「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

JCO臨界事故の教訓生かされず(佐藤一男さん)朝日新聞

朝日新聞
ホーム>http://www.asahi.com/
JCO臨界事故の教訓生かされず
2012年09月29日
http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000001209290005
▽全文引用

2人の死者と667人の被曝(ひ・ばく)者を出した「ジェー・シー・オー」(JCO)臨界事故から30日で13年。原子力行政の不備も露呈したあの事故の教訓は、その後どう生かされ、「フクシマ」を迎えるに至ったのか。当時の原子力安全委員長、佐藤一男さん(79)は「業界の慢心が改まらず、福島第一原発事故につながった」と述べた。

 ――JCO事故では、安全に責任を持つ政府組織がうまく機能しなかった。

 当日、科学技術庁(当時)が入る庁舎の6階に安全委があった。発生から10時間後、4階に政府の事故対策本部が置かれたが、そこから情報が来ない。我々は本部が設置されたこともしばらく知らなかった。情報の管理と伝達という事故時の態勢づくりがまったくできていなかった。

 現地で陣頭指揮を執ったのは、本来は指揮命令権のない安全委の1人。収束作業の中心となったのは、日本原子力研究所核燃料サイクル開発機構(共に現日本原子力研究開発機構)の専門家たちだった。現場の判断でなんとか乗り切れた。

 ――国の安全管理や審査の問題点も指摘された。

 バケツやスプーンを使ってウラン溶液を混ぜるなどという法令違反を、結果的に国も安全委も気づけなかった。ウラン加工施設は定期点検の義務もなく、科技庁の最後の立ち入り検査は7年前。安全を担う部門に人的資源が投入されず、担当課は常に多忙だった。

 ――「推進」組織と距離を持つべき安全委のあり方も問題になった。

 安全委は国家行政組織法上の「8条機関」。首相への勧告権は持つが、公正取引委員会などの「3条機関」に比べ処分などの執行権はない。この弱みがあらわになったのが1979年のスリーマイル島原発事故だ。安全委は国内の同型原子炉の運転を停止させる勧告を出そうとしたが、通商産業省(当時)は「そんな命令を出せる根拠はない」と反対した。結局、電力会社にお願いして「自発的」に運転をとめてもらった。

 JCO事故後に安全委の事務局は科技庁から総理府(当時)に移され、20人程度だった職員も約100人に増えた。でも、米国の原子力規制委員会(NRC)のスタッフは3千人だ。

 ――原子力界では、事故は一会社の不祥事との見方が支配的だった。

 特に電力会社には慢心、油断が横行し、外からの批判を受け付けなくなった。10年前に東京電力などで原発のトラブル隠しが明らかになったが、この隠蔽(いん・ぺい)体質の根っこに慢心がある。これが改まらず、福島第一原発事故につながった。

 ――原子力規制委と規制庁が立ち上がった。

 「安全文化」という言葉がある。これを築くには法制度や組織づくり、携わる人間の訓練・教育に至るまで多くの時間と資源が必要。緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)が活用されなかった昨年の対応を見ると、JCOの教訓がどれだけ生かされたのか、疑問だ。

 事業者責任と国の監督責任は、「安全」という車の両輪だ。どちらの責任と権限が強まっても、もう一方の責任は減じられない。規制を強めれば安全が確保されるわけではない。重要なのは「安全文化」を築き責任を明確化し、それを末端まで浸透させることだ。

  佐藤一男(さとう・かずお)氏略歴
1957年に日本原子力研究所に1期生として入所。日本初の原子の火をともした原子炉JRR―1の運転に携わった。93年に原子力安全委員に就き、98年4月から2000年3月まで委員長を務める。現在は公益財団法人「原子力安全研究協会」委員。専門は原子炉安全工学。

 (聞き手・石川智也)

  国の原子力規制体制 
国の原子力政策の決定は1956年に設置された原子力委員会が担ってきた。74年の原子力船むつの放射線漏れ事故を機に「推進」と「規制」分離の必要性が議論され、原子力委から分かれるかたちで78年、原子力安全委員会が発足した。

 JCO事故後には、省庁再編で経済産業省原子力安全・保安院が新設。安全規制行政は保安院が担い安全委が確認する「ダブルチェック体制」となった。

 原発事故後に規制機関の独立性が再び焦点となり、今月19日、新たに原子力規制委員会と事務局の原子力規制庁が発足した。職員約460人の8割近くは保安院から横滑りした。



北の山じろう「はてなダイアリー」目次
☆ホームページのご案内
関東・寄せ集め民報(ニュース・記事)
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所