「北の山・じろう」時事問題などの日記

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原発事故の責任を問う 映画「主権在民〜フクシマから東海村へ」<大阪日日新聞>

大阪日日新聞
トップ>http://www.nnn.co.jp/dainichi/
原発事故の責任を問う
映画「主権在民フクシマから東海村へ」
西山正啓監督
2012年11月25日
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/sundayint/121125/20121125037.html
▼全文引用

生きる力を取り戻すため
「次から次に問題が起きている」と話す西山正啓監督=大阪・九条のシネ・ヌーヴォ
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/sundayint/121125/images/IP121121TAN000222000.jpg
主権在民〜]の武藤類子さん
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/sundayint/121125/images/IP121121TAN000227000.jpg

 水俣病や沖縄の記録映画などで知られる西山正啓監督(64)が昨年の「脱原発〜いのちの闘争」に続く「原発震災を問う人々」シリーズの第2弾として撮った「主権在民フクシマから東海村へ」が12月1日から、大阪・九条のシネ・ヌーヴォXで公開される。「生の声を聞いてほしい」という西山監督に話を聞いた。

福島原発告訴団

 −福島の人たちの声と行動を追っている。

 僕はいま九州の福岡に住んでいて、前回の「脱原発〜いのちの闘争」は経済産業省が佐賀県庁で行った佐賀玄海原子力発電所再稼働について行った県民説明会にカメラを持って行った。「やらせメール」なども問題になり一躍全国ニュースになった。もちろん福島の人も来ていたし、俳優の山本太郎さんも現場にいた。

 −今回は「福島原発告訴団」を追う。

 昨年9月19日に行われた「さようなら原発6万人集会」で感動的なスピーチをされた福島県三春町の武藤類子さんに出会ったことからスタート。武藤さんが今年の6月に、県民1324人の署名を持って福島地方検察庁に「福島原発事故の責任を問う」として正式に告訴(陳述書と告訴状提出)をした。映画は「福島原発告訴団」のそれまでのプロセスを追っている。

 −団長の武藤さんは普通の福島の主婦。

 被害者として何かしなくてはならないという素朴な思い。福島の人たちの人生が確実に踏みにじられたわけで、それぞれみんなが本当の原因を知りたいと思う。「加害者責任を追及しないと次の新しい価値観が生まれない。傷ついた被害者がきちんとした言葉で、陳述書を書いて外に出す。そうやって傷ついた者たちが生きる力を取り戻す、回復していくプロセスがとても大事だと思う」と。

■「陳述書」の中身

 −それまで田舎でのんびり喫茶店を経営。

 そこで撮影させてもらったが、きれいな緑は残っていても放射能で汚染されていて、それまでは山で採ってきておいしく食べたキノコが、もう食べられない。「人を罪に問うことは、私たち自身の生き方を問うことでもありました」という彼女の言葉は心に響く。1324人の「陳述書」の中にそれぞれの3・11のドラマがある。

 −そして西山監督は茨城県東海村に行く。

 ここに東海第2原発がある。東海村には30キロ圏内に100万人が暮らし、100キロ圏内には東京、埼玉、千葉などの首都圏がある。もしここで事故が起これば3千万人を超える首都圏住民はどこへ避難すればいいのか。1999年に日本で最初のJCO臨界事故が起きている。村上達也村長はもう「金で魂は売らぬ」と話している。

 −「廃炉運動」が起きている。

 その姿勢に共鳴する若い母親たちが議会に廃炉を求める署名・請願を行っている。村上村長は昔、水俣病のドキュメント映画の撮影で出会っており縁があって今回いろいろ話を聞くことができた。「避難」は最大の抵抗運動だと思うが、福島では被害者が分離、分断され、去るも地獄、残るも地獄といわれたりした。一番の被害者は女性と子どもたちで、いま女性たちが立ち上がっている。

 −「戦争」も「原発」も男が作ったと。

 両方とも責任が問われていないし、図式が似ている。あるいは「水俣」「沖縄」の問題も同根のような気がする。男が作ったものを今度は「女がやめさせる」と、フクシマの女性が言うのは説得力がある。「福島原発告訴団」の武藤さんらが風呂敷に包んだ告訴状を持って検察庁に向かう場面は人間の尊厳を感じさせるものがあった。

■放射能と乳母車

 −福島の桜の名所の公園の場面も印象的。

 桜の満開時を狙って撮影した。公園内には高濃度放射能汚染を示す立ち入り禁止の看板が立てられロープが張られていて、実際にガイガーカウンターで測ると高い数字が出る。その付近を桜見物で小さな子どもを乗せた乳母車の母親が行く。この落差は何だろう。

 −大阪は唯一、再稼働した大飯原発が近くにある。

 温度差があるのは気になるが、日本中に原発はあり、その意味では全国民が当事者で被害者。原発問題は何も解決していない。


 にしやま・まさひろ 1948年生まれ。山口県出身。77年に水俣病の記録映画で知られる土本典昭監督の助監督に付いてキャリアをスタート。脳性マヒの24歳の女性の生活を描いた「みちことオーサ」(82年)から「ゆたんざ沖縄」(87年)「しがらきから吹いてくる風」(90年)など多数。「脱原発」はライフワークで「経産省前フクシマ村の女たち」シリーズ2作を完成させ次作も撮影中。
大阪日日新聞