「北の山・じろう」時事問題などの日記

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福島第1原発事故−発生から1年半(上)/見えぬ収束、予断許さず<河北新報

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特集
福島第1原発事故−発生から1年半(上)/見えぬ収束、予断許さず
2012年09月13日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20120913_08.htm
▼全文引用

収束作業が続く福島第1原発のタービン建屋。手前から4、3、2、1号機=3日、福島県
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120913018je.jpg
図URL
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 福島第1原発事故は発生から1年半が過ぎた。原発は不安定な状態が続き、16万人を超す避難者を生んだ事故の終わりは見えない。政府は避難区域の再編で 復興への足掛かりを示すが、除染、インフラ復旧の遅れが響き、住民の帰還は進んでいない。避難住民が集団移住する「仮の町」構想、除染廃棄物を長期保管す る中間貯蔵施設の候補地選定など新たな課題も浮上した。原発廃炉まで30〜40年。これまでの1年半は福島再生までの長く曲がりくねった道のりの出だしに すぎない。

◎難題次々、妙案はなし/燃料取り出し、汚染水処理…

 政府は昨年12月、福島第1原発1〜3号機の原子炉が冷温停止状態に達したとして、原発事故の収束宣言を出した。その後も水素爆発を防ぐ窒素注入装置の 停止や高濃度汚染水漏えい、燃料プールの冷却停止などのトラブルが続出。実態は「原子力災害は進行中だ」と佐藤雄平福島県知事が指摘するように収束にはほ ど遠い。政府と国会の事故調査委員会も7月の最終報告で「事故は終わっていない」と強調している。

<高い放射線量>
 8月下旬には1〜3号機の原子炉の冷却水注入量が保安規定で定める必要量を下回る事態も発生した。東京電力は原因を特定し切れず、トラブルを人為的に制御できない点に事故の深刻さと収束作業の困難さがある。
 政府と東電は昨年12月、廃炉まで3期30〜40年の道筋を示す工程表を明らかにした。初期の最大の関門は、2013年12月に開始予定の4号機燃料貯蔵プールからの使用済み燃料の取り出し作業だ。
 東電はことし7月、4号機プールから未使用の燃料(新燃料)を試験的に取り出す作業を実施した。新燃料は使用済み燃料と異なり核分裂前で、崩壊熱や放射 能を考慮せずに済む。新燃料で作業手順を確認し、冷却のため事故後にプールに注入された海水による腐食や損傷など燃料への影響を調べた。
 新燃料体表面の放射線量は高圧洗浄後でも最大4ミリシーベルトあり、通常の新燃料の表面線量(0.025ミリシーベルト程度)を大幅に上回った。新燃料 から抜き出した燃料棒の表面線量は2〜2.5ミリシーベルトで、東電は「水素爆発で水中に落ちたがれきなどが影響している」と説明。はるかに危険な使用済 み燃料を扱う本番に向け影を落とした。
 取り出した使用済み燃料は共用プールで保管する。現在6375本の燃料が貯蔵されている共用プールに空きスペースを作るため、燃料を取り出して貯蔵容器(キャスク)に入れる作業を年末に始める。
 キャスクは、むつ市で建設中の使用済み燃料中間貯蔵施設で用いるキャスクと同型も使う。敷地内のグラウンドでコンクリートの覆いをかぶせて仮置きするが、期間と外部搬出のめどは立っていない。

<増設の悪循環>
 たまり続ける膨大な汚染水の処理も難題だ。現在の汚染水貯蔵量は約19万トンで、約22万トンの貯蔵容量に迫る。東電は貯蔵タンクの増設で11月末まで に約32万トン、13年前半までに約40万トンに容量を増やし、14年度までに約70万トンまで増強することを検討している。その後も汚染水は増え続け、 タンク設置場所の確保が課題になる。
 1日約400トンが原子炉建屋の地下に流入し、汚染水処理量が増える要因となっている。東電は地下水を減らすため、1〜4号機西側の高台に井戸を12カ 所掘って地下水をくみ上げ、水質検査後に海に放流することにしている。11月に稼働開始予定だが、海への放流には漁業関係者から異論が出ていて、計画通り に進むかどうかは不透明だ。
 貯蔵された汚染水の最終処理方法は決まらず、たまってはタンクを増設する悪循環から抜け出す妙案は今のところ見つかっていない。

◎原子力規制委、19日発足/安全対策「骨抜き」の恐れ

 東京電力福島第1原発事故から1年半を経て、原子力の安全規制体制を刷新する新組織「原子力規制委員会」が19日に発足する。原発の運転期間を原則40 年とするほか、最新の科学知識に基づく改善を義務付ける「バックフィット」制度を導入し、安全対策を強化。しかし新たな規制が「骨抜き」になる懸念も指摘 されており、新組織の行く末は平たんではなさそうだ。

<独立性で時間>
 「できるだけ早く発足させたい。全国の原発を抱える自治体の声であり、福島の皆さんも望んでいる。世界が見る目も厳しくなっている」。規制委設置法案を審議した6月の参院環境委員会で、細野豪志原発事故担当相が力説した。
 新組織は、福島事故を防げなかった反省を踏まえ、原発推進側の経済産業省から規制組織の原子力安全・保安院を分離。厳格な安全規制を実現することが最大の狙いだ。
 組織が分散し、事故に機敏に対応できなかった問題点も踏まえ、原子力安全委員会や文部科学省の放射線モニタリング部門などを統合して、規制委事務局の「原子力規制庁」に一元化する。
 国際原子力機関IAEA)が、日本の規制組織の問題を2007年に指摘していたにもかかわらず、十分に対応しなかった負い目もあり、新組織の立ち上げは国際的にも喫緊の課題だった。
 発足に手間取った背景には、国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」という規制委の性格もある。独立性が高く、原発事故時に原子炉格納容器の圧力を下げるベントなどの専門的判断には、首相の指示権を認めない。
 5人の委員はいったん就任すれば任期中は身分と権限が保証される。人選次第で今後の再稼働や、核燃料サイクル施設の在り方などを左右しかねず、こうしたことが原発の推進、反対両派からの懸念や反発を招いた。
 ある政府関係者は「強い権限を持つ委員会は、暴走したら止められない」と警戒する。
 原子力規制庁の職員は500人弱で、原則として出身官庁に戻さない「ノーリターン・ルール」を適用。いずれ原発の検査などを担当する独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」も統合し、千人規模の組織になる。

<40年維持強調>
 新規制の最大の目玉は、原発の40年運転制限だ。政府が1月に提出した原子炉等規制法改正案に規定を盛り込んだ。
 しかし規制委設置法案をめぐる民主、自民、公明3党の協議で「40年で一律に区切るのは科学的根拠がない」などの異論が続出。「発足後の規制委が速やかに見直す」との規定が加えられ、委員の対応によって制度が「骨抜き」になる可能性も否定できない。
 これに対し、委員長になる田中俊一・元原子力委員会委員長代理は「40年超の原発は厳格にチェックし、運転させない姿勢で臨むべきだ」と、政府の姿勢と 変わらないことを強調。細野氏も「原発を認めてきた人の中で40年制限を積極的に評価した人は極めてまれ。田中氏は数少ない1人だ」と太鼓判を押す。
 ただ法律には「規制委の認可を受けて、1回に限り20年を超えない期間で延長することができる」との「抜け道」と受け取れる規定も。田中氏は国会で 「(延長が)一律にダメだということではなく、新しい安全基準に合致できることを確認した上で判断する」と述べ、可否を個別に判断する考えも示している。

<手続きに1年>
 政府側にはバックフィット制度の導入により、古い原発の運転継続が事実上、困難になるとの見立てもある。既存の原発にも最新の科学知識に依拠した基準への適合を義務付け、満たせなければ原子炉設置許可を取り消す方針だ。
 改正原子炉等規制法では、これまで電力会社などの自主的な取り組みに委ねられてきたシビアアクシデント(過酷事故)対策も義務付けられた。
 ただ新規制が実際に動きだすには、詳細な安全基準を法令で定める必要がある。専門家による検討や、意見公募(パブリックコメント)などの手続きが必要 で、少なくとも1年前後はかかる見通しだ。規制組織の刷新が遅れたつけは「不十分な安全規制」が長く続く結果を招きそうだ。




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