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特集ワイド:「原発ゼロ」戦略、どこへ/下 自民政権、誕生したら… 米追従で再処理推進か<毎日新聞>

毎日新聞
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特集ワイド:「原発ゼロ」戦略、どこへ/下 自民政権、誕生したら… 米追従で再処理推進か
毎日新聞 2012年10月16日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121016dde012010047000c.html
▼全文引用


 「エネルギーについては責任ある対応をする。原発の比率は下げるが、30年代にゼロにする考え方はとらない」。自民党の安倍晋三総裁は9日、経団 連の米倉弘昌会長との懇談でこう断言し、財界との共同歩調をアピールした。今後、自民党政権が誕生した場合、民主党政権が原発ゼロを目標として打ち出した 「革新的エネルギー・環境戦略」はどうなるのか。【江畑佳明、戸田栄】

 今月2日の夜。自民党本部前には数百人のデモ参加者がいた。毎週金曜日の官邸前デモは定着してきたが、 自民党前は初めて。「原発やめろ!」「子どもを守れ!」と、笛や太鼓を鳴らしての大合唱が約2時間続いた。自民党に原発再推進のにおいをかぎ取り、危機感 を強めているのだ。

 改めて言うまでもなく、自民党は戦後の原発政策のけん引役。「原子力ムラ」との関係は深い。電力各社は 74年、「公共事業を行う会社としてふさわしくない」として企業献金廃止を宣言したが、政治資金パーティー券の購入は続いた。電力各社や子会社の幹部は、 役職に応じて個人名で数万〜数十万円を自民党側に献金してきた。毎日新聞の調べでは、09〜10年に約8000万円に及んだとみられる。

 デモの参加者同様、脱原発の行方を憂えるのは「原発と権力」の著書があるノンフィクション作家の山岡淳 一郎さんだ。「自民党政権になったら、誰が経済産業相になるかが原発政策への姿勢を象徴する。なかでも現政調会長の甘利明氏は原発維持派。甘利氏を政調会 長にした新人事を見るだけでも、『脱原発』からほど遠い」と指摘する。


 甘利氏は安倍内閣(06年9月〜07年9月)時の経産相。当時、北陸電力志賀原発で臨界事故隠しが発覚 し、さらに他の電力会社でも発電機の故障隠しなどの不祥事が相次いで露呈した。当初、甘利氏は「厳正に対処しなければならない」と憤り、原発の運転停止や 設置許可の取り消しなど厳しい処分が予想された。ところが、甘利氏は「今後同様の事態が起きないようにすることが大切」と一転、発電所の保安規定を変更す る行政処分を出しただけだった。

 ある経産官僚は「省内で『現代の徳政令(鎌倉、室町時代に出された借金など債務を帳消しにする命令)だ』と呼ばれた」と打ち明ける。

  ■

 自民政権になれば、野田政権が「革新的エネルギー・環境戦略」で掲げた「30年代に原発ゼロ」は簡単に 捨てられるのか。脱原発関連の著書の多い慶応大の金子勝教授(財政学)は「閣議決定は政権が代わっても、拘束力を持つ。しかし『環境戦略』の原発ゼロ方針 は閣議決定に明確な文言として盛り込まれず、『不断の検証と見直しを行う』という表現になってしまった。こんな不明確な内容では拘束力さえない。つまり自 民政権になって原発推進に転じたとしても、新たに閣議決定をしなくても『不断の見直し、とあるので閣議決定には反していない』との言い訳ができる」と説明 する。

 山岡さんは「連立政権か単独かで多少は変わるだろうが、自民党政権になれば、『原発ゼロ』方針や『稼働後40年で廃炉』など、脱原発の柱が骨抜きにされることが考えられる」と話す。


 自民党は福島原発事故後、党内に「総合エネルギー政策特命委員会」(委員長・山本一太参院議員)を設置 し、今年5月にとりまとめを公表した。基本方針として、安全第一主義の徹底を掲げ、さらに再生可能エネルギーの導入で、早期に原子力に依存しなくてもよい 経済・社会構造を目指すとしている。エネルギー政策としては「10年以内に電源構成のベストミックスを確立する」とし、次期総選挙に向けた政策パンフレッ トにも反映させている。もちろん、「原発ゼロ」の文言はない。

 甘利氏は毎日新聞のインタビューに「原発推進派ではない。一つのエネルギー源に頼らないベストミックス派だ」と答えている。「ベストミックス」とは何か。

 特命委員会の委員長代理を務めた西村康稔衆院議員に尋ねた。西村氏は「『原発ゼロ』の理想は理解できる が、安易には言えない」と語る。さらに「これほど大きな脱原発の世論では、原発の新規着工は難しい。福島第1原発の原子炉内部を開けられるとされる10年 後までに、新たなエネルギー戦略を確立する」と説明する。つまり、現段階での具体性はほとんどない。

  ■

 「自民党はエネルギー政策にあえて具体性を持たせていない。次期解散総選挙の争点にしたくないからでは」と山岡さんは話す。

 「自民党は米国が日本に期待する核燃料サイクルを推進したいのではないか。米国は新興国の原発増設によ る核拡散を警戒し、協調関係のある日本に核燃料サイクルを確立させ、核のごみ処理の見通しを付けたいと期待している。つまり日本に『核の番犬』になってく れと求めている」

 実際、野田政権の「原発ゼロ方針」について、米エネルギー省副長官が「さまざまな懸念がある」と難色を示したと報道されている。


 元経産官僚で、大阪府市統合本部特別顧問の古賀茂明さんも同意見だ。古賀さんは「米国は自国では再処理 事業をしていない。だが、途上国の原発保有が増えれば使用済み核燃料の問題が各地で生じ、核のごみが世界中に広がることを懸念している。そこで日本に再処 理させたいのが本音。安倍総裁は総裁選中、尖閣諸島竹島の問題で中韓に対抗するために日米関係の強化を訴えていたが、米国の要請に応えて核燃サイクルを 進めることで関係強化を図りたいのだと思う」と憤る。

 6月、原子力規制委員会設置法の付則として、原子力基本法の改正が盛り込まれた。原子力基本法は原子力 行政の憲法ともいうべき法律。そこに「我が国の安全保障に資する」との目的が追加された。この「安全保障の目的」は自民党の主張で入れられた経緯があり、 他会派から「核武装の表明か」と懸念された。

 しかし古賀さんは「核武装という国民から明らかに反発を受ける政策よりもむしろ、本音は、核燃サイクルを進めることによって米国の国際安全保障戦略に協力する方向性を固めていることが透けて見える」と警鐘を鳴らす。

 安倍総裁は、福島原発を視察し「安全神話の上に立って原子力政策を進めた責任は大きいと反省している」と陳謝した。であるならば、今後のエネルギー政策を具体的に語るのが筋ではないか。

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 【自民党のエネルギー政策】

・当面の最優先課題として、3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図る

原発再稼働の可否は安全第一の原則の下、順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す。安全性は原子力規制委員会の専門的判断にゆだねる

・10年以内に新エネルギーの安定供給構造を構築する

*自民党公式サイトより

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