「北の山・じろう」時事問題などの日記

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「2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発」<BLOGOS<岡田直樹(1)~(3)

★全文転載

「2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発」<BLOGOS<岡田直樹(1)~(3)

 記述者のブログ

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2011年6月25日土曜日
2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発
http://ishtarist.blogspot.jp/2011/06/20113203.html

 

 BLOGUSから
「2011年3月20日、隠蔽された3号機格納容器内爆発」
2011年07月02日08時31分
岡田直樹 プロフィール
京都大学大学院 人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。
専門は社会哲学・社会システム理論
旧URL
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(1)

はじめに


12日1号機の水素爆発、14日の3号機における水素爆発、15日2号機のサプレッションチェンバー爆発。これら相次ぐ事故によって、福島第一原発から今 まで放出されてきた放射性物質の大部分は15日までに放出されてきたものであるかのように東電・政府は発表しています。

ところが、もっとも重要な放射能汚染は3月21日に起きていることは、あまり一般には知られていません。その汚染源が3月20日-21日にかけての3号機格納容器内爆発であること、それを東電・政府は当然知りながら、隠蔽していること―これがほぼ「事実」であると断定できるだけの判断材料がすでに揃いました。

ちなみに、こうした結論の大部分は、実のところ、以前に私が、3/24までに出したものです。それについてはTwitterで当時連続ツイートして、その成果をTogetterにまとめました(http://togetter.com/li/115299)。ただし、このとき私は、気象に関する知識とデータがなかったため、絶対的な確信を得るまでには至りませんでした。

最近になって、他のブログで、気象方面からのアプローチで、まったく同じ結論を出している人が複数出てきました。また最近になって、東電が修正データを発 表したため、再臨界の可能性を含めて再検討できるようになり、また東電による印象操作にかんしてもより詳細に論じることができるようになり、こうして新た にブログに記事をアップする次第です。

以下、論証が極めて長いので、概要として、結論だけ箇条書きで記しておきます。

  • 3/21に関東地方を襲ったフォールアウトは、大気圏核実験が全盛期だった過去50年間の同地域の総量に匹敵する莫大なものであった。
  • この放射性物質は、よく言われるように、3/15までに福島第一原発から放出された放射性物質が雨によって落ちてきたものでは決してなく、直前に放出されたものである。
  • その汚染源は明らかに3号機であり、おそらく福島第一原発最大の事故であった。
  • パラメータを分析すると、3号機では、3/20-21に圧力容器設計圧力を大幅に超える圧力が記録され、また格納容器内の爆発的事象によって圧力容器・格納容器とも大破したことが明らかである。
  • その事故は再臨界を伴う可能性が否定できない。
  • この異常事態を受けて、放射性物質の放出を防ぐために、1000トンを超える放水が行われた。
  • 3/21に行われた海水サンプリング調査・土壌採取などは、3号機格納容器内爆発という事態を受けたものである。
  • 3/21の3号機原子炉建屋から出た煙は、原子炉が破損した物理的な帰結であるが、東電は当然それを認めることができない。
  • 東電・政府はこうした最悪の事態を知りながら隠蔽している。
  • 東電は、こうした事態を隠匿するため、データの間引きや悪質な印象操作をいくつも行っている痕跡がある。

3月21日前後、関東地方を襲った放射性物質降下について



現在、様々な農作物や海産物などから放射性物質が検出され、内部被曝が懸念されておりますが、そのもっとも重要な被害は、主に関東地方に降りそそいだ3月21日の放射性物質降下(以下フォールアウトと呼びます)によってもたらされました。3月15日にも放射性物質が放出されたことはよく知られていますが、それは希ガスが主体であり、農作物や人体への被害は比較的軽微だと考えられるからです。それにたいし、21日のフォールアウトは、ヨウソ・セシウムストロンチウムなどが主だったと考えられています。

東大の早野先生(@hayano)のチームが作成したグラフがあります。

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図1 全国の放射線量 3月15−5月2日



これを見れば全国、とりわけ関東地方で、まったく同型のグラフの動きが確認できます。15-16日に非常に大きなピークがありますが、それは直後に急降下 しています。それに対して、21日にピークがありますが、それは漸近線を描いて下がっていっています。これらピークが福島第一原発由来のものだとすると、 両者の違いに関する解釈は、論理的には二つありえます。一つは、21日以降、恒常的に福島第一原発から放射性物質が放出されている可能性です。もう一つ は、21日に後者で放射性物質が地表に降下して、それが空間線量に影響を与えている可能性です。もちろん、この二つが複合していることも十分ありえるで しょう。

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図2 日本分析センターにおける空間線量率(PDFより)image

 

(2)

諸々の研究機関による各種分析により、15日と21日では、その主成分が異なることが判明しています。15日は、キセノン133など人体に軽微な影響しか ない希ガスが主ですが、21日のフォールアウトでは、セシウムやヨウソ・テルルなどが主体であることが判明しています。15日に希ガスが多かったのは、原 因が2号機のサプレッションチェンバーの破損であるため、放射性物質が一度水を通してから放出されたためであると考えられます。すなわち、事実上、ウェッ トベントをしたのと同じ効果があったのではないでしょうか。

さて、21日のフォールアウトは想像を絶するものだったことが、直後から判明しています。文部科学省は、毎日の全国各地のヨウソ131とセシウム137のフォールアウトを「環境放射能水準調査結果(定時降下物)」として発表していますが(http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305495.htm)、その3月20-21日、21-22日のデータは以下の通りです。

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図4(PDF)  図5(PDF)
定時降下物20日9時-21日9時 定時降下物20日9時-21日9時

上記のデータから3月19日9時から3月26日9時までの積算フォールアウトの表を作成してみました。

 

I-131(MBq/km^2)

Cs-137(MBq/km^2)
山形県(山形市 68532 7860
茨城県(ひたちなか市 208130 25790
栃木県(宇都宮市 55710 992
群馬県(前橋市) 21306 1173
埼玉県(さいたま市 67517 2973
千葉県(市原市 45294 3593
東京都(新宿区) 84333 6409
神奈川県(茅ヶ崎市 5556 440



特筆すべきは、ひたちなか市と新宿の値です。MBq/km2 はBq/m2 に換算可能なので、ひたちなか市では1平方メートルあたり20万ベクレル以上のヨウソ131が、25000ベクレル以上のセシウム137が地表に降り積もったと考えられます。新宿では同じく、ヨウソ131が約85000ベクレルセシウム137が6400ベクレルです。そして、これら大部分が、20日から23日までの3日間に降りそそいでいるのです。

これは、どの程度の値なのでしょうか。

また、一瀬昌嗣・神戸高専准教授(サイエンスメディアセンター 核実験フォールアウトとの比較)によれば、「1963年6月に、日本に降った最大のフォールアウトのセシウム137の放射能は、550Bq/m2」であり、「Cs-137で比べると最も多かった1963年の1年間に東京で1935 Bq/m2、1957年4月〜2009年3月の合計では7095 Bq/m2」です。大気圏核実験が頻繁に行われていた(チェルノブイリ事故の影響も含む)過去50年間と、ほとんど同量のCsセシウム137が、たかだか3/21-3/23の2日間で降り積もったことになります。なお、広島原爆の黒い雨のCs-137の土壌沈着量は、最大で493 Bq/m2であったと論じられています。

マーチン・トンデル氏のスウェーデンにおけるチェルノブイリ事故調査によると、1平方メートルあたりのセシウム137の汚染が10万ベクレルで、ガン発生率が11%あがるとの結果が提出されています。http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/tyt2004/tondel.pdf これに照らし合わせると、くだんのフォールアウトによるひたちなか市での発がんリスク増加は、3%弱であると考えることができるでしょう。

ただし、重要なことは、発がんリスクは放射性障害のごく一部にしかすぎず、心疾患、脳溢血、消化器疾患、呼吸器疾患など様々なリスクが確認されており、ま たもっとも典型的な兆候は、「原爆ぶらぶら病」や「湾岸戦争症候群」に見られるような不定愁訴であることです。発がんリスクはあくまで健康被害の一つの指 標にしか過ぎず、内部被曝によって表れる様々な症状を、発がんリスクへと還元するかのような統計は、住民たちの実際の健康障害を著しく低く見せる効果があ ることに、私たちは留意する必要があります。

3月20-21日の放射性プルームの動き



3月21日前後に関東を襲った甚大なフォールアウトが福島第一原発由来のものだとして、それは何号機からいつ発生したものでしょうか?

東大の早野龍五先生などは、主な放射性物質の放出は3月15日までに発生しており、21日の降雨とともに上空の放射性物質が降下してきた、という説を以前提唱しました(ガジェット通信「3月15日に福島原発より大量放出。以降、大気への大量放出は起きていない」)。

そして、同様の説が、現在もまたメディアや一般人の大部分が信じており、それゆえ、21日前後のフォールアウトについて「いまだ発表されていない大事故が 起こったのではないか」という点の追求は不十分であったと言わざるをえません。それは、Twitter上で最大権威となった早野先生の影響もあるでしょう し、またテレビ映像で爆発として目に見えた(結論を先取りすれば、それゆえ東電が隠蔽することが不可能であった)事故が15日までに集中していたこと、が もう一つの原因でしょう。

ところが、早野先生の説は、看過できない欠陥を何個も抱えており、議論としては維持不可能である、と私はこれまでずっと考えてきました。(以下の考察は、主にkenkenさんのブログ「3/21 柏市を汚染した放射能プルームについて」を参考にさせていただいており、また、図10と図12を拝借いたしました。この場を借りて感謝申し上げます。)

※重要な追記 早野先生にTwitterで確認したところ、こ の説はすでに撤回したとのことです。非常に真摯な回答に感謝いたします。ただ、現在の早野先生の考えとは別に、この説はそれ自体として検証されるべきであ るということ、また、3/15以前に放出されたという説は一般に流布してしまっていること、その点から未だに、以下の批判的記述は意味があると私は考える ため、そのまま置いておきます。
実際に、早野先生とどのようにやりとりをしたかは、本記事の末尾に記しておきます。
(3)
一つは、直感的に言って、一週間近く前に放出された放射性物質からなる放射性プルーム(放射性雲)が、関東地方といったせいぜい数十キロー数百キロ圏内の 上空を、大部分の放射性物質を落とさずに、また拡散せずに、漂い続けることが可能なのだろうか、というものです。たとえば、ドイツのシュピーゲル誌など が、オーストリア中央気象台による放射性物質拡散シミュレーションを掲載していますが、これをみると、放射性雲は偏西風に乗って時速数十キロで移動し、拡 散しているように見えます。これは、他のシミュレーションでも同様です。

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図6 オーストリア中央気象台 I-131拡散シミュレーション 3/15-3/18

また、早野先生は、日本分析センター(千葉)のデータ(本ブログ記事の図2)をもとに、「3月16日を最後に原子炉からの直接放出の証拠であるXe- 133がほとんど見え」ないということを根拠に、それ以後の放出はなかったと言っていますが、よく拡大して見れば、他のグラフに隠れているだけで、確実に Xe-133のピークは確認できます。

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図7 3/18-3/20 空気中の核種 図8 3/20-3/22 空気中の核種

また、つくばの高エネルギー加速器研究機構で採取された「空気中の放射性物質の種類と濃度の測定結果」 のグラフを抜粋しました。図7が第六回採取資料(2011年3月18日10:16〜3月20日9:55)で、図8が第七回採取資料(2011年3月20日 10:00〜3月22日9:54)です。両者を比較すると、その組成が全く異なることがわかります。このことは、21日以降の空気中の放射能汚染が、それ までとは別の汚染源からもたらされたものであることを示唆しています。

  早野先生は上記の図2の降雨量と放射性物質降下との相関関係に注目し、前者が後者の原因であったと論じています。確かに、原発事故後、21日で初めて広範 囲の降雨があったことは確かです。ですが、この比較は、あまりにも時間軸を荒く見過ぎだと思います。じっさい、3月21日の雨のデータと、空間線量の上昇 データとの時間データをより細かく調べれば、茨城県では雨が降る前に、放射線量が上昇していることが確認できます。

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図9 3/21 4時の茨城県の雨雲 図10 3/21 茨城県の空間線量

これは、「3/21のフォールアウトは上空の放射性物質が雨によって落ちてきただけである」という説明とは相容れません。

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図11 図12

また、3/21、全国的に雨雲は西から東に移動してきています(tenki.jp 3/21 雨雲の動き)。 もし、早野先生の説が正しければ、フォールアウトもまた西から東へと進んでいなければいけないはずです。ところが、図9 「茨城県東部 放射線モニターデータ解析」(理化学研究所仁科加速器研究センター専任研究員 板橋健太様作成)の3/21のデータを 茨城県の空間線量の増加を確認すると、疑いなく北(福島第一原発方面)から南南西へと、放射性プルームが移動していることが確認できます。また、先にご紹介したブログ「3/21 柏市を汚染した放射能プルームについて」によると、時速20-30kmで、「午前3時20分に大沼で観測された上昇が東海村、水戸、鉾田、つくば市へ伝播している」ことが確認できます(図12)。