「北の山・じろう」時事問題などの日記

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東電値上げ  もっと圧縮できるはず【京都新聞】<社説>

47NEWS 
47トピックス[京都新聞 2012年07月11日掲載]
【京都新聞】<社説>
東電値上げ  もっと圧縮できるはず
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html
(全文引用)

 東京電力の家庭向け電気料金の値上げをめぐる議論が大詰めだ。経済産業省の専門家委員会が値上げ幅を1%程度抑える案を示したが、内閣府の消費者委員会は人件費など一層の切り込みを求める。
 割高な燃料費や再稼働を前提とした原発の費用など疑問は多い。認可権限を持つ枝野幸男経済産業相は透明性を確保しつつ、消費者が納得できる根拠を示す責任がある。
 東電は5月、家庭向け料金を平均10・28%値上げしたいと経産相に申請した。電力会社は燃料費や人件費などの必要経費に一定の利益を加えて金額をはじき出す総括原価方式で電気料金を決めているため、何をどこまで原価に盛り込むかによって金額は左右される。
 焦点の一つは人件費だ。東電は給与を2割カットし、従業員千人以上の企業と同等水準に減らしたと主張している。これを経産省の専門委は「妥当」と容認したが、消費者委は追加削減を求めた。
 当然だろう。東電は公的資金の注入を受けるが、政府の支援を同様に受けた他の企業は人件費を3割程度減らしている。東電は原価に今冬のボーナスに相当する人件費を上乗せし、家賃補助など一般企業より手厚い福利厚生も温存している。さらなる精査が必要だ。
 事故をまぬがれた福島第1原発5、6号機と福島第2原発1〜4号機計6基に伴う費用も論点だ。東電は2012年度から14年度の平均で減価償却費など年間900億円を原価に盛り込んでいる。
 だが、原発事故の収束が見えない中、福島県内で他の原発を動かすことは到底不可能だろう。将来の再稼働がないなら原発に資産価値があるとは言えず、減価償却費を計上する理屈も成り立たない。
 一方で6基の固定資産額にあたる簿価は原価から除外した。固定資産額はもうけを算定する際の前提となることから、利用者の理解を得られないと判断したためという。これでは整合性がとれない。
  経産省の専門委は燃料費の圧縮も促す。原発の停止で火力発電の比重が高まり、液化天然ガス(LNG)の調達費が膨らむのはやむを得ないが、原価算入された 価格は貿易統計の平均価格に比べても割高だ。世界的にLNG価格は下落しているにもかかわらず、日本は価格を原油に連動させる長期契約をとっているため、 高値が続く。
 合理化努力なき値上げは独占的な地位を利用して事故の負担を消費者へ転嫁することにほかならない。しかも家庭向けは大口企業のように新電力の参入が認められておらず競争原理も働かない。納得できる料金体系のためには地域独占の解消や発送電分離が必要だ。

[京都新聞 2012年07月11日掲載]