「北の山・じろう」時事問題などの日記

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【社説】電力改革 既得権益を打ち破れ<東京新聞 TOKYO WEB>

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東京新聞 TOKYO WEB〜全文引用

【社説】電力改革 既得権益を打ち破れ
2012年7月16日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012071602000108.html



 経済産業省の委員会が電力販売の全面自由化と発送電分離を柱とする基本方針を決めた。業界保護に偏る電力制度を消費者重視に転換させる改革だ。実現には既得権益を排す制度設計が欠かせない。

 現行の電力制度は家庭や商店向けなどの小口料金にコストをしわ寄せする、不公平で、かつ消費者に対する優しさを著しく欠いた仕組みと言わざるを得ない。

 既に自由化されている企業向けなどの大口料金は直接交渉で決まるが、小口は燃料費などの原価に利潤を上乗せする総括原価方式で決まるので高止まりしてしまうからだ。それは二〇〇六〜一〇年度の十電力の料金の平均値にはっきりと表れた。

 東電の場合、新電力の特定規模電気事業者(PPS)との競争により、大口契約の上位十社は一キロワット時当たり平均十一円台に下がった。それに引き換え、小口の家庭向けは約二倍の二十三円台、しかも東電の利益の九割を占めた。

 小口では東京、関西、中部電力などによる地域独占が壁となり、新電力による供給は認められていない。学識経験者らで構成する経産省の電力システム改革専門委員会が、小口も含む全面自由化を打ち出したのは当然のことだ。

 詳細な制度設計は年末に先送りされたが、見直しが実際に効果を上げるには、多くのハードルを越えなければならない。たとえば、新電力の供給量をどう増やすか。現在の新電力の企業向け供給割合はわずか3%にとどまっている。

 供給力が乏しくては、家庭が新電力から電気を買うことは難しい。電力卸会社Jパワーなどに供給力の増強を促し、まずは競争環境を整える必要がある。

 発電と送電との一体経営を見直す発送電分離も、新電力が送電網を使いやすくする制度設計にとどめず、風力など自然エネルギーの積極活用に向け、北海道など適地の送電網整備も進めるべきだ。それは脱原発依存も後押しする。

 地域独占や総括原価方式、電力販売の全面自由化、発送電分離は、どれも改革が叫ばれて久しい。

 皮肉にも東電福島第一原発の事故が、それを表舞台に引きずり出す役割を演じたが、いずれも電力会社の既得権益の壁にはね返されてきたのが現実だ。

 原発事故で飛散した放射性物質は十六万人もの人々を故郷から追いやった。原発も、電力の商法も、謙虚さが決定的に欠如している。新たな制度設計は公平さと優しさを理念に貫くべきだ。