「北の山・じろう」時事問題などの日記

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記者の目:原発の活断層調査=岡田英(東京科学環境部)<毎日新聞>

毎日新聞
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記者の目:原発の活断層調査=岡田英(東京科学環境部)
毎日新聞 2012年12月20日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20121220ddm004070002000c.html
▼全文引用

 ◇「疑わしき」は安全重視で

 原子力規制委員会の調査団が10日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉建屋直下に活断層 がある可能性が高いと結論付けた。国は活断層の上に原子炉建屋を建てることを認めておらず、2号機は廃炉に追い込まれる公算が大きい。14日にも東北電力 東通(ひがしどおり)原発(青森県)の現地調査で、敷地内の断層は活断層の可能性がある、と全員が言及した。

 一連の調査に密着していて痛感するのは、電力会社の調査を懐疑的に見る視点が、従来の原子力規制行政にいかに欠けていたかということだ。
 ◇決定的証拠なし でも危険性開示

 敦賀原発は今のところ、敷地内に活断層があると認定された唯一の原発だ。その「浦底(うらそこ)断層」 から枝分かれするように延びる複数の断層の一部が原子炉建屋の下を通っていることから、浦底断層が動く時、これらも一緒に動く可能性があると、2010年 ごろから指摘されていた。

 今回の現地調査では、活動時期などを特定する決定的証拠は見つからなかった。10日の議論では、敦賀原 発を所有する原電と調査団の各メンバーが見解を述べたところで、調査団を率いた規制委の島崎邦彦委員長代理は唐突に「活断層として活動し、浦底断層と同時 にずれたと考えられる」と取りまとめた。

 その瞬間、会場はしんと静まりかえった。裁判に例えれば、状況証拠だけで有罪判決を出すようなもの。原電の担当者が「(活断層ではない証拠を見つける)追加調査をやる」と慌てて弁明したが、島崎氏は取り合わなかった。2日間計4時間予定された会合は、初日で決着をみた。

 調査団の見解は一致していたが、迷いがなかったわけではない。堤浩之・京都大准教授は「(活断層である との直接証拠が)出ていない怖さはある」と明かした。それでもなお「原電の解釈は学術的に受け入れられない。現時点で見解が一致し、科学的にみても我々の 方が合理的。危険性があるなら(国民に)知らせなければならない」と話した。藤本光一郎・東京学芸大准教授も「100%(の結論)は時間がどれだけかかる か分からず、現在のデータで『安全側』に判断した」と語った。

 直接証拠が出るか分からない追加調査を待って結論を長引かせるより、現段階での危険性を国民に開示する −−との調査団の決断は評価できる。原電は「到底受け入れがたい」と反発、異例の公開質問状を規制委に提出した。だが、従来の規制行政が越えられなかった 「壁」を調査団は越えたように思える。

 原発を推進する電力会社はこれまで、活断層と断定できる明確な証拠が示されない限り可能性を否定し続 け、国もそれを容認してきた。情報量で圧倒する電力会社の主張を科学的に覆すのは難しかったからだ。が、「疑わしきは罰せず」の精神は東京電力福島第1原 発事故と共に崩壊した。電力会社の説明を懐疑的に検証した結果、浮上したのが活断層への懸念だった。

 発端になった浦底断層が活断層ではないか、との指摘は70年代から専門家の間にあったという。なのに原 電がそれを認めたのは08年。2号機の増設を申請した79年当時、既に専門家の指摘があったにもかかわらず、国は建設を認めた。認可前の安全審査では溝を 掘って浦底断層を調べていた。当時の図面を見た規制委調査団の鈴木康弘・名古屋大教授は「明瞭な活断層。情報が生かされず残念」と、審査の甘さを批判す る。
 ◇国策が支配する規制から転換を

 国策が物事を見る目を曇らせ、弱い立場の人たちが被害を受けるという構図は公害問題と似る。新人時代、新潟で取材した新潟水俣病問題は、国が原因物質の特定をためらって被害が拡大し、さらに患者に因果関係の厳格な証明を強いて救済も遅れた。

 「原発推進」の国策に規制機関も支配されていたとすれば、規制委の発足は転換点になり得る。規制委は推 進官庁(経済産業省)から分離・独立して今年9月にできた。調査団のメンバーは、過去に安全審査にかかわった経験がない専門家を関係学会から推薦してもら い、慎重に選んだ。

 福島の事故は、電力会社と規制側が自然災害のリスクを過小評価して対策を先送りしたために起きた。活断 層でも同じ過ちを犯してはいけない。いつ地震が起きるかを正確に予測することさえできないのだから「疑わしき」は安全重視で判断すべきだ。さらに、現状の 調査も電力会社に依存しており、独自性をより高める努力が必要だ。政権交代後も、「安全」を第一に判断する姿勢は貫かなければならない。

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