「北の山・じろう」時事問題などの日記

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電力株主総会 原発にしがみつくな(東京新聞【社説】)

東京新聞 TOKYO WEB 」から全文引用
【社説】2012年6月28日
電力株主総会 原発にしがみつくな
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062802000126.html



 東京電力など電力業界の株主総会で、個人株主が「脱原発」を提案した。否決はされたが、福島第一原発事故は脱原発の流れを勢いづけている。原発に頼らない社会への期待はかき消せない。

 東電の総会に出席した株主は約四千四百人。昨年を大きく下回ったが、原発への逆風が和らいだなどと安閑としてはいけない。

 新潟県に立地する柏崎刈羽原発七基の「稼働断念、すべて廃炉」を求める四百二人の提案は否決されたものの、脱原発提案は東電だけではない。

 関西電力の筆頭株主、大阪市は橋下徹市長自ら総会に出席し、関電保有の原発十一基の速やかな廃止などを求めた。中部電力では浜岡原発から十キロ圏に位置する静岡県牧之原市が「電源喪失リスクの高い原発を利用しない」などの株主提案に賛成した。いずれの提案も原発に頼らない社会に向けて、経営の転換を求める分厚い世論が後押ししたと受けとめるべきだ。

 福島第一原発の事故から間もなく一年四カ月。電力業界は「ポスト福島」をいかに描くのか。株主総会は、その入り口すら示さずに終わった。なぜ原発にこだわり、将来を語らないのか。電力業界の不誠実さに今さらながら驚く。

 関電の大飯原発は野田政権が再稼働を決めたが、東電の柏崎刈羽原発は地元の新潟県が「福島の徹底した事故分析がない限り再稼働に同意しない」と慎重姿勢を崩さないため、火力依存を継続せざるを得ないとの判断に傾いている。

 温暖化物質の二酸化炭素排出量を減らすため、石炭火力の発電効率を50%に引き上げるIGCC(石炭ガス化複合発電)を普及させたり、七月から全量買い取りが始まる風力や太陽光などの自然エネルギーを組み込んだ経営モデルを考えていないのだろうか。

 電力各社、とりわけ事故の当事者である東電は利害関係者が株主などにとどまらず、とてつもなく広がっている現実を知るべきだ。

 賠償費用などがかさんで経営が窮地に追い込まれた東電は公的資金の投入で救済される。国民の税金であり、今や国民すべてが利害関係者というべき存在だ。原発を「電力安定供給の重要な電源」と唱えるばかりで、国民に新たな経営モデルを示さなければ怠慢のそしりを免れない。

 野田佳彦首相が表明した脱原発依存を視野に入れ、事故から何を学び、何を今後の経営に生かすのか。それこそが電力会社が向き合うべき課題、責務のはずだ。