「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/8 エネ庁、4050万円かけ報道監視 漫画1コマにもケチ

毎日新聞
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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/8 エネ庁、4050万円かけ報道監視 漫画1コマにもケチ
毎日新聞 2012年11月01日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20121101ddm002040050000c.html
▼全文転載


(1)

                    

 経済産業省資源エネルギー庁は原子力関連の広報事業の一環として08~10年度、計4050万円を投じて新聞・雑誌の原発報道を「監視」していた。目的は「新聞、雑誌などの不適切・不正確な情報への対応」(10年度仕様書)という。

                         

 事業は、社会経済生産性本部(08年度)▽日本科学技術振興財団(09年度)▽エネルギー総合工学研究 所(10年度)に委託。全国紙、地方紙、雑誌から「不適切・不正確」な記事を抜き出し、それに評価のコメントをつけた報告書がエネ庁に提出された。経産省 は毎日新聞の情報公開請求に対し、274件の報告書を開示した。

                         

 報告書の中で、10年1月9日の毎日新聞朝刊の記事「プルサーマルを女川原発で許可 経済産業省」が批判されている。

                         

 問題視したのは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料に使うプルサーマルについて「実施に は今後、地元自治体の事前了解が必要」と書いた部分。報告書は「地元自治体の了解は法的な根拠はない。(中略)原子力発電所について知事や市町村長の了解 がないと何も進められない実態は、このようなマスコミの誤表現がある」とした。

     (2)
                    

 いわゆるベタ(1段見出し)記事だ。筆者は東京科学環境部で同省原子力安全・保安院(当時)を担当して いた山田大輔記者(43)=現青森支局次長。「法律をしゃくし定規に読めばそうだが、実際に地元の了解なしに事業が進められるのか。実質的に必要だという 意味で書いた。なぜこの記事を選んだのか理解できない」。山田記者はこう話す。

                         

 10年3月14日朝刊の「敦賀1号機 きょう運転40年 原発『延命』時代 容器・配管劣化に不安」もやり玉に挙がった。記事に談話が載った大学教授について報告書は「反原発の論客である。しかし健全な科学的立場をとる学者先生方の支持は受けていない」と記した。

                         

 筆者の一人で大阪科学環境部にいた曽根田和久記者(37)=現松江支局=は「『反対派をきちんとチェックしています』と内部で説明するためだけの文書に見える」と話す。

                         

 毎日新聞は3年間で8本の記事が報告の対象になった。

                         

 他紙では、佐賀新聞が紹介した原発反対派を「目立ちたがり」と呼び、愛媛新聞の読者投稿欄にプルサーマル導入に慎重な意見を投稿した人を「まともな見識のある人間ではないことを自ら証明している」と非難するなど、中傷まがいの表現もある。

     (3)
                    

 監視の目は週刊漫画雑誌「ビッグコミック スピリッツ」(小学館)にも及んでいた。10年1月1日号の 連載「美味(おい)しんぼ」には、海産物の安全性をめぐる議論の場に原子力研究者が登場。「これ以上原発は増やさず、今ある原発が稼働しているあいだに新 エネルギーの開発に力を注ぐべきです」と話す。

                         

 報告書は「新エネルギーだけで将来のエネルギー需要を満たすことは不可能である。もしそう思うならキチンと実行可能性を定量的に示すべきである」とかみついた。

                         

 「不正確な記事」が対象のはずなのに、なぜか称賛しているケースもある。原発輸出を温暖化対策につなげる施策を政府が検討していることを報じた日本経済新聞10年3月26日朝刊1面の記事は「大いに期待したい内容」と評価された。

                         

 掲載日の誤りや、福島県の地元紙「福島民報」を「福島民法新聞」「福島民報告」と誤記するなどのケアレスミスも目立つ。

                         

 税金を使って行う必要のある事業だったのか。エネ庁は「傾向を踏まえて広報に生かしていた」というが、 東京電力福島第1原発事故後の11年度以降は「原子力推進の観点からの広報は見直す」として廃止した。この報告書に基づいてメディアに訂正を求めたことは 一度もないという。=つづく

    
この国と原発 アーカイブ2012年
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