「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第7部・メディアの葛藤 「福島」境に脱原発色/電力業界、必要性訴え(その2止)

毎日新聞
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この国と原発:第7部・メディアの葛藤 「福島」境に脱原発色/電力業界、必要性訴え(その2止)
毎日新聞 2012年10月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20121022ddm010040004000c.html
▼全文引用

 ◆新聞広告

 ◇「東電以外」も推進PR

 福島第1原発事故まで、東京電力原発関連団体による新聞広告はどれくらいあったのか。事故を挟んだ10〜11年度について、まず毎日新聞を調べた。

 事故前、東電の広告は13回掲載されたが、原発が見出しになっているのは10年8月26日朝刊の「電力 の安定供給を支える原子力発電」の1回だけ。それ以外は「オール電化」のPRや、キャラクター「でんこ」(当時)が省エネを呼びかけるなどの内容だった。 事故後の8回は全て謝罪や計画停電、賠償手続きなどの告知だ。

 東電以外では、原子力発電環境整備機構(NUMO)の広告を2回掲載。いずれも高レベル放射性廃棄物を地中に埋める「地層処分」の必要性や安全性を訴える内容だった。

 東京本社発行紙面(地域面除く)に掲載される東電の広告料は01年度以降、1億円前後で推移していた。10年度は2億円余りに急増したが、事故後に「おわび」「お知らせ」に伴う告知広告が増えたためだ。

 毎日新聞社(単体)の10年度の売上高は1254億700万円。東電からの広告料は全体の中では一部にとどまる。

 朝日、読売、日経、産経の4紙(東京本社発行紙面)も東電の広告は10年度、毎日とほぼ同じ20回前後(事故に伴う告知広告含む)。原発推進広告も各1回で横並びだった。

 掲載回数に大きな差があったのは、東電以外による原発推進の広告だ。最多は読売の20回。広告主は電事 連(8回)やNUMO(5回)が多く、原子炉メーカーの東芝(2回)の他、「地球を考える会」「フォーラム・エネルギーを考える」など他紙にない団体もあ る。同紙の論説委員が写真入りで登場している広告もあった。読売新聞広報部は取材に「広告等にかかわる個別の契約については従来、公表していない」と回答 した。

 また、4紙とも広告料収入は明らかにしていない。

 ◆テレビCM

 ◇キー5局、年に41時間放送

 電力会社や原発関連のテレビCMはどの程度放送されていたのだろうか。ビデオリサーチの「テレビ広告報 告書月報」(関東地区)から、民放キー局5局(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)の10〜11年度の状況を調べた。10年度は、 東京電力電気事業連合会電事連)▽原子力発電環境整備機構(NUMO)▽Jパワー(電源開発)−−の4広告主が計5044回、延べ約41時間のCMを 流した。

 ビデオリサーチが推定した広告費を合計すると36億5312万円となる。ただし、公表されている定価に基づいた計算のため、実際はこれより少ない可能性が高いという。各局とも、個別の広告主からの収入は公表していない。


 有価証券報告書によると、5局の広告収入の合計は10年度、8704億9100万円。推定広告費で計算すると、電力・原発関連CMが占める割合は0・4%となる。実勢額がもっと安いとすれば、割合はさらに下がる。

 また、電通が毎年発表している統計「日本の広告費」によると、10年(1〜12月)のテレビ広告費総額 1兆7321億円のうち、最も多いのは「化粧品・トイレタリー」業界の2151億円(12・4%)。電力を含む「エネルギー・素材・機械」(220億円) は1・3%に過ぎない。

ただ、東電については「不景気でも出してくるし、あまり値切らないので経営陣は歓迎していた」(キー局CM担当経験者)との声もある。

 11年度以降は東電、原発関連共にほとんどなくなった。

 CMはどのような内容だったのか。

 調査会社「CM総合研究所」によると、東電は10年度、25本を制作。うち6本が原発に触れていた。▽ 水力や火力と共に原発を紹介し、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さないことをアピール(10年)▽テレビキャスターの草野仁氏(68)が「100万キロ ワット級の原発が1年間で削減できるCO2は、関東と同じ広さの森林が吸収できる量に相当します」と説明する(11年2月)−−などの内容だった。


 電事連は11年1月末から、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを既存の原発の燃料に使う「プルサーマル」の有効性を訴えるCM1本を放映した。NUMOは10年に高レベル放射性廃棄物処分場選定への理解を求めるCM6本を放映した。

 ◆国の広報活動

 ◇10年度関係予算50億円

 国家予算による原子力の広報活動は、さまざまな手法で行われてきた。新聞広告やテレビCMだけでなく、 制作プロダクションなどに広報番組を作らせて民放に持ち込むケースも少なくなかった。福島第1原発事故のあった10年度も、関係予算は経済産業省と文部科 学省で少なくとも50億円あった。

 例えば経産省は「核燃料サイクル広聴・広報等事業」として青森テレビ(TBS系)に9800万円を支払 い、3種類の広報番組の制作と放送を依頼した。青森テレビのホームページなどによると、その一つ「草野仁のeワード」は日曜午前9時54分からの5分間番 組で、10年10月〜11年2月に計15回放送された。テレビキャスターの草野仁氏(68)が司会し、妖精「エコちゃん」が「身近な放射線」や「再処理工 場の仕組み」「これからの原子力発電」などについて解説する構成だった。

 イベント運営が新聞社に委託されたケースもある。


 経産省の「原子力発電等広報事業」(当初予算総額3億3800万円)では「わくわくエネルギー学校 子どもエネルギー探検隊」の運営費として7400万円が産経新聞社に支払われた。電力生産地と消費地の交流が目的とされた。

 産経新聞の特集記事によると、10年に首都圏と福島第1、第2原発がある福島県双葉郡や柏崎刈羽原発が 立地する新潟県柏崎市刈羽村など電力生産地の小学生計296人が互いの地域を訪ね合ったり、福島第1原発を見学したりした。産経は「広告等の個別の取引 内容についてはお答えできない」(広報部)と話している。同社は他に、日本原子力文化振興財団を通じて同年度の「原子力ポスターコンクール」の運営も 200万円で受注していた。

 一方、教育も「広報」の一環に位置づけられていた。経産省の「総合エネルギー広聴・広報・教育事業」 (2億5500万円)や文科省の「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」(4億8600万円)は、教職員対象のエネルギー教育セミナーや原子力を学ぶ副 教材づくりなどに使われた。

 ただ、政府は福島の事故を機に「『原子力推進』の観点からの広報は見直す」(資源エネルギー庁)としており、12年度当初予算では10年度予算に比べ、約2割減額されている。

 毎日新聞社は過去に経産省や文科省から原子力啓発事業を受託した実績はない。

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 ◇記事の感想伝えれば親しさ増す/会見日時設定に配慮

 ◇対策徹底「広報心得」も 電中研、メディア出身者も

 電力会社はメディアの取材も「広報」の機会ととらえ、対策を練ってきた。その徹底ぶりの一端がうかがえる冊子がある。

 東京電力で広報部長や副社長を歴任し、07年6月まで電気事業連合会副会長を務めた桝本晃章(ますもとてるあき)氏(74)が10年にまとめた「広報心得書き 広報マニュアルの試み」だ。広報の現場にいた25年間の経験がベースになっている。

 桝本氏は、ジャーナリズムの世界は「一匹オオカミ集団」で「一般企業のような上下の組織で機能している社会とは異なる」と見た。

 その中で記者と親しくなるにはどうするか。記事の感想を、書いた本人に伝えれば「間違いなく親しさが一層増す」とする一方で、特定の記者と会食した翌日は「そぶりにも出してはいけない」と記した。他社の記者に気づかれると、関係がこじれるからだ。

 「ジャーナリストのデータベースを作ると便利」との記述も。ただ、「趣味や家族構成などまで書き込ん だ」ものが外部に流出したケースがあるので「広報マンの頭の中にとどめておいたほうがいいかもしれない」とも記した。実際に北陸電力が記者の身上調査書を 作り、72年に問題化したことがある(放送業界誌「放送レポート」72年12月号)。


 記者会見については、日時の設定の重要さを説く。大きく書いてほしいと思っても、大きな出来事と重なる とニュースの扱いが小さくなるからだ。逆に小さくしてほしい場合についての言及もある。「何かのイベントにぶつけて公表するという選択肢は、姑息(こそ く)な手段と承知したうえで、頭の片隅に置いておきたい」

 桝本氏はこの冊子を1500部刷り、東電の現役広報担当者らに配った。取材に「メディア対応にはいくつか原則があるので、それを後輩たちに残したいと思った」と話している。

 電力業界は、付き合いが深かった記者に定年退職後のポストも用意した。中でも電力会社が資金を出し合って運営する「電力中央研究所」(電中研)の研究顧問は「指定席」だった。

 朝日新聞経済部記者時代に東電を担当した志村嘉一郎(かいちろう)氏(71)は、電中研の知人の仲介で 01年から2年間、研究顧問を務めた。当時10人ほどの研究顧問のうち、メディアOBは志村氏、科学部出身の元読売新聞論説委員、中村政雄氏(79)、経 済部出身の元毎日新聞論説委員、小邦宏治(おぐにこうじ)氏(故人)の3人だった。

 志村氏は東京・大手町の本部にあった大部屋に出勤。仕事は技術者が書いてくるプレスリリースの文案の添削だった。しかし、3年目以降の契約を断られた。「東電の紹介ではなかったことが東電幹部の不興を買ったようだ」と言う。


 福島第1原発事故の対応に東電の「おごり」を感じたという志村氏は11年6月、東電の体質を批判的に描いた「東電帝国 その失敗の本質」(文春新書)を出版した。「あのまま電中研にいたら、こんな本は書かなかったかもしれない」

 電中研によれば、91年から07年までの間、6人のメディア出身者が研究顧問を務めたが、現在はメディア出身者はいない。

 読売出身の中村氏は今年3月まで「名誉研究顧問」だった。97年には朝日やNHKの元記者らと「原子力報道を考える会」を結成。報道機関など主な関係先に意見文を送る活動を続けている。

 「原子力は悪者だというわけか、昨年から1年間、袋だたきでした。まだ続いています。冷静な報道が必要 ではないでしょうか」。今年5月に毎日新聞編集編成局に届いた意見文「49報」の冒頭にはこう書かれていた。中村氏に、この活動や原子力報道について「意 見を聞きたい」と電話したところ「取材だったら受けない」との返答だった。

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 ◇新聞各紙の東電広告掲載回数

年度  10 11   計

毎日  19  2  21

読売  21  3  24

朝日  21  3  24

日経  22  2  24

産経  18  2  20

計  101 12 113

 ◇東電以外の原発関連広告掲載回数

年度 10 11  計

毎日  4  0  4

読売 20  0 20

朝日  7  0  7

日経  4  0  4

産経 10  0 10

計  45  0 45

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 ◇10年4月に放送された電力会社・原子力関連団体のCM本数

      (1) (2) (3) (4)  計 推定広告費(万円)

日本テレビ  58  4   5   4  71  3290

TBS    50  4  11   0  65  3806

フジテレビ  33  4   5   0  42  2302

テレビ朝日  41  4   4   0  49  3054

テレビ東京  48  0   0   0  48  3476

合計    230 16  25   4 275 15928

 ※(1)東京電力(2)原子力発電環境整備機構(3)電気事業連合会(4)Jパワー。ビデオリサーチ「テレビ広告報告書月報」(関東地区)より集計。広告費は、各局の公表している定価からビデオリサーチが推定

 ◇2010年度にキー局で放送された電力会社・原子力関連団体のCM本数と時間、推定広告費

広告主        枠      本数     秒数  推定広告費(万円)

東京電力

           番組提供 1398  41940  29816

           スポット 2832  84990 298266

電気事業連合会

           番組提供  181   5430   3362

           スポット  154   4620  18958

原子力発電環境整備機構

           番組提供  227   6930   4676

           スポット  204   3105   8558

Jパワー

           番組提供   48   1440   1676

           スポット    0      0      0

合計              5044 148455 365312

 ※ビデオリサーチ「テレビ広告報告書月報」(関東地区)より集計。広告費は、各局の公表している定価からビデオリサーチが推定




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