「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/5 民放CM、抵抗にじむ 視聴者印象は「安全」<毎日新聞>

毎日新聞
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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/5 民放CM、抵抗にじむ 視聴者印象は「安全」
毎日新聞 2012年10月27日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20121027ddm002040074000c.html
▼全文転載


原発など社会的に意見が対立する問題についての扱いを定めた日本民間放送連盟放送基準47条=「民放連放送基準解説書2009」より
http://mainichi.jp/graph/2012/10/27/20121027ddm002040074000c/001.html

(1)

 ミキサーで野菜ジュースを作る少女に、男性キャスターが話しかける。「資源の少ない日本では、電気もさまざまな発電の特徴を生かして作っているん だ」。そして水力・火力発電所が紹介された後、キャスターが締めくくる。「100万キロワット級の原発が1年間で削減できるCO2は、関東と同じ広さの森 林が吸収できる量に相当します」

                         

 東京電力福島第1原発事故が起きる直前の11年2月、東電はこんなCMを流していた。電気の重要性を訴え、火力発電や水力発電にも目配りするなど、注意深く見ると、原発だけの宣伝にならない形をとっている。それは、原発のCMに対するテレビ側の「抵抗」の跡でもある。

                         

 原発のCMがいつ始まったのかは、はっきりしない。ただ、民放関係者の話を総合すると、80年代に入ったころから盛んになったとみられる。

                         

 民放はもともと、原発のCM受け入れには消極的だった。世論が割れていたためだ。TBSでCMの「考 査」を長く担当した伊藤雅浩氏(77)によると、TBSの場合、東電から初めて原発CM出稿の打診があったのは75年。ちょうど新聞に原発推進広告が入り 始めた時期だが、その時は断った。

                         

 CMはスポンサーから広告代理店経由で放送局に持ち込まれるが、そのまま放送されるわけではない。考査部門が事前に適切かどうかを判断し、場合によっては断ったり、修正を求めたりする。考査はCMだけでなく、番組に対しても行われる。

(2)

 伊藤氏によると、次に東電から打診があったのは85年。当時、考査責任者の審査部長だった伊藤氏は、営業担当社員から「新聞はやっている。テレビ もかたくなにならず、やったらどうか」と説得された。審査部で議論した結果(1)「絶対安全」と言わない(2)他のエネルギーより優れていると強調しない (3)原発の積極的な推進を訴えない--などの条件で受け入れることにした。

                         

 こうしてTBS初の原発CMが流れた。日本の電源の3割は原子力であることを示すグラフと共に「考えま しょう」という趣旨のナレーションが流れる内容だった。「経営側は受け入れに積極的だったが、報道からは異論が出た」と伊藤氏は振り返る。東電は当時、夕 方のニュースのスポンサーで、CMはその枠で流されたからだ。

                         

 TBSは原発CMが放送されるようになった経緯について「いつ始まったのか特定するのは難しい。『推進』をするようなCMは放送していない」(広報部)と話している。

                         

 全国の民放の考査担当者は地域ごとに情報交換をしている。その際に参照しているのが、日本民間放送連盟の「放送基準」だ。社会的に意見が対立しているテーマについては「できるだけ多くの角度から論じなければならない」と定めている。

(3)

 この基準に基づいて、原発については「他の電源との調和を訴えるなら可だが、原発のみの宣伝は不可」という判断がほぼ共有されてきた。その結果が、冒頭の東電のCMにも表れている。

                         

 しかし、別のキー局の元考査担当者は「原発関係は経営側の意向が強くて苦労した。修正させても、視聴者 がどこまで違いを分かってくれたか」と嘆く。また、00年前後から、タレントを使った親しみやすいスタイルが目立つようになり、「視聴者に『原発は大丈 夫』と思わせてしまう効果はあったと思う」と話した。=つづく(次回は30日掲載予定です)

この国と原発 アーカイブ2012年
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2012/index.html

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