「北の山・じろう」時事問題などの日記

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【「革新的エネルギー・環境戦略」詳報(2)】

東京新聞 TOKYO WEB
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【「革新的エネルギー・環境戦略」詳報(2)】
2012年9月14日
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/nucerror/report/list/120914-2.html
▼全文引用

 「革新的エネルギー・環境戦略」詳報(1) >>
【3、エネルギー安定供給の確保のために】

 原発のコストは、社会的コストを含めれば、従来考えられていたように割安ではなく、大規模集中型電源として安定供給上も問題があることが明らかになった。再生可能エネルギーの多くは現時点ではコストが高く、供給も不安定なケースが多い。こうした中で少なくとも当面は火力発電の重要性が高まる。グリーンエネルギーの拡大を目指し、これが実現すれば、化石燃料の消費量は現状よりも減少していく。

 火力発電は、地球温暖化対策上の問題はあるものの、わが国は世界に類を見ない高い環境技術を有しており、この技術を使って国際貢献や輸出・成長に結びつける戦略も必要である。国際的なエネルギー情勢を踏まえれば、化石燃料の安定的かつ安価な調達がわが国経済社会を左右する重い課題となっていることにも十分に留意しなければならない。

(1)火力発電の高度利用

液化天然ガス〈LNG〉火力発電)

 LNG火力発電は、国内パイプラインの整備や北米からの輸入ルートを構築し安定供給と低廉化を実現する。

(石炭火力発電)

 石炭火力発電は、ベース電源としてより一層重要な役割を果たす。わが国の高い環境性能を持った石炭火力を海外で展開する。

(適切な電源構成)

 バランスの取れた石炭・LNG・石油火力の電源構成を実現するため、最新設備の導入を促進する。

(環境影響評価)

 老朽化した火力の最新設備への置き換えは、環境影響評価の簡素化・迅速化に取り組み、最短で1年強に短縮することを目指す。

(2)コージェネレーション(熱電併給)など熱の高度利用

 燃料電池を含むコジェネを最大限普及させ、エネルギーの有効利用を促進する。コジェネによる電力の売電を円滑に行い得る環境を整備し、コジェネ設備の導入支援策の強化を図る。

(3)次世代エネルギー関連技術

 次世代エネルギー関連技術の実用化に向けた研究開発を促進する。

(4)安定的かつ安価な化石燃料の確保および供給

 資源国との包括的かつ互恵的な2国間関係の構築・強化を通じて安定的かつ安価な石油、天然ガス、石炭の確保を図る。

 石油・天然ガス・メタンハイドレートなどの国内の海洋エネルギー・鉱物資源の開発強化を図る。

 石油・LPガスの備蓄、サプライチェーン(調達・供給網)の維持強化を着実に推進する。
【4、電力システム改革の断行】

 「原発に依存しない社会の一日も早い実現」「グリーンエネルギー革命の実現」「エネルギー安定供給の確保」の3本柱を実現するにはエネルギーをめぐる仕組みを抜本的に改める必要がある。国民が主役となる仕組みには誰もが自由に使えるネットワークと競争的な市場が不可欠である。

(1)電力市場における競争促進

 小売市場の全面自由化により、全ての国民に「電力選択」の自由を保障するとともに関連サービスの導入を促進する。

 電力の卸売りに関する規制の撤廃、卸電力取引市場の活性化などにより、発電・小売市場での競争を促し、コストダウンや顧客サービスの充実を目指す。

(2)送配電部門の中立化・広域化

 発電部門と送配電部門を機能的または法的に分離する。これにより、再生可能エネルギーやコジェネを含むあらゆる事業者に対し、送配電網を中立・公平に開放する。

 地域をまたいで系統を運用する中立的な機関を創設し、送配電網の広域運用を実現する。これにより、再生可能エネルギーの不安定性を緩和し、広域的に供給力を有効活用する仕組みへと転換する。

 再生可能エネルギーを含む広域的な供給力を有効に活用するため、また市場を活性化させるため、地域間・地域内の送電網の増強を進める。その際にはネットワーク利用料などによる民間の投資回収を原則としつつ、必要に応じて国が政策的支援を行う。

 政府は、以上の内容をより具現化した「電力システム改革戦略」(仮称)を、年末をめどに策定し、国民に提示する。
【5、地球温暖化対策の着実な実施】

 地球温暖化を防止することは人類共通の課題である。わが国は50年までに温室効果ガス排出量を80%削減することを目指すとしており、長期的・計画的に対策に取り組んでいく。

 再生可能エネルギーの大量導入と省エネルギーの国民的展開に加え、地球温暖化係数の高い代替フロンなどエネルギー起源二酸化炭素(CO2)以外の温室効果ガスに関する抜本的な対策を、国民と政府が一体となって着実に実行することにより、国内における30年時点の温室効果ガス排出量を、おおむね2割削減(1990年比)することを目指す。

 国内における20年時点の温室効果ガス排出量は、原発の稼働が確実なものではないことからある程度の幅で検討せざるを得ないが、一定の前提をおいて計算すると、5〜9%削減(90年比)となる。

 政府は上記の内容を踏まえ、年末までに13年以降の「地球温暖化対策の計画」を策定し、国民および国際社会に対して示していく。
【着手にあたって〜政府と国民が一体となった検証と実行】

 「革新的エネルギー・環境戦略」を成功裏に推進していくためには、全ての国民の力を結集することが不可欠である。政府は、全ての国民がこの新たなエネルギー社会の創造に参加できるよう、責任を持って政策転換を行う。

 政府は原発に依存しない社会への道筋を実現するため、グリーンエネルギー拡大の状況、国民生活・経済活動に与える影響、国際的なエネルギー環境情勢、原子力や原子力行政に対する国民の信頼の度合い、使用済み核燃料の処理に関する自治体の理解と協力の状況、国際社会との関係などについて検証を行い、不断に見直していく。

 その際、政府は十分に透明性を確保したプロセスで国民や国際社会に対して丁寧に情報を開示していく。こうした戦略の検証を行うための体制を内閣官房に整備する。

 政府と電力会社が大規模電源を開発し、国民の求めに応じて電力を一元的に提供するという時代から、国民一人一人が必要なエネルギーを自ら選択し、生み出し、蓄える時代へ。この社会システムの転換は決して容易に実現できるものではない。しかし、政府がまずそのビジョンを明確に示し、意欲的な政策を掲げ、政策転換に伴う国民生活と経済産業への負担を最小化すべく全力を注ぐならば、過去幾多の歴史的転換を国民の総力で成し遂げてきた私たちは今回も必ずやこの変革を達成できると確信する。

 「革新的エネルギー・環境戦略」は、私たちが歩みゆく方向を指し示した、未来へと続く地図である。

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