「北の山・じろう」時事問題などの日記

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マスコミにはわからない数字を読み解けば一目瞭然。野田政権の「日本再生戦略」は共産国の「計画経済」と同じ絵に描いた餅

「現代ビジネス」から全文引用
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2012年07月16日(月) 高橋 洋一
高橋洋一ニュースの深層
マスコミにはわからない数字を読み解けば一目瞭然。野田政権の「日本再生戦略」は共産国の「計画経済」と同じ絵に描いた餅
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33024
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33024?page=2
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33024?page=3
(1)
政府は7月11日、「日本再生戦略」の原案を公表した。2020年までに環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、630万人の雇用を創るという政権の目玉となる成長戦略だ。

これについて、新聞各紙が社説などで、次のように解説している。「日本再生戦略 目標達成へ政策を絞り込め」(13日付け読売新聞)、「医療・環境などで 雇用創出600万人 日本再生戦略原案」(12日付け日経新聞)、「「再生戦略」原案 実効性あるプランなのか」(13日付け産経新聞)、「日本再生戦略  官僚色がくっきりだ」(14日付け中日新聞)などだ。

各紙、主張が違っているようにみえるが、その中身の素材は驚くほど似ている。「官僚による絵に描いた餅」ということだ。官僚に対する信頼度やネタ元をどの程度依存しているかで、主張のニュアンスが異なっているように筆者には見えた。

問題の本質は、日本型産業政策の是非になる。この点は、他のコラムで書いたので、各紙が前提としている「絵に描いた餅」を数量的にしっかりと示そう。
平均年収260万人の成長産業?

 実は数量的に問題点を示せないというのはマスコミの弱点である。これだけ数字が記載されている資料が山盛りなのだから、その矛盾を示せばいいもの を、数字に弱いマスコミはできない。かつて筆者が官邸にいたとき、マスコミ対策には数字をたくさん出せといわれた。マスコミは役所の出した数字を盲信的 に、そのまま受け入れそのまま書くからだ。

マスコミにマクロ経済の理解、知識がないことも問題だ。竹中平蔵氏が14日のツイッターで興味深いことをつぶやいていた。

 「元大企業幹部、元高級官僚らが出席する会で経済の議論をした。しばしば経験することだが、こうした人たちのマクロ経済に対する認識の低さに驚 く。マネーとデフレの関係、GDPと税収の関係に対する無理解・・。日本がダメになる訳だ。社会の経済リテラシーを高めることが、日本経済再生の必要条件 だ。」
 マスコミはこうした人を先生扱いし、彼らからの話を記事にしているわけだから、マクロ経済がわからないのは当然だろう。

(2)

 原案では、いろいろな各省の施策が羅列されている。筆者は、官僚の書いたものを理由なしで悪いとか間違っているとか決めつけない。消費税について も彼らが、社会保障目的税化した国はないこと、分権の進んだ国では地方の一般財源になっている国が多いことなど税制にかかわる財務省官僚ならば知っている ことを国民に隠し、社会保障目的税化し国税に固定化しようとする、今回の消費税増税に反対してきたわけで、いつもきちんとその理論や根拠を示して官僚の意 見を批判している。ちなみにガチンコで議論するのは厭わないが、なぜか官僚サイドのほうが避けている。

さて日本再生戦略の原案のうち、グリーン成長戦略と題し2020年までの目標として「50兆円超の環境関連新規市場、140万人の環境分野の新規雇用」、 ライフ成長戦略と題し2020年までの目標として「医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出:新市場約50兆円、新規雇用 284万人」が、絵に描いた餅の典型例だろう。

まず、上記の「市場規模」というのが何を表わすのか。ひとつは付加価値ベース、もうひとつは売上高ベースだ。売上高ベースとすると、かなりシャビーな成長 戦略だ。一般的な産業の人件費売上高比率は15%。だから50兆円市場といっても7.5兆円だ。医療関係で284万人の新規雇用とすると彼らの平均年収は 260万円ということになり、これでは成長産業と言えないだろう。

付加価値ベースではどうか。環境省の地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会では、温室効果ガス対策のために必要な国内投資額が、2020年で33 兆円と推計されている。また、2020年における海外需要つまり環境保全技術の輸出分12兆円とされて、合計の付加価値ベースで45兆円と新市場の9割を 占めるとされている。グリーン成長戦略はその数字をもってきただけだ。
雇用を厚労省が所管するのがおかしい

 グリーン成長戦略とライフ成長戦略で合計100兆円の付加価値ベースの増加になっているので、これだけでもう実質経済成長率2%は達成できる計算 だ。ほかのものまで足し合わせたら、実質4%くらいの成長になってしまう。各省から勝手な数字を持ち寄るから、こういう無様な姿になってしまう。もちろ ん、本当に達成できるなら、そのほうが望ましいが、その淡い期待も雇用者数の数字から「絵に描いた餅」が明らかになる。

そもそもミクロの努力によって雇用者数はあまり増えない。最近10年間くらいで雇用者数が増えたのは小泉政権時代後期くらいであるが、その時には量的緩和というマクロ金融政策が効き、デフレ脱却まであと一歩のときだった。

 図URL
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/1/1/600/img_11a5237f18f8be8c41a1550c742638b0473523.jpg

(3)
 雇用について、日本はミクロをみている厚労省が所管するのがおかしい。米国では雇用の最大化はFRB連邦準備制度)の責務で、マクロ経済政策で需要不 足部分に対する失業率を下げることは中央銀行の責任だ。このため、雇用についてバーナンキFRB議長が広い意味での政府を代表して責任を持っている。


もしマクロの金融政策が完ぺきであっても、人口減少の日本では雇用者数があまり増えない。ということは、「日本再生戦略」のような新規雇用を創出すると、 別の産業で雇用者の減少あるだろう。630万人の雇用が創出されるということは、600万人くらいの雇用喪失が別の産業でありうるということになる。

それはどのような産業なのか、政府原案では示されていない。そんな産業は示しようがないのだ。ということは、成長すべきと原案で示された産業も当てにならないということだ。政府が成長する産業としない産業を示せるなら旧共産圏の計画経済は失敗しなかっただろう。



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