内閣府が14日に発表したGDP速報値によると、2012年10―12月期は実質で前期比0.1%減、年率換算で0.4%減となった。マイナス成長は3四半期連続で、景気は弱含みの姿となっている。

 それでも最近の株価上昇もあり、危機感は和らいでいるようだ。日銀も13、14日に開いた金融政策決定会合で、景気判断を「弱めに推移している」から「下げ止まりつつある」に引き上げた。上方修正は2カ月連続である。

 ただ、GDPを前年同期比で見ると、成長率は右肩下がりだ。前期比の3連続マイナスは0.2%減(4―6月期)、1.0%減(7―9月期)、0.1%減 (10―12月期)とわずかな落ち込みに見えるが、この間の前年同期比は3.8%増(4―6月期)、0.4%増(7―9月期)、0.3%増(10―12月 期)である。伸び率はガクン、ガクンと落ちているのだ。
 個人消費は、より顕著である。10―12月期の前期比は0.4%のプラスとなったが、前年同期比で見ると4―6月期の3.1%増から1.3%増、 1.1%増と4半期ごとに勢いを失った。設備投資も、7.3%増、1.5%増、8.7%減とつるべ落としだ。前期比で3.7%減の輸出も、前年同期比だと 5.7%減だ。
 これらの数字を見れば、景気はかなり危険な状態と分かる。株式市場は盛り上がっていても、実体経済は伴っていない。今の相場を支えているのは、低金利政 策が長期化すると見込んだファンドマネーと、久しぶりの株高に前のめりになっている個人投資家だ。とすれば、典型的なバブルである。ちまたでは「アベノミ クス」と持ち上げられているが、実態は「アベノバブルス」ではないか。7月の参院選まで膨らんでいくのだろうが、参院選が終わった後も続くとは限らない。
 90年代半ばから、輸出関連企業は駆け足で生産拠点を海外に移してきた。そういう構図の中で円安が続いても、企業のメリットは少ない。むしろ、そうでな くても負担が増えているエネルギー関連の支出が増え、アップアップとなる公算は大だ。生活必需品、食料品も値上がりする恐れが強い。国民は大変である。
 アベノバブルスの行き着く先は、バラ色ではない。参院選後の日本は、「失われた50年」となりかねないのである。


日刊ゲンダイ
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
規制改革で産業は再生しない
2013年2月8日
http://gendai.net/articles/view/syakai/140884
▼全文転載

個人が犠牲になる恐れ

安倍首相は「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を経済政策の3本の矢と位置づけているらしい。金融緩和は、日銀に圧力をかけて追加緩和をのませている。財政政策は、予算案の成立を待って公共事業に大盤振る舞いする予定だ。

 それに比べて不透明なのは、3番目の成長戦略である。どうやって日本の産業力を伸ばし、経済を活性化させるのか見えてこない。

 規制改革会議や財政諮問会議では、規制改革を「成長戦略の一丁目一番地」と発言しているようだ。「雇用」「エネルギー・環境」「健康・医療」の3つを重点分野として、現行の規制を見直すとしている。

 さて、こうした取り組みは、本当に経済を成長させるのだろうか。

 例えば、電力会社の発送電分離は民主党政権時代から検討されてきた。送電網を開放すれば、新規事業者の参入も容易になる。それによって地域独占が崩れ、競争が本格化すれば、利用者は安い料金で電力供給を受けられるようになるはずだ。そのメリットは大きいだろう。

 ただ、それによって日本の産業活力が再生されるとは思えない。電力料金は製造業にとってバカにならないコストである。安ければ安い方がいい。だが、その ことと「日本経済の再生」「産業活力の復活」は、ダイレクトにつながるものではない。規制を外せば経済が伸びるというのは、あまりに短絡的である。

 旗振り役が慶大教授の竹中平蔵氏というところも気がかりだ。米国流の自由競争社会を礼賛し、小泉構造改革を主導した人物である。規制緩和の名の下に、貧困格差を拡大させた張本人。成長戦略を口実に、再び個人が犠牲になる恐れは強い。

 実際、今回の規制改革でも、雇用は重点分野となっている。ホワイトカラーの労働時間規制を外したり、解雇のハードルを下げたりする改革が導入される公算は大だ。こんなことで日本経済が立ち直るわけがない。

 小泉政権の規制緩和では、特定の企業だけが甘い汁をすすったとされる。「平成の政商」と批判される経営者も話題になった。そんな規制改革を再びやるのだとすれば、国民の支持は得られない。
【高橋乗宣】

日刊ゲンダイ トップ >http://gendai.net/



☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

安倍バブル 恩恵を受けたのは欧米中の海外投資家という現実

NEWSポストセブン
トップ>http://www.news-postseven.com/
安倍バブル 恩恵を受けたのは欧米中の海外投資家という現実
2013.01.30 16:00
http://www.news-postseven.com/archives/20130130_168710.html
▼全文転載

「昨秋に安倍氏が自民党総裁に返り咲いて、我々の注文通り、期待通りの金融政策を実行してくれることになった。そこで、韓国の電機大手サムスンの株 の大半を処分して日本株にシフトした。当時はシャープ、パナソニック、ソニー、東芝の時価総額を合計して3倍してもサムスンに劣るぐらいで、日本株の割安 感はかつてないほどだった。

 狙ったのはデフレ・円安で過小評価されていた家電、自動車、公共事業バラマキが期待できる建設、セメント、重機、エネルギー関連など大型株。大手ヘッジファンドのなかにはこの3〜4か月で数百億円の含み益を得たところも多い」

 こう語るのは、アメリカ系ヘッジファンドの日本代表である。

 日本で中国、香港マネーを扱うヘッジファンドの代表もいう。

「どのファンドの不動産担当者も“東京都心の流動性のある優良物件なら、5棟でも10棟でもほしい”と熱心に探し回っている。中央区銀座、港区六本木や赤坂、青山の物件や土地を買い漁っているのは中国系資本が中心だ」

 日本の市場は長年のデフレから目が覚めたかのように「安倍バブル」に踊っている。ただし、そのバブルを作り上げたのは日本の企業や投資家ではな い。金融緩和中心の「アベノミクス」をぶち上げた安倍政権と、アメリカ、ヨーロッパ、中国の投資家たちの二人三脚によるものなのである。

 統計上もそれは明白だ。

 東証の調査によると、日本の株式市場では外国人投資家が1月半ばまでに9週連続で買い越しており、その総額は2兆5451億円にも上る。その一 方、国内金融機関などの機関投資家は売り越しを続けている。日本人の個人投資家も1月中旬にようやく買い越しに転じたが、それまでは売りが先行する状況 だった。

 昨年の11月以降、2か月余りで日経平均株価が25%上昇するという大相場が出現した。しかし、その恩恵を受けたのは海外投資家だったというのが現実である。

週刊ポスト2013年2月8日号
NEWSポストセブン トップ>http://www.news-postseven.com/

インフレ目標 物価上がっても給料増えなければ実質賃下げに

NEWSポストセブン
トップ>http://www.news-postseven.com/
インフレ目標 物価上がっても給料増えなければ実質賃下げに
2013.02.18 16:02
http://www.news-postseven.com/archives/20130218_172339.html
▼全文転載

 安倍バブル状態に政権幹部らはゴキゲンだ。「期末には株価1万3000円を目指す」(甘利明・経済再生相)「1ドル=100円までは問題ない」(西村康稔・内閣府副大臣)などと景気のいい発言を繰り返している。
 
 大メディアもそれを後押しする。

「アベノミクス企業に明るさ 円安・株高進めば業績上振れも」(産経新聞)
「急伸、アベ相場 岩戸景気に続く12週連続の株価上昇」(朝日新聞)

 ただ、いくら政治家やメディアが大騒ぎしてもピンとこないのは、アベノミクスがまだサラリーマンの懐、つまり給料に反映されてないからだ。

 安倍バブルの陰でほとんど報じられていないが、厚労省が1月31日に発表したボーナスを含む月平均の現金給与総額は、前年比0.6%減の31万 4236円で、調査を開始した1990年以降で最低を記録した。ピーク時の1997年(月平均37万1670円)から15年で、5万7000円も減ってい るのだ。

 この状況のなか、「2%のインフレ目標」を掲げるアベノミクスは、給料が上がらなければ庶民には“地獄”となる。物価が2%上がっても給料が2%上がらなければ、実質的な賃下げとなるからだ。

 政権側もそれを懸念しており、安倍首相は「業績が改善している企業には報酬の引き上げ等を通じて、所得の増加につながるようご協力をお願いしていく」(2月5日の経済財政諮問会議)と宣言した。

 それに早速呼応したのが、新浪剛史・社長が政府の産業競争力会議のメンバーを務めるコンビニ大手のローソンだ。2月7日、2013年度からグルー プの20歳代後半から40歳代の正社員約3300人の年収を、平均3%引き上げる(平均15万円増)と発表した。当然、「1社でもいい傾向だ」(麻生太 郎・財務相)と政権側では歓迎の声が上がった。

 この流れが他企業にも波及すれば、「アベノミクスで給与アップ」が現実化するかもしれない。ところが、埼玉大学経済学部の相澤幸悦教授はその淡い期待を一蹴する。

「ローソンが3%年収をアップさせるといっても、ベースアップ(昇給)ではなくボーナス(賞与)での支給です。企業からすれば、一度昇給すると容易に下げられなくなるが、賞与なら一時的な支払いですむので、一種の広告費と位置付けてもいいと考える。

 企業にとっては日本の景気回復に協力する姿をアピールできるし、政権側にとってもアベノミクスで給与アップという印象がつけられて好都合です」

 事実、ローソンが今回の賞与アップに使う4億円は同社の利益剰余金内部留保)の0.34%に過ぎない。9年連続で営業利益を更新する企業として、「大盤振る舞い」とまではいえないのではないか。

週刊ポスト2013年3月1日号

★関連記事
民主がデフレ長期化させたと批判する安倍首相に大前氏が苦言
2013.02.20 07:00
http://www.news-postseven.com/archives/20130220_171114.html
経団連、メガバンク、マスコミのみアベノミクス称賛と大前氏
2013.01.28 16:01
http://www.news-postseven.com/archives/20130128_168618.html

NEWSポストセブン トップ>http://www.news-postseven.com/



☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

【夜回り先生のエッセー】 哲学 「理性」「悟性」を磨こう<中日新聞>

中日新聞 CHUNICHI WEB
トップ >http://www.chunichi.co.jp/
夜回り先生のエッセー】
哲学 「理性」「悟性」を磨こう
2013年2月5日
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2013020502000005.html
▼全文転載

 子どもたち、今日は、少し君たちの頭が痒(かゆ)くなるような哲学の話をしてみます。

 哲学では、一般的に、人間のこころの中に、「感性」と「理性」と「悟性」が存在すると考えます。子どもたち、こんな難しいことばを使われても何もわからないでしょう。それでは簡単に説明します。

 「感性」とは、感じたり思ったりする能力です。花を見て、美しいと感じたり、きれいな音楽を聴いて、こころが落ち着くと感じる。あるいは、逆に、 愛する人を亡くして、哀(かな)しいと感じたり、卑怯(ひきょう)なことをされて憎いと感じる。これが、「感性」です。この「感性」の豊かな人は、芸術家 に向いているでしょう。

 「感性」には、もっと原始的なものもあります。お腹(なか)がすいているときに、店頭に並ぶパンを見て、欲しいと思ったり、人が自分より良いもの を持っていて、自分も欲しいと思う。これも「感性」です。この「感性」の豊かな人は、気をつけてください。間違いをしでかす可能性大です。

 「理性」とは、考える能力です。目の前の美しい花を、摘み取り自分のものにしたいけれど、そうすれば困る人がいる。だから止(や)めよう。愛する 人がいるけれど、その人は別な人を愛してる。その大切な人を守るためにも、自らは愛を抑える。これが、「理性」の働きです。この「理性」は、良い人との出 会いや、きちんとした教育を通して、人が身につけていくものです。「理性」は、人が、社会の中で生きていく上で、最も大切なものです。この「理性」の優れ ている人は、人から愛され、そして幸せな人生を過ごしていくでしょう。

 「悟性」とは、「理性」を反省する能力のことです。たとえば、人のものを、欲しいからといって、奪うことは、人に迷惑をかける行為だからしないと いう、「理性」の決定があったとします。これは、これで、十分に尊いことです。でも、そこで、考えることを止めずに、なぜ、自分がそれを欲しかったのか。 奪うと、どのような結果になり、どのように迷惑をかけるのか。あるいは、もっと根本的に、ここにある欲望とは、人間にとって、どのようなものなのか。この ように、深く、その問題の本質まで考え、理論化していこうとする。これが「悟性」の力です。この能力の優れている人は、学者に向いているでしょう。

 子どもたち、私が、ここに難しいことを書いたことには理由があります。今、君たちを見ていて、「感性」だけで生きている人が多いと、感じています。お願いです。きちんと、「理性」、「悟性」も磨こう。明日のために。
中日新聞 CHUNICHI WEB CHUNICHI WEB トップ >http://www.chunichi.co.jp/


夜回り先生のエッセー一覧
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/index.html
哲学 「理性」「悟性」を磨こう(2013年2月5日)
救い  いい大人必ずいるから(2013年1月22日)
新年 生きている幸せ感じて(2013年1月8日)
道具 機器の奴隷になるな(2012年12月18日)
信じる 必ず出会えるから(2012年12月4日)
感じること 自然や人に触れて(2012年11月20日)
お遍路 ただ歩き救われる(2012年11月6日)
読書 総合芸術として一冊を(2012年10月23日)
苦しいとき 自然の中をただ歩く(2012年10月9日)
勇気 絶対いじめ認めない(2012年9月25日)
いじめ 被害を大人に伝えて(2012年9月11日)
からだを調える こころも元気に(2012年8月28日)
自然 外出し力もらおう(2012年8月14日)
性格 学ぶ中で変えられる(2012年7月31日)
TPO 素の顔、姿を大切に(2012年7月17日)
省エネ テレビ消す勇気を(2012年7月3日)
海の幸 旬の魚を味わおう(2012年6月19日)
仕事 何より普段の勉強(2012年6月5日)
人生の目標 有名人を目指さない(2012年5月28日)
仲間の死 志半ば、無念を思う(2012年5月21日)
買い物 「心」に出会える商店街(2012年5月14日)
規則 なぜあるのか考えて(2012年4月30日)
歌 傲慢さより自然の美(2012年4月23日)
豊かさ パリに負けない牧場(2012年4月16日)
歴史 「英雄」の陰に庶民の涙(2012年4月2日)
自分を見失う危うさ 不安な夜(2012年3月26日)
本音ぶつけてできる 親友(2012年3月19日)
苦しみ続ける人たち 震災1年(2012年3月12日)
意識して感じてみよう 優しさ(2012年3月5日)
こころ通じる一言を 親子の関係(2012年2月27日)
いのち守る大切な仕事 農業(2012年2月20日)
傷つけ命奪うことも 文字の恐ろしさ(2012年2月6日)
愛する家族、温かい家庭 幸せとは(2012年1月30日)
豊かな思い出作ろう 成人式(2012年1月23日)
何でもいい、学び続けよう 継続はちから(2012年1月16日)
3つのことば再確認 同窓会(2012年1月9日)
苦しむ人々忘れない 3・11の記憶(2011年12月19日)
からだ疲れさせ眠る ひたすら歩く(2011年12月5日)
自分で考えて書こう 卒論(2011年11月28日)
当たり前でなく幸せ 消防士の話(2011年11月21日)
「わからない」言う勇気を 勉強クラブ(2011年11月7日)
基本あっての抽象化 似顔絵(2011年10月31日)
厳しいが救いはある 仕事がない(2011年10月24日)
自分で病気を防ごう 生活を見直す(2011年10月17日)
家族とも点検しよう 避難訓練(2011年10月10日)
真の哀しさ伝えたい 被災地を撮る人(2011年10月3日)
振り返り反省しよう 秋に考える(2011年9月26日)
裸足でこそ力が湧く 大地を踏む(2011年9月19日)
「生きる」につながるから 忘れない (2011年9月5日)
歌のない音楽聴こう 芸術の秋には(2011年8月29日)
目を閉じて考えよう こころで見る(2011年8月22日)
削るだしで料理一変 本物の味 (2011年8月8日)
他人を通じ、初めて知る 自分の姿(2011年8月1日)
一番おいしい時に感謝 旬の魚(2011年7月25日)
必ず道はある、と信じて 生きざま(2011年7月18日)
変えるには時間をかけて 性格(2011年7月4日)
違っていい、理解し合おう おでんの具(2011年6月27日)
最高の収穫を求めて 脳に栄養を(2011年6月20日)
人の役に立ってみよう 自信がない(2011年6月6日)
苦しくても歩む力に 人生の目的(2011年5月30日)
我慢せずすぐ相談を こころがつらい時(2011年5月23日)
2日間、我慢できますか 依存症(2011年5月16日)
懸命に生きたら分かる 本当の美しさ(2011年5月9日)
恥を知る人となれ 祖父母の教え(2011年5月2日)
純真に動く姿に学ぶ 広がる支援の輪(2011年4月18日)
日々ふれる習慣を 報道(2011年4月4日)
がんばらなくていいよ 頼らない子(2011年3月28日)
困ってる人のため生きる 東日本大震災(2011年3月21日)
静かに過ごす時間を 目を閉じて(2011年2月28日)
“違い”を認め合おう 「原爆の火」と平和(2011年2月21日)
仲間意識もよみがえる 同窓会(2011年2月7日)

この国と原発:第3部・過小評価体質 耐震指針検討分科会、異例の委員辞任<毎日新聞

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
この国と原発:第3部・過小評価体質 耐震指針検討分科会、異例の委員辞任
毎日新聞 2011年10月28日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20111028ddm003040106000c.html
▼全文転載

(1)
 ◇原子力安全行政「正体分かった」

 「社会に対する責任を果たせない」。06年8月28日、原発の耐震設計審査指針の改定を審議してきた、原子力安全委員会耐震指針検討分科会の最終回。神戸大教授(当時)の石橋克彦委員が改定案に同意せず、辞任する異例の幕切れとなった。

 分科会は01年7月から、地質学や地震工学などの専門家十数人で議論。地震と原発事故の複合災害を「原発震災」と名付け、危険性を訴えてきた石橋委員は「外から批判しているだけでは良くない」と判断し、委員就任の要請を受け入れた。

 だが、ある委員から「あなたが思うようには会議は進まない。覚悟しておいてほしい」と言われていた。別 の委員から「何でこんな男を委員にしたんだ」と怒鳴られたこともあった。78年の指針制定後、初の本格改定だった分科会終盤の議論を追うと、危険性が過小 評価されていく構図が浮かぶ。(太字は分科会の発言)【河内敏康、八田浩輔、岡田英】

 ◇断層想定見直し要求 「議論蒸し返し」と拒否

 ◆第45回(06年7月19日)

 石橋委員「状況が大きく変化した。事業者と審査側(国)の活断層調査能力の信頼性が著しく失墜した」

(2)

 「宍道(しんじ)断層」を巡り中国電力は98年、3号機を建設予定の島根原発近くで、推定長さ8キロの活断層を確認したと発表した。想定される地 震はマグニチュード(M)6級とされ、通商産業省(現経済産業省資源エネルギー庁の調査団も「余裕をみて最大8キロで妥当」とお墨付きを与えた。

 ところが06年5月、中田高・広島工業大教授(当時)らのグループが、断層の長さはM7級(M6の約 30倍)の地震を起こす18キロとの調査結果を発表した。石橋委員は第43回(06年4月28日)でまとめた改定案について、活断層の見落としに対応する ため、どの原発でも事実上、M7級の地震を想定するよう見直しを求めた。

 大竹政和委員「周知の問題で、念頭に置いて検討してきた。蒸し返す必要はない」

 衣笠善博委員「新指針が早く日の目を見ることが重要」

 実は大竹委員は、中国電力からの3号機設置許可申請を審査した安全委の原子炉安全専門審査会で、地震想 定などを審査するCグループの主査を務め、05年2月に宍道断層の長さを10キロとした同社の報告を妥当と結論。国は同4月に設置を許可していた。分科会 委員には、Cグループのメンバー4人と、エネ庁調査団顧問だった衣笠委員がいた。

 ◆第46回(06年8月8日)

 小島圭二委員「(中田グループの)調査結果は仮説の段階」

 衣笠委員「時間を費やしてコンセンサスを得た。議論の蒸し返しだ」

(3)

 大竹委員「個別の問題。新指針は健全で、修正の必要はない」

 小島委員は地質工学が専門で、建設省土木研究所研究員、東京大教授などを歴任。Cグループのメンバーでもあり、「今も中国電力が過小評価したとは思っていない。18キロでも安全性は変わらない」と話す。

 衣笠委員は地震地質学が専門。通産省地質調査所首席研究官、東京工業大教授などを歴任した。取材には「マスコミに申し上げるつもりはない」とノーコメントを貫いた。

 一方、大竹委員は後悔の念を抱く。建設省建築研究所主任研究員、東北大教授、日本地震学会長などを歴任。「(改定案を)練り直そうというのが本心だった。ただ、それでは改定が半年や1年先になった」と話した。

 石橋委員「不適切なやり方をしてきたため、(宍道断層の)間違いが起きた。そのことを深刻に理解しないと、今に本当に大変なことになる」

 結局、中国電力は08年、宍道断層の長さを最大22キロに変更した。

 過小評価は宍道断層だけでない。

(4)

 分科会の非公式会合で、どんな活断層を原発の耐震性評価の対象とするかを巡り、一部委員の間で激論になったという。旧指針は過去5万年間に活動し た断層が対象で、ある委員は「安全リスクからすれば10万年くらいは見た方がいい」と主張。だが、別の委員は「5万年でいい」と反論し、指を折りながら指 摘した。「そんなこと言っていいのか。10万年にしたら、もたない(想定地震が大きくなって運転できなくなる)原発がこんなにある」

 ◆第47回(06年8月22日)

 鈴木篤之・原子力安全委員長「改定指針による耐震安全の審査や確認が早期に可能になるようにしていただきたい」

 なぜ事務局は改定を急いだのか。北陸電力志賀原発2号機を巡り金沢地裁は06年3月、旧指針の不備を指 摘して運転差し止め請求を認めた。他の原発へ波及する恐れがあり、安全委職員は「拙速にしたつもりはないが、既存の原発の耐震性を早く再評価する必要があ り、まとめなければならないという意識はあった」と認める。

 改定案にはパブリックコメントが多数寄せられ、石橋委員はそれに基づく再検討も求めた。

 衣笠委員「パブコメには分科会で議論したことが書かれているだけ」

 大竹委員「(パブコメの内容は)極めて当然の話。(改定案に)わざわざ書くまでもないと思っていた」

(5)

 石橋委員「この状況は、一流のオーケストラの演奏も録音盤も聴かず、偏った解説だけ聞いて管弦楽がわかった気になっていたようなものだ」

 衣笠委員「(石橋委員と)紳士的な議論をするのは困難と言わざるを得ない」

 議論が行き詰まる中、京都大名誉教授の入倉孝次郎委員が「委員から全く異なる見解がされていて、まとめるといってもむちゃな話だ」と発言。待ち構えていたかのように鈴木委員長が告げた。

 「必要最小限の修正にとどめていただければ大変ありがたい」

 ◆第48回(06年8月28日)

 石橋委員の辞任には伏線があった。メールで事前に回された事務局作成の改定案。妥協して合意したはずの事柄まで消されていた。「これでは『おまえはやめろ』と言われているに等しいと思った」と振り返る。

 石橋委員「分科会の正体がよく分かった。原子力安全行政がどういうものかも改めてよく分かった。私が辞めれば分科会の性格がすっきり単純なものになる。あとは粛々と審議を進め、合意されたらと思う」

 ◇改定、やっと06年 阪神大震災でも「妥当」

 06年の耐震指針本格改定が28年ぶりとなったのは、地震学が進歩する中、必要な見直しをしてこなかったことの裏返しでもある。

 「阪神大震災(95年1月、M7・3)直後に見直さなかったのは異常だ。制定から17年たっており、見直せばよかった」。原子力安全委員会の職員ですら批判する。

(6)

 安全委は阪神大震災の2日後に検討会を設置。旧指針は未知の活断層に備え、M6・5の地震に耐えられる設計を求めており、これをM7級に引き上げ るかも課題だった。だが検討会は95年9月、震災を起こしたのは既知の活断層で、既知なら建設時に考慮するなどとして、「指針は妥当」との結論をまとめ た。震災を受け、道路や鉄道などの耐震指針は軒並み見直されたが、原発は違った。

 ようやく見直しに入ったのは、00年に活断層未発見の地域で、鳥取県西部地震(M7・3)が発生したた めだった。ただ、業界団体「日本電気協会」の専門部会は分科会に先行して議論し、「詳細に調査すれば事前に震源や地震の規模は特定できた」と結論。活断層 未発見の場所で起きた84年の長野県西部地震(M6・8)などを基に、未知の活断層への備えをM6・8程度とする考え方を示して指針に反映され、M7への 引き上げを求める意見は退けられた。実は、分科会委員の過半数は同専門部会の委員を兼任していた。

 一方、指針改定案には、679件のパブリックコメントが寄せられた。津波対策が不十分とする意見も相次いだが、ほとんど反映されなかった。

(7)

 「津波で全電源喪失に陥り、冷却用の海水取水設備も使用不能になる恐れがある」。福島第1原発事故を予言するような意見を送った東京都目黒区の NPO副代表、山崎久隆さん(52)は「津波は地震のおまけとして扱われ、津波対策はおざなりにされてきた。国は対策の枠組みを作る義務があるのに怠っ た」と批判する。

==============
 原発の耐震設計審査指針を巡る主な動き◇

1978年 9月 原子力委員会が耐震設計審査指針(旧指針)を決定

  95年 1月 阪神大震災(M7.3)が発生

      9月 同震災を受けた原子力安全委の検討会が耐震指針は「妥当」と結論

2000年10月 活断層未発見の地域で鳥取県西部地震(M7.3)が発生

  01年 3月 耐震指針を一部改定

      7月 原子力安全委の耐震指針検討分科会が第1回会合

     12月 石橋克彦委員が耐震指針検討分科会に参加

  05年 2月 島根原発3号機の設置許可を審査した原子力安全委の原子炉安全専門審査会が「宍道断層の長さは10キロ」とした中国電力の報告を「妥当」と結論

      4月 国が中国電力島根原発3号機の設置を許可

      8月 宮城県沖の地震(M7.2)で東北電力女川原発で想定を超える揺れ

  06年 3月 金沢地裁北陸電力志賀原発2号機の運転差し止め請求認める

(8)

      5月 広島工業大などのグループが「宍道断層の長さは18キロ」と発表

         耐震指針検討分科会が耐震指針改定案のパブリックコメントを開始

      8月 耐震指針検討分科会の最終回。石橋委員が辞任

      9月 原子力安全委が耐震指針を改定

  08年 3月 中国電力宍道断層の長さを最大22キロと評価

  11年 3月 東日本大震災(M9.0)が発生

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/



☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所

シェールガス:日本企業、進む米投資<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
シェールガス:日本企業、進む米投資
毎日新聞 2013年02月20日 02時30分(最終更新 02月20日 02時38分)
http://mainichi.jp/select/news/20130220k0000m020141000c.html
▼全文転載

 

 米政府によるシェールガスの輸出拡大をにらみ、日本企業は米国内で一足先にガス確保に向けた投資を活発化させている。先手を打ったのが大阪ガス中部電力。12年7月に米テキサス州液化天然ガス(LNG)輸出基地建設計画への投資に名乗りを上げ、輸出権益を確保した。天然ガスの一種であるシェールガスの対日輸出には、米国内で液化する施設の整備が必要。両社は同施設の年間1320万トンのLNG生産能力のうち、440万トンの販売権を確保。米政府の認可を前提に17年にも輸出を始めたい意向だ。

 三菱商事三井物産は米ルイジアナ州で、東京ガスと住友商事は米メリーランド州で、それぞれLNG基地 の権益確保に向け詰めの協議に入っている。三菱商事三井物産は生産能力1200万トンのうち800万トン、東京ガスと住友商事は同500万トンのうち 230万トンの販売権を確保する見通しだ。

 3連合とも17年の生産開始が目標で、中部電、東ガス、大ガスは主に自社の火力発電燃料や都市ガス原料として活用する方針。三菱商事三井物産も今月までに東京電力と販売で基本合意するなど、国内での売り先探しを進めている。

 現時点では3連合とも米政府の輸出許可待ち。LNG基地の整備には最低でも数年かかるとされ、見切り発 車的に「将来を見据えて契約した」(中部電)のが実態だ。許可が下りなければ「日本以外への輸出に回す」(大ガス幹部)と話すが、世界最大のLNG需要国 である日本を除外して採算が合う価格で全量を販売できる保証はない。新たな売り先の確保に手間取れば資金調達が難航し案件そのものが宙に浮く恐れもある。

 各社は「協業する現地企業を通じて米政府へ働きかけている」(業界筋)段階で、あるガス会社幹部は「日 米は同盟国。早晩許可される」と自信をのぞかせる。政府も石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて計1兆円の債務保証枠を設けるなど、民 間のシェール調達を支援する方針だ。【宮島寛、和田憲二、小倉祥徳】

 ◇「輸出が利益大」米エネ省

 【ワシントン平地修】自由貿易協定(FTA)を締結していない国への天然ガス輸出について、米政府は「公共の利益に反しない」との判断に基づき個 別に可否を判断している。現在、輸出条件の緩和について慎重に検討を進めており、日本向けについては早ければ3月にも輸出許可が下りるとの観測がある一 方、国内取引価格の高騰を招くとの慎重論もくすぶっている。

 オバマ大統領が昨年11月の大統領選で米経済の立て直しを掲げて再選を果たしたことで、「輸出拡大への環境が整ってきた」(日本政府筋)との見方も出ている。

 呼び水になったのが米エネルギー省(DOE)が昨年12月、液化天然ガス(LNG)の輸出が「米国に経 済的利益をもたらす」との内容の第三者機関の報告書を発表したことだ。同報告書は、輸出拡大で国内ガス価格が上昇し家計や企業の負担増になるが、輸出によ る利益は損失を上回ると分析した。

 

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/

毎日フォーラム・ファイル:エネルギー 秋田で「シェールオイル」試験採取<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
毎日フォーラム・ファイル:エネルギー 秋田で「シェールオイル」試験採取
2012年11月19日
http://mainichi.jp/feature/news/20121106org00m010049000c.html
▼全文転載

 

 資源開発大手の石油資源開発が、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田の地下から、新型原油「シェールオイル」の試験採取に国内で初めて成功した。埋蔵 量は少なく、エネルギー自給率改善に大きく貢献するわけではない。それでも、国内で次世代型の資源開発に成功した意義は大きい。原発への依存度を下げるた め、代替エネルギー確保の重要性が一段と高まっているからだ。今回の成功を新たな資源獲得につなげるため、官民の協調が求められる。

 シェールオイルとは、泥土が堆積して固まった地下の頁岩(けつがん、シェール)に含まれる石油のこと だ。掘削が難しく、最近まで開発が進まなかったことから、埋蔵量が豊富にあるとされる。同じ岩盤層から取り出す天然ガス「シェールガス」とともに新たなエ ネルギー資源として注目されている。

 石油資源開発は、鮎川油ガス田の地下1800メートルの岩盤層に塩酸などを注入し、溶かしてできた割れ目からしみ出た原油を回収した。同社は商業化を視野に、13年度にも新たな油井の試掘を始める方針だという。

 もっとも、このガス田のシェールオイルの推定埋蔵量は、500万バレル(約80万キロリットル)しかな い。これは、国内の年間石油需要量の2日分にも満たない量だ。秋田県全体に広げても埋蔵量は1億バレル(約1600万キロリットル)と推定され、国内需要 の1カ月分ほどにとどまる。

 要するに、今回の開発は「国内需給へのインパクトはない」(資源エネルギー庁)というのが現実で、原発 を除くと4%しかないエネルギー自給率の向上には結びつきそうもない。それでも注目されるのは、これまで採算が合わないとして放置されてきた次世代型エネ ルギー資源の開発に、道を開く可能性があるからだ。

 日本のエネルギー自給率は、60%を超す米国や英国などの主要国と比べ、圧倒的に低い。資源のほとんどを輸入に頼る構造は、少しでも改善しなければならない。

 その必要性は、昨年の東京電力福島第1原発事故以降、一段と増している。国内の原発停止に伴い、代替電 源として火力発電の比率が高まった。関係閣僚で作る「エネルギー・環境会議」は、「2030年代に原発稼働ゼロ」を目標に掲げた「革新的エネルギー・環境 戦略」を決めた。これにより、中長期的に火力発電への依存を強めざるを得なくなったからだ。

 火力発電用の燃料である液化天然ガス(LNG)や原油、石炭は輸入に頼り切りだ。その中心は中東地域だが、そこにはイラン核開発疑惑による緊張など地政学的なリスクがつきまとう。過剰な依存は避けなければならない。

 

 また、「火力発電の比重が高まったことで、資源獲得交渉で足元を見られている」(電力大手)という弊害も出ている。交渉のカードとしても、自前でエネルギー資源を調達できる能力の開発が急務となっている。

 しかし、試験採掘に成功したシェールオイルにしても商業化へのハードルは高い。油井の掘削には1本でも 億円単位の投資が必要になり、採算性が大きな課題になる。採掘に際しては、岩盤に塩酸などの化学物質を注入するため、地下水汚染も懸念される。使った化学 物質を処理、廃棄する技術の改良なども商業化の前提になる。

 ◇期待大きいメタンハイドレート

 自前の資源として、シェールオイル以上に注目されるのが、メタンハイドレートだ。地中の植物や動物が分 解して発生したメタンガスが、低温・高圧の環境下で水と結合してできたシャーベット状の物質で、「燃える氷」とも呼ばれる。石油や石炭に比べ、燃焼時の温 室効果ガス排出量が少なく、クリーンな次世代エネルギーとして期待されている。

 経済産業省が01〜08年度に実施した日本近海の海底調査で、西日本の太平洋側を中心にメタンハイドレートの集積層が広く分布していることがわかった。日本近海の埋蔵量は、天然ガスの国内消費量のほぼ100年分に匹敵すると推定される。

 ただし、いずれも水深500メートルを超す海底にあるうえ、周囲を砂と泥が混ざった軟らかい地層に覆われているため、石油や天然ガスで培った従来の技術では採掘が困難だった。

 政府は今年2月に、東海沖から四国沖にかけて広がる「東部南海トラフ」で、海洋産出試験に向けた海底掘 削を始めた。来年1〜3月に世界初となる海洋産出試験を始め、14年度までに2度、試験採掘する計画だ。海洋での資源開発や地底調査に実績のある民間企業 の参加も呼びかけ、産学官が連携して18年度の商業化を目指す。

 メタンハイドレートをめぐっては、国際的に関心が高まっている。新興国の経済発展に伴う需要増で石油や鉱物の価格が上昇する中、これまで商業化が進まず、手つかずの状態にある資源だからだ。

 日本の周辺でも中国や韓国が資源の調査を始めた。政府はそうした国々に先駆けて採掘技術を開発・確立することで、資源獲得競争を優位に進める意向だ。

 資源の開発とともに、資源価格の抑制も大きな課題になっている。日本エネルギー経済研究所の試算によると、原発停止に伴って稼働率を高めた火力発電用の燃料費は、東日本大震災前に比べ年間4兆5000億円も膨らむ。日本の貿易収支が赤字基調になった最大の要因といえる。

 

 岩盤層に含まれる天然ガスであるシェールガスの商業化に成功した米国では、エネルギー価格が劇的に低下する「シェールガス革命」が起きた。天然ガスの価格は日本の輸入価格の6分の1程度まで下がっている。

 日本企業も商社を中心に米国での権益獲得に動いているが、シェールガスの輸入には米政府の許可が必要だ。エネルギーの安全保障を図り、国民の負担も軽減するため、政府の積極的な支援が求められる。

 

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/

ひと:横井悟さん 国内初のシェールオイル採取に成功した<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
ひと:横井悟さん 国内初のシェールオイル採取に成功した
毎日新聞 2012年11月24日 00時13分(最終更新 11月24日 11時42分)
http://mainichi.jp/opinion/news/20121124k0000m070114000c.html
▼全文転載

 

 地下1800メートルから流れ出る泥水に、油のにおいが混じり始め、徐々に強くなった。フィルターにかけると黒い液体が姿を現す。「出ない可能性 も十分あった。ほっとした」。10月に鮎川油(あゆかわゆ)ガス田(でん)=秋田県由利本荘(ゆりほんじょう)市=の「頁岩(けつがん)(シェール)層」 内に眠る原油「シェールオイル」を国内で初めて取り出した瞬間だった。

 原点は、入社直後の秋田県での油田採掘作業だ。その油田自体は生産に至らなかったが、掘っている時、しま模様の硬い岩盤からわずかに油が染み出ているのに気づいた。「妙に心に引っかかって」同じような岩盤がないか、独自に研究を続けていた。

 11年初め、採掘技術の進歩により、頁岩の中の天然ガス「シェールガス」の生産が米国で急増していることと、かつての採掘現場の情景が結びついた。「染み出た油はシェールオイルだったのでは」。かつて掘った井戸で試験採取を指揮して、油にたどり着いた。

 鮎川油ガス田周辺の推定埋蔵量は国内で消費される石油の1.5日分にあたる約500万バレル。秋田県全 体では約30日分の約1億バレルを採取できる可能性が出てきたという。国内油田の生産量はピーク時(92年度)は618万バレルだったが、11年度は 518万バレル。低水準で推移している。

 「枯れかけた日本中の油田をシェールガスでよみがえらせたい」。ハンマー片手に山を歩き、岩盤を探る日々が続く。【宮島寛】

 【略歴】横井悟(よこい・さとる)大阪府出身。京大理卒、80年石油資源開発入社。主に国内の探鉱に従事し、11年6月から国内事業本部副本部長。55歳。

 

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/