「北の山・じろう」時事問題などの日記

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全国民注目!原発ポチたちの「やらせマニュアル」をスクープ入手 中国電力の内部文書に書かれた呆れた中身 まだこんなことやってんのかよ

現代ビジネス
経済の死角
2012年08月28日(火) 週刊現代
全国民注目!原発ポチたちの「やらせマニュアル」をスクープ入手 中国電力の内部文書に書かれた呆れた中身
まだこんなことやってんのかよ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33344
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33344?page=2
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33344?page=3
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33344?page=4
(全文引用)

(1)

 懲りない面々である。意見聴取会への出席の次は、パブリックコメントへの意見の提出を社員に促していた電力会社。国民の不信感を高め、自らの首をしめることになると、なぜ気づかないのか。
文書には「社内限り」の印

「あまりに膨大な数でした。正直に言うと、国民の原発問題への関心の高さを、甘く見すぎていたかもしれない。寄せられた意見が多すぎて、こちらの対応が追いつかないほどです」(内閣府中堅職員)

 約9万件。内閣府が7月2日から募集した「〈エネルギー・環境に関する選択肢〉に対する御意見」、いわゆる「原発依存度についてのパブリックコメント」に投稿された意見の総数である。

 今回のパブリックコメントは、2030年時点での日本のエネルギー政策について、「原発依存度をゼロにするか(ゼロシナリオ)、15%にするか (15シナリオ)、それとも20~25%にするか(20~25シナリオ)」、どれが一番ふさわしいと思うかを国民に問うものだった。

 内閣府は過去にも様々な政策についてパブリックコメントを募集してきたが、「集まってくるのは多いときでもせいぜい1000件程度だった」(同・中堅職員)というから、9万件という数字がどれだけ大きなものであるかお分かりいただけるだろう。

 現在内閣府ではその集計が急ピッチで行われている。その結果については8月16日現在では報じられていないが、「おそらく原発比率はゼロ、とする 声が6~7割を占めるでしょう」とこの中堅職員は予測する。7月14日より日本各地で開催された「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」でも、前 出の3つの選択肢のなかからどれを選ぶべきか、意見の交換が行われたが、意見を表明した人の約7割がゼロシナリオを支持しているからだ。

 国民の多数が「将来的には原発ゼロ」を望んでいることは明々白々。しかし、この国民の声に対して露骨な嫌悪感を示し、総力を挙げてゼロシナリオもしくは15シナリオを阻止しようとする勢力が存在する。電力会社の面々である。

 去る7月16日、名古屋市で開かれた意見聴取会に中部電力の社員が出席し、原発擁護発言をして世間からの批判を浴びたのは周知の通り。だが、電力会社の〝世論への介入〟はそれだけに止まっていなかった。

 管内に島根原発と建設中の上関原発を抱える中国電力は、原発の必要性を分かりやすく解説した資料と、社員に対してパブリックコメントに意見を提出するよう、暗に求める文書を作成していたのだ。

「社内限り」の印が押され、各部署の長のみにしか配られなかったというこの内部文書が流出することなど、中国電力側は考えもしなかったのだろう。本 誌は中国電力の関係者の協力を得てこの文書を入手したが、ここには合計50ページにもわたって、電力会社のホンネと、社員への要請が記されているのだ。

(2)
驚くべき「上から目線」

 この文書ではまず、

〈政府のエネルギー・環境会議は、「エネルギー・環境に関する選択肢」を決定し提示しました。

 政府は、この選択肢に基づき国民的議論を展開し、国民各層の意向を総合的に把握した上で、今後のエネルギー・環境政策を8月中に決定するとしています。

 今般の国民的議論は、我が国のエネルギー・環境政策の決定内容を大きく左右するものであり、当社としても、電力の安定供給という責任を担う当事者として、自らの意見を表明していくことが重要と考えています〉

 と現状を説明した後で、

〈今般の選択肢の内容・問題点、選択肢に対する当社の考えについて理解を深めていただくため、職場会議等を通じて資料1~3を全所属員に周知してください〉

 という指示が書かれている。その資料1~3には、原発の比率を下げ れば下げるほど、電力会社の経営が窮地に陥っていくことが丁寧に説明されており、「ゼロシナリオ、15シナリオ」が選ばれた場合、電力会社も国民も厳しい 規制と負担に直面するとして、次のように「中国電力の見解」がまとめられている。

〈今回の選択肢のうち、「ゼロシナリオ」は、エネルギーの多様性確 保、実現可能性、およびエネルギーコストの抑制といった観点から、選択肢たり得ないと考えます。提示された選択肢の中から、あえて一つを選ぶとすれば、原 子力の安全確保を大前提に、「20~25シナリオ」は選択肢となり得ると考えます〉

 これが「社としての考えを社員・職員に周知徹底する」だけの文書ならば、そこまで問題視することはない。

 しかし同文書には、見逃してはならないこんな記述がある。

〈政府は国民全体での議論を呼びかけており、社員が自分の意思で意見聴取会への応募やパブリックコメントへの意見提出等を行うことは自由です。各人の選択肢に対する考えについて、意見提出等をしていただければと考えています〉

 このように、社員にパブリックコメントの提出を呼びかけるような文言があるのだ。

 文面上は「どんな意見を提出してもいい」とされているが、膨大な資料を使って原発の必要性を説明し、さらに「社としては最低でも20~25シナリオ」と表明した上で「意見提出を」となれば、社員に「原発賛成の意見を送るように」と指示しているようなものではないか。

 中国電力広報部門は本誌の取材に対して「あくまでも社員個人の考えを出すことは自由で、応募を働きかけたということではない」と回答するが、ジャーナリストの大谷昭宏氏はこう呆れる。

(3)

「この文面を見ると、『みなさん、パブリックコメントを出してくださ いね』と、会社が社員に要請していると受け取られても仕方がない。いくら社内文書とはいえ、この繊細な時期に臆面もなくこうした文書を配るのは、『俺たち が、なにも分かっていない連中に原発の必要性について教えてやらなければならないんだ』という、電力会社特有の〝上から目線〟体質が、原発事故以降もまっ たく変わっていないことの現れといえるでしょう」

 この文書が中国電力幹部に配られたのは7月12日のこと。7月16日には中部電力社員が意見聴取会に出席して世間の批判を浴びたが、その直後にはこんなドタバタがあった、と中国電力の社員が明かす。

「さすがに『あの内部文書には問題がある』と思ったのでしょうか。7 月19日には新しい文書が配られました。そこには『意見聴取会やパブリックコメントの募集において、会社として社員に対し応募や提出を促すことは、これま で同様一切行いません』との一文が記されていた。万が一内部告発などが起こった場合を想定して、急遽作成したのでしょうが、『あれで〝提出を促さなかっ た〟はないよな』との声が社内でも上がりました」

 それだけではない。中国電力は幹部社員に対して、次のようにも要請している。

〈各所において日頃からお付き合のある社外のオピニオンリーダーのうち、電力に理解のある方々を対象に、(中略)選択肢の内容および当社の考えを説明してください〉

 オピニオンリーダーとは、大学教授や地元政治家らを指しているようだが、彼らにも「原発は必要」という意見と主張を広めることに一役買ってもらおうとしているのだ。

「文書を作成した経営企画部門と広報部門は、実際にオピニオンリーダーに説明したかを報告するように幹部らに求めました。社員が説明した相手には、パブリックコメントに親原発の意見を送ることを期待していたようです」(同・中国電力社員)

 電力会社が第三者に対してパブリックコメントを送るように要請したり、原発は必要というメッセージを発するように要請したのなら、これはれっきとした「やらせ」ではないか。
国民の声を無視する技術

 ご丁寧にも同文書には、そうした批判を予想して、

〈当社から社外の方に何らかの依頼や働きかけを行うことは、公平な議論を妨害する「やらせ」と受け止められる恐れがあります。

 このため、「当社の考えのご説明」というスタンスを徹底し、当社意見の代弁を依頼していると受け止められかねない言動は絶対に行わないでください〉

 という注意が書かれている。しかし、「説明しただけで、要請はしてない」という理論が通用すると思っているのなら、呆れるよりほかない。これが原発から離れられない「原発ポチ」のマインドなのである。

(4)
 福島第一原発事故の影響について研究する、福島大学の後藤忍准教授は、この内部文書を一読した上でこう指摘する。

中国電力は現在山口県に上関原発を建設中ですが、ゼロシナリオや15シナリオが選択されれば、新しい原発を建設する必要がなくなるため、上関原発は無用の長物となる。それでは経営上大きな損害を被るということで、なんとしてでもゼロもしくは15シナリオを阻止したいのでしょう。経済的利益を優先して、事故のリスクなどについてはフタをしてしまうその姿勢は、3・11以前となにも変わっていませんね」

 中国電力の呼びかけによって、社員やオピニオンリーダーパブリックコメントに意見を寄せても、国民の多数が「ゼロシナリオ」を支持しているなら、さほど影響はないのでは---。普通はそう考えるが、後藤准教授は「政府は国民の声とは関係なく、原発を残すシナリオを選択するのではないか」と危惧を示す。

「政府が国民に提示した資料を読むと、原発依存度が低くなった場合の経済的ダメージばかりが強調され、〝原発を維持するにはどれくらいのコストがかかるのか〟〝再び原発事故が起きた場合、日本全土でどれぐらいの被害が想定されるのか〟についての説明がまったくないのです。『原発ゼロだと、国民経済が台無しですよ』と言って、『だから15シナリオにしましょうよ』ともっていきたい思惑が透けて見えるのです。公正な議論をする気など、ハナからなかったのかもしれません」

 たしかに政府は「多数決で決める」とは言っていない。それどころか、

〈寄せられた意見をもとに、有識者会議を開いて分析する〉

統計学に詳しい専門家を呼んで、寄せられた意見を分析する〉

〈8月中には決められないので、9月まで検討する〉

 などといくつもの要件を「後出し」し、さらには枝野経産大臣が「2030年ではなく、2050年を目標にしてもいいのではないか」とまで言い出す始末である。

 さまざまな意見を分析した結果、「原発が必要という意見が少なからず存在し」、「有識者にもそう考える人がいるので」、やっぱり原発は必要です、という結論を導きだす可能性は十分にある。原発ポチたちが必死に叫び続けているのは、そうなるのを望んでのことなのだ。

 ゼロシナリオか、15シナリオか、20あるいはそれ以上か。はたして政府はどんな結論を出すのだろうか。その選択次第では、政府に対する国民の信頼が「ゼロ」となることを、覚悟しておかねばなるまい。

「週刊現代」2012年9月1日号より