「北の山・じろう」時事問題などの日記

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【社説】2012年7月22日 多消費から持続可能へ<中日新聞 CHUNICHI WEB>

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【社説】2012年7月22日
多消費から持続可能へ 週のはじめに考える
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012072202000075.html
(全文引用)


 原発の問題は、エネルギーの問題であり、エネルギー消費の問題でもある。今当たり前の大量消費文化に私たちが別れを告げられるかということです。

 今春、ショックを覚えたことがありました。日本への永住を決め、国籍も取得した文学者ドナルド・キーンさんの言葉でした。記者会見でこう言いました。

 「率直にいうとがっかりしています。東京は(電気照明がこうこうと灯(とも)り)明るい。必要のない看板がたくさんある。東京だけではありません」
キーン先生から叱責 (しっせき)

 この叱声を耳痛く聞いた日本人は、おそらくいっぱいいたのだと思います。昨年の夏はあれほど節電していたのに、のどもと過ぎれば熱さを忘れるというようなことになっていたのですから。

 外国から来ると、よくわかるのでしょう。もう少し言えば被災地との痛みの分かち合いはどうしたのですか、ということでもあったでしょう。

 節約、節制は、口で言うのはやすく実行はむずかしいものです。洋の東西を問わず、人間の弱点、性癖のようなものです。

 まして大量消費という暮らしに慣れきってしまえば、抜け出すのは容易でない。敵はわが身に潜む欲望であり大量消費社会とはその

欲望をかき立てるからです。

 それが全部悪いとまでは言いません。便利なこと、豊かなこと、楽しいこともあります。しかし、時には立ち止まり考え直すことも必要でしょう。昨年の3・11とは不幸にしてその機会を与えてくれたのに相違ありません。

 そういう機会は以前にもありました。一九七三年の第四次中東戦争に端を発した第一次石油危機です。アラブ産の石油が反アラブ国には禁輸とされ、世界がパニックになりました。
小さくてすばらしい

 実際には日本などには非アラブ産の石油が回され、極端な輸入低下はなかったのですが、資源小国の日本は将来を心配しました。原子力は国策としてさらに重要になったのです。

 同じ年、たまたま世界的ベストセラーになった本がありました。英国で出版された「スモール・イズ・ビューティフル(邦題・小さいことはすばらしい)」です。資源の適正な利用を訴え、石油危機を予想していたのです。

 著者はドイツ出身の英国の経済学者エルンスト・シューマッハー(一九一一〜七七年)。経済学の泰斗ケインズも認めた学者で、英国石炭公社の顧問を二十年間務めている。戦後欧州の復興は石炭がかぎであるとしながら、石炭も石油、ガス、ウランも限りのある資源と見ていた。戦略的、投機的対象にもなる。彼によれば石油危機は来るべくして来たわけです。

 地球規模では経済成長の限界を予測し、人間単位では欲求を小さくして、満足を深くすることが必要だと訴えていました。人間中心の経済学と呼ばれました。

 それが本の題の「小さいことはすばらしい」です。彼はミスター・スモールと愛称され、米国の講演旅行では行く先々で立ち見が出たそうです。

 世界が彼を熱く迎えたのは、石油危機の直後ということもあったのでしょうが、充実感のある仕事やぜいたくでなくとも静かな幸福と、残念だがそうではない現実との間に埋めがたい溝が生じていたからかもしれません。経済成長のかたわらで人が置き去りになっているような光景です。

 しかし、彼の考えは広がらなかった。賛同者は多数にはなりませんでした。

 幸福や満足感は人ごとです。石油危機は資源輸入の分散、産業の省エネルギーや効率化をぐんと進めました。豊かさは維持されました。それは尊重すべきことです。

 しかし、今のままでいいのか、その豊かさは果たして持続可能かと問われれば、答えに詰まるかもしれません。答えるにはシューマッハーの思想も参考になるし、他にも種々の考え方はあります。

 節電の夏といいます。企業活動や生活には大きな影響があります。中東戦争が引き金の第一次石油危機、またイラン革命で起きた第二次石油危機に次ぐ、新しいエネルギー危機の下での夏です。
原子力に頼らぬとは

 前の二つは政治と経済成長で乗り切れましたが、今度の危機の克服には私たち自身の改革が大きな要素になりそうです。少なくとも冒頭のキーン先生のいうような無駄遣いは慎みたいし、それ以外にも自分の意思で実行してみたい。

 原発に頼らないとは、大量の、また過剰かもしれない消費を見直そうという国民や企業が増えることでもあるのです。国がやらないのなら、私たち自身がやるしかないのです。


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