「東京新聞 TOKYO WEB」から全文引用
国の防災訓練 炉心溶融 想定から除外
2012年6月30日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012063002000235.html
東京電力福島第一原発事故後、初となる国の原子力総合防災訓練について、計画作りを指示された原子力安全基盤機構が「最悪ケースの想定は避ける」として福島事故で起きた炉心溶融(メルトダウン)を除外するなどの方針をまとめていたことが三十日、分かった。
「地域住民の不安を増長する」という理由。一方で、福島事故で役立たなかった対応拠点施設(オフサイトセンター)が一定段階から本格的に機能すると想定していた。機構は、新設される原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁に統合されるが、危機対応への意識が乏しい姿勢が浮き彫りになり、先行きに不安を感じさせる。
機構は、経済産業省原子力安全・保安院の安全規制を実務面で支援している。保安院の指示で二〇一一年度訓練の計画案を作成したが、訓練は結局実施されなかった。
保安院によると、機構から説明を受けた担当者は「炉心溶融や水素爆発がない想定はあり得ない」と指摘したが、具体的な修正は指示しなかった。
訓練はその後、具体化せず議論も進んでいない。新規制組織が発足後、内容を検討する。
防災訓練は、一九九九年の東海村臨界事故を受けて制定された原子力災害対策特別措置法に基づき、地方自治体も参加してほぼ毎年開催。首相を本部長とし、原子力緊急事態を宣言して住民避難などを訓練する。
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政府は福島事故での混乱を「十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図る」として、電力会社などに重大事故の発生を想定した訓練を義務づけたとしている。ただ、改正された特別措置法などでは重大事故想定の訓練の義務化は明記されなかった。