「北の山・じろう」時事問題などの日記

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「原発事故収束には国の負担が必要だ」東京電力・廣瀬社長に聞く<東洋経済>

東洋経済
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原発事故収束には国の負担が必要だ」
東京電力・廣瀬社長に聞く
2012年12月17日
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▼全文引用

(1)

福島第一原発事故を起こして公的管理下にある東京電力は、賠償、除染、廃炉に伴う膨大な負担を背負い、先の見えない事故に対する新たな支援の枠組み を国に求めている。東電はこれからどのような道を模索しようとしているのか、原発に対して今どう考えているのか。廣瀬直己社長に聞いた。

復興本社の目的は作業のスピードアップ

――東京電力にとって目下最大の課題は福島第一原子力発電所の事故収束と賠償、除染の取り組みだ。しかし現状、地元の住民や自治体 からは賠償、除染の遅れを批判する声が多い。東電は来年1月1日付で「福島復興本社」を「Jヴィレッジ」(福島県双葉郡楢葉町)内に設立し、福島県にある すべての事業所の復興関連業務を統括し、賠償、除染などを加速する意向だが、本当に効果が見込めるのか。

(賠償、除染の遅れについては)被災者の方々固有の状況に1つひとつ応えていかなければならないということに加え、当初は今年4月ごろから始めたい と考えていた財物や不動産(土地・建物)の賠償がなかなか進んでいないということがある。これは帰宅困難地域の線引きとリンクするもので、その線引きに対 していろいろ意見が出て、作業が進んでいない。また、名義変更などの登記をしていない方も多く、確認作業に手間がかかっている。

福島復興本社の設立に伴い、多くの被災者の方々のそばで書類確認など個別の事情の確認を行うことによって、作業がかなりスピードアップできるのではないかと思っている。代表執行役の副社長がトップとなって、賠償などに関する権限のかなりが東京本社から移される。

――被災者への賠償に関しては、民法で損害賠償を請求する権利が3年で消滅すると定められており、賠償作業が長期化する中で、賠償の時効対策をどうするかも議論となっている。東電が裁判所に主張しない限り、時効消滅は適用されないが、東電自身はどういう考えなのか。

現状は賠償開始から約1年半だが、まずは賠償手続きに入っていない方々にしっかり連絡を取っていく。われわれは賠償の責任から逃れるというつもりは まったくない。ただ法律なので、むやみに法律から外れたことをすることにも問題がある。時効についてはいつから3年かという解釈もさまざまあるが、現状は 何とか3年以内に手続きを終える方向で努力していくということだ。

――福島第一原発は1〜4号機の廃炉が決まっているが、停止中である5、6号機、第二原発1〜4号機の対応は決まっていない。これ をどうするのか。福島県民からは全体廃炉を求める声は多い。また、停止中の原発にかかる減価償却費などのコストは原価として電気料金に算定されている。

(2)

福島県議会や一部の県内市町村議会で廃止を要望する決議がされていることは十分認識している。一方で、原子力はエネルギー政策の根幹を成すものであり、国と二人三脚で国策として進めてきたものであるため、そうした認識も踏まえつつ、これから判断していきたい。

ただ、仮にいま廃炉と宣言したとしても、すぐにその作業に入れるわけではなく、安全な状況にしておかなくてはならないので、廃炉の結論にかかわらず、その作業を粛々と進めているところだ。

原子力を含め多くのオプションを持つことが必要

――先日も三陸沖を震源とする震度5弱の余震があったが、事故後の福島第一原発の安全性に対する懸念は強い。特に、1500体以上の燃料が入った4号機の使用済み燃料プールが外気にさらされた状態であることの危険性を指摘する向きが多い。

4号機は外壁が損傷し、見た目も非常に悪いことから皆様にご心配をかけている。われわれは一方でしっかりと補強とチェックをしており、前回と同じく らいの地震が発生しても健全性を保てると確認されている。燃料プールから燃料を取り出すべく来年中には作業に着手する計画だが、安心安全のためにできるだ け工程を早めたいと考えている。

――福島第一原発では偽装請負の状態で下請け会社に作業させ、鉛カバーを使った「被曝隠し」が行われていたことが発覚し、厚生労働省が是正指導する方針とされる。なぜ、こうした実態を放置していたのか。

ほめられた話ではないが、請負の構造が多重で複雑になっている問題がもともとあった。したがって、作業員の管理が弱かった面があるし、発注元としてのわれわれの責任は感じている。まずは管理体制をしっかり見直していく。

ただ、作業員のAPD(警報付き線量計)はご自分の健康を守るためのものであり、(鉛カバーで覆うなど)線量を偽るということを予見して対策を打つ ことは難しかった。今後は、カバーをしていたら外からわかるようにするといった対策を打つなど、作業員の線量管理をしっかりやっていきたい。

(3)

――事故後、原発運営に対する考え方は根本的に変わったのか、変わってないのか。

多様なエネルギーを手中に収めておくことは非常に大事なことだ。「原発はなし」と選択肢から外すことは基本的に賢いやり方だとは思わない。立地やウ エートについてはいろいろ考える余地はあるが、それをある程度、融通無碍にして、できるだけ多くのオプションを持っておくことは必要だろう。

もちろん、リスクについてはわれわれもいちばん感じているところだが、リスクが原子力の最大のデメリットであるならば、それを最大限遮断することによってカバーできるかもしれない。

法的整理ですべてが解決できるわけではない

――11月7日に発表した「再生への経営方針」の中で東電は、福島原発事故の賠償や除染、廃炉費用などが現行の原子力損害賠償支援 機構法の枠組みで想定された5兆円を大幅に突破し、10兆円を超えると示唆した。そのうえで、この巨額コストは東電自身の負担の限度を超えており、国によ る新たな支援の枠組みを早急に検討することを求めた。そうしたコストの妥当性や国との負担の線引きをどう考えているのか。

まだ除染のやり方も確立されておらず、中間貯蔵施設をどうするかも決まっていないため、コストを正確に見積もることは難しい。ただ一方で、どこまで 膨らむかもわからない青天井の状態。もとより除染を規定している特別措置法でも国が必要な処置を取ると書いてあるし、原子力賠償法でもそうなっている。ま た、原賠法や機構法でも1年ないしは2年以内に見直すとなっており、すでに1年半が経とうとしている。

われわれは負担の線引きをどうしてくれと言っているのではなく、そういうことが議論されていないのが問題だと考えている。国が必要な措置を取ると法 律に書いてあるが、その措置とはいったい何なのかがわからないままの状態だ。当社としても、どこまでの負担を背負って事業を行っていくのか不安なところは ある。経営側としても、今後の負担がどうで、どういう対策を取っていくと社員に具体的に示したいが、今はまったくできない状態。社員の退職も増え、取引先 の金融機関も相当な不安を抱いている。議論の帰結が5年後か10年後かではなく、議論自体が始まっていないことが問題であり、まずは議論を始めてもらいた いということだ。

確かに、5月に「総合特別事業計画」を策定してから半年しか経っていないが、社外取締役も入って新体制になったことや、資金繰りや社員の流出加速などの問題もあって、この時期に改めて会社としての方針を明確にしたかった。

(4)
――負担をきっちり決めて清算し、新生・東電としての再出発を図るために、会社更生法などの法的整理を申請することを選択肢として考えているか。

法的整理をすれば、株主と金融機関の責任がはっきりするというのはわかる。ただ、それですべてがスッキリ行くかは疑問だ。われわれは福島の方々への 賠償や除染、廃炉について責任を持ってやるが、一方で、青天井でわからない債務を背負ったまま自由化された市場で電気事業を営むのは無理だと主張してい る。法的整理をして、被災者への賠償、除染などの残った負担を誰が背負っていくのか、国が青天井で負担するのか、最終的に誰がどう将来にわたって負担して いくかの議論は煮詰まっていない。

米国にはプライス・アンダーソン法(原子力事故の際の事業者の責任は約102億ドルを上限と規定した法律)のような規定があるが、日本にはなく、負担の上限が見えないことが問題だ。

来期の黒字化は柏崎刈羽次第

――総合特別事業計画では、柏崎刈羽原発の13年4月からの順次稼働を前提としているが、再稼働のための新たな安全基準の法制化は 13年7月からであり、新潟県知事は「原発事故の徹底検証が先決」として再稼働の議論すらできないとしている。今年7月からの電気料金値上げ幅も査定の結 果、最終的に圧縮されたことで、13年度収支黒字化の前提はほぼ崩れた。金融機関の反応も焦点になっている。

「再生への経営方針」に対して金融機関からは特にネガティブな反応はなく、むしろわれわれの主張どおりに負担がはっきりすれば金融機関にとっても安 心材料になると思われる。一方で、やや債権放棄を惹起するような内容や、ホールディング(持ち株会社)制を敷いた後の一般担保の内容がどうなるのか、債権 債務は誰が引き継ぐのかについて、いらぬ心配をさせてしまったことは反省点としてある。

13年度の黒字化計画については、柏崎刈羽原発の再稼働と関係が深いが、来年4月からの再稼働について厳しい状況とはいえ、まだあきらめたわけでは ない。われわれの事故調査結果や改革プランを示していくことによって、1日でも早く新潟県の皆さんに納得していただけるようにしたいと考えている。柏崎刈 羽原発が永久に稼働不可能になっているわけではなく、手続き上のプロセスで遅れる可能性があるということであり、遅れる期間の長さによって対応の仕方も変 わってくる。今はまだ対応を決定する時期ではないと考えている。

(5)
事故の「不作為」を認めたというのは誤解だ

――東電は社内の「原子力改革特別タスクフォース」が10月にまとめた報告書「原子力改革の進め方」で、福島事故は事前の津波評価 の時に「対処は可能だった」と自らの“不作為”を初めて認めた。訴訟や原発反対運動、プラント停止のリスクを恐れて安全対策を怠ったという内部分析を示し ており、企業努力の範囲を超えた“想定外”の事故原因だったというそれまでの弁明から踏み込んだ印象を与えた。

“不作為を認めた”というのは誤解だ。「すべてが天災によるもので、打つ手はなかった」で終わっていたら、次の策は打てない。当時は打つ手はあった が、なぜそれが打てなかったのかを考えなくてはならない。“想定外”だったことに変わりはないが、これからは想定外ということがないように対策を考えてい くということだ。不作為だったかどうかは裁判もやっているし、その中で明らかになっていくとは思うが、われわれとしては不作為とは考えていない。

――今後の東電の組織改革としては、現在、政府の電力システム改革専門委員会で行われている発送電分離の議論が影響してくる。専門家の中には、公的管理下にある東電を発送電分離のモデルとし、欧州では主流となっている所有権分離にまで一気に改革すべきとの意見もある。

今のシステム改革委の結論がどうなるにしろ、社内のカンパニー制を敷いて、メリットを出すようにやっていきたい。その先で法律も改正されて発送電分 離になるのであれば、ホールディング制でそのための準備をしていくということだ。ネットワーク(送電網)で必要とされているのは中立性や透明性なので、そ れをどう担保していくかというのはこれからの議論だ。

所有権分離は法律改正が必要であり、一般担保の問題もあって金融機関も心配されるだろうから、慎重に判断していかなくてはならない。

――設備や燃料の調達に絡んで、ファミリー企業の改革をどう進めていくかも課題だ。

われわれも相当なコストダウンをしていかなくてはいけない中で、ファミリー企業からの調達も当然、対象に入ってくる。ファミリー企業のほうもスリム 化していかないと厳しくなるだろうし、逆にそうすることで彼らも市場で闘うだけの力が付くはずだ。東電グループ外からの受注も可能になってくれば、それを “吉”として強い会社になっていけるだろう。

ひろせ・なおみ●1976年一橋大学卒、東京電力入社。2003年営業部長、10年常務取締役。11年3月福島原子力被災者支援対策本部副本部長。12年6月から現職。
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