「北の山・じろう」時事問題などの日記

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社説:原発国会事故調 検証と提言に耳傾けよ<毎日新聞>

★<毎日新聞>から全文引用
社説:原発国会事故調 検証と提言に耳傾けよ
毎日新聞 2012年07月06日 02時31分
http://mainichi.jp/opinion/news/20120706k0000m070097000c.html

(1)


 事故は自然災害ではなく「人災」だ。事前に対策を立てる機会が何度もあったのに実行されなかった。根本的原因は、日本の高度経済成長期にまでさかのぼった政府、規制当局、事業者が一体となった原子力推進体制と、人々の命と社会を守るという責任感の欠如にあった−−。

 東京電力福島第1原発事故について、こう結論付けた報告書を国会の事故調査委員会が公表した。政府と東電のもたれあいの構図に踏みこみ、歴史的背景に迫った報告書を評価する。事故の未解明部分の究明や廃炉問題などを調査審議する第三者機関の国会設置、国会による原子力規制当局や電気事業者の監視体制の構築など7項目の提言も行った。政府及び国会は真摯(しんし)に受け止め、今後に生かしてほしい。

 報告書によれば、東電は原発の稼働率の低下や訴訟への影響を恐れて安全規制の強化に反対し、規制当局もそれを後押ししてきた。原発の耐震補強の必要性や津波により全電源喪失に至る危険性を認識していながら対応を先延ばしし、経済産業省原子力安全・保安院も黙認した。規制当局は専門性でも東電に劣り、「規制する立場とされる立場に逆転関係」が起きて、事業者の「虜(とりこ)」になっていたという。その通りだろう。

 危機的状況での官邸や東電の当事者能力の欠如も浮かび上がった。

(2)


 官邸は東電などから情報を得られず、現場に介入し、指揮命令系統の混乱を生んだ。東電が「全面撤退」を決めた事実はないが、清水正孝社長(当時)が曖昧な連絡に終始したことが官邸の誤解の原因で、東電こそ過剰介入を招いた張本人という。

 「時の総理の個人の能力、判断に依存しない危機管理の仕組みの構築」が必要との指摘はもっともだ。

 事故がどのように進展したのかについては未解明の部分が多い。現場は高濃度の放射能で汚染されているため、立ち入って重要機器の調査や検証をすることができないことが理由で、やむを得ない面はある。

 東電の社内事故調は、事故の主因は津波で地震による主要機器の損傷はないとの見解をまとめているが、国会事故調によれば、地震による損傷がないとは言えず、冷却水漏れの可能性も否定できない。耐震補強の不備に関しては、国内の全原発について調査する必要がある。国会に第三者機関を設置して検証作業を続けるという提言には耳を傾けたい。

 報告書が言うとおり、福島原発事故はまだ収束しておらず、被害も継続している。国会事故調は個々の原発の再稼働に関する審議は見送ったが、報告書の指摘事項の再検討なしに、再稼働が認められることがあってはならないはずだ。