「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

福島県甲状腺検査、35%が「5ミリ以下の結節、20ミリ以下の嚢胞」-ゴメリ以上の甲状腺異常の可能性 <Peace Philosophy Centre>

★全文転載

Peace Philosophy Centre
Saturday, April 28, 2012
福島県甲状腺検査、35%が「5ミリ以下の結節、20ミリ以下の嚢胞」-ゴメリ以上の甲状腺異常の可能性

http://peacephilosophy.blogspot.ca/2012/04/blog-post_28.html

 

(追記 5月2日「福島甲状腺検査 その2」も併せてお読みください。)

福島民報(4月27日)より。

しこり「おおむね良性」 甲状腺検査 18歳以下の県民健康調査   
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9966191&newsMode=article
東京電力福島第一原発事故を受けた県の甲状腺検査で、3月末までに検査を終えた3万8114人のうち、「直ちに2次検査を要する」と判定された県民はいなかった。26日、県が福島市で開いた県民健康管理調査検討委員会で示した。  警戒区域などに指定された13市町村の18歳以下を対象に検査しており、受診率は79.8%。直径5.1ミリ以上のしこりなどが確認され、2次検査の対象となったのは186人だったが、検査している福島医大は「おおむね良性。通常の診療では想定内」とした。  県は県外避難者が検査を受けられるよう、本県を除く46都道府県に検査実施機関を設ける。県内は福島医大以外にも検査拠点を整える。平成24年度は放射線量が比較的高かった12市町村の15万4894人を対象に検査する。  対象市町村は次の通り。  福島、二本松、本宮、大玉、桑折、天栄、国見、白河、西郷、泉崎、郡山、三春(2012/04/27 09:54)

「おおむね良性」という不審な表現が気になり、探したら、福島県のHPにこのような書類が出ていた。
第6回福島県「県民健康管理調査」検討委員会  次第

これにに今回の甲状腺検査の手続き、結果が出ている。下記は14ページの結果の表を転載した。これを見ると現実には上の報道が与える印象とずいぶん異なることがわかる。


報道されていないのが、検査を受けた38,114人のうち12,460人(35.3%)が、「5.0mm以下の結節や20.0mm以下の嚢胞を認めた」とされることである。「5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞」は186人、二次検査を要するとされている。


北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師より以下コメントをいただきました。

1.甲状腺の「結節」には充実性の腫瘍だけを指す場合と、腫瘍とのう胞の両方を指す場合があります。論文によって、定義はいろいろです。
2.今回の福島県調査(事故後12か月まで)では、「結節」と「のう胞」を分けて記述してありますので、「結節」の頻度=充実性腫瘍の頻度とみなすことができます。
3.今回の福島調査の結果を次のようにまとめることができます。:事故から1年後までの検診(18歳以下)甲状腺結節1.0% のう胞35.1%
4.過去の諸外国の未成年を対象とした甲状腺検診の結果と対比してこのデータを検討してみますと、

(1)チェルノブイリ・ゴメリ地方(福島市かそれ以上の汚染地域)における山下氏の検診成績
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm

1991年5月から1996年4月までの5年間で現地周辺12万人の調査解析を終了。つまりチェルノ事故の5年後から10年後までのデータを見ると、ゴメリ地域のこどもの甲状腺結節検出率は1.74%だった。

ということで、この「甲状腺結節」の頻度が「のう腫」を含む頻度だったなら、福島はチェルノブイリ・ゴメリ地方の36倍も高率に甲状腺の形態異常が発生し ているということになります。他方「のう胞」を含まない頻度だったならば、福島県調査とほぼ同じレベルの甲状腺結節出現頻度であると考えられます。ただ し、福島調査が放射線被ばくの1年以内のデータである一方、チェルノブイリデータは被ばく後5~10年経った時点でのデータであるので、「福島では、被ば くから1年経った時点で、チェルノブイリ・ゴメリ地方の被ばくから5~10年経った時点と同じ甲状腺腫瘍の発生率となっている」と言うことができます。放 射線被ばくから年数がたつにつれて、甲状腺がんが増えるわけですから、未だガンかどうかの鑑別が付かないにしても、甲状腺の中に「しこり」が発生すること は、将来の甲状腺がんの発生の恐れを示している可能性があるわけで、注意深く追跡する必要があると思います。

(2)慢性ヨード不足地域であるクロアチアの約5500名の11~18歳児の甲状腺検診
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1029709/pdf/archdisch00562-0027.pdf

甲状腺結節(結節にはのう胞を含む)検出率は0.055%(アロカ社の超音波装置で検査)でした。これは、福島調査の「結節」+「のう胞」検出率36%の 70分の1という超低率です。百歩譲って「のう胞を含まない結節だけ」の頻度=1.0%と比べても、20分の1という低率です。10数年前の調査とはい え、超音波診断技術にそれほど差があるとは考えにくいわけで、クロアチアよりも福島のこどもたちに甲状腺異常が多発している懸念を払拭できません。

以上の検討から、日本人の「平時」のこどものデータがないために、断定的なことは言えませんが、科学的な手法による福島のこどもたちの甲状腺のモニタリングをしっかり続けることが何よりも必要であると考えます。

松崎道幸

 ★転載、リンク自由です。転載の場合は全文でお願いします。転載先に必ずこの投稿のURLを明記し info@peacephilosophy.com かこの投稿のコメント欄に転載先のURLをご報告ください。