「北の山・じろう」時事問題などの日記

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(3)暗中のリスク/低線量の影響、不透明/医師評価分かれる「河北新報」連載特集

河北新報」連載特集二つの被ばく地」から全文転載

河北新報
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(3)暗中のリスク/低線量の影響、不透明/医師評価分かれる
2012年08月17日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1107/20120817_01.htm
▼全文転載


図URL
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<「遺伝」指摘も>
 「チェルノブイリ原発事故の被災地では、いまだに新たな健康被害が生まれている」。キエフウクライナ放射線医学研究センター。研究者の報告は衝撃的だった。
 遺伝的影響に踏み込んだ小児科のエルゲニヤ・ステパノワ教授の発言には動揺した。「子どもでは免疫関係の病気が特に観察される。呼吸器や循環器の疾患も多い。次世代に遺伝的な異常が現れる可能性がある」
 他の研究者も続ける。「事故処理作業員の白血病リスクは高い。女性では乳がんが増えた」「被災者の死因の8割は血液循環系の病気。フクシマでも注目してほしい」
 しかし、世界保健機関(WHO)など国連機関がチェルノブイリとの因果関係を認める晩発影響は、放射性ヨウ素による小児甲状腺がんだけだ。
 がん死亡率の増加は、作業員ら被ばく量の大きい60万人で数%、低汚染地域の住民500万人では1%以下と予測。放射線の遺伝的影響は広島、長崎の被爆者調査では否定されている。
 ミンスクベラルーシ小児がんセンターでも、アンナ・ズブロフスカヤ副院長が気になるデータを示した。小児甲状腺がんの発症率が事故前の水準に戻らず、子どもの骨髄性白血病は年平均で2.6%ずつ増えている。
 「事故から26年たち(半減期8日の)放射性ヨウ素は残っていない。セシウムストロンチウムの影響かもしれない」
 セシウムの低線量被ばくが原因の健康被害をWHOは認めていない。しかし、「わずかでも臓器に取り込まれると、疾患が悪化する危険性が非常に高くなる」(ベラルーシ・ゴメリ医科大のユーリ・バンダジェフスキー元学長)などと指摘する研究者は存在する。

<「根拠がない」>
 一方で国連機関側に立つ意見も多い。
 ベラルーシ卒後医学教育研究所のワレンチナ・ドロッツ教授は「低線量のセシウムが健康に影響する明らかな根拠は何もない。バンダジェフスキー氏の研究は不備だらけで完全に否定されている」と反論した。
 甲状腺がんや白血病に関しても「事故当時は正確なデータがなくて比較できない。診断の精度が向上して発見率も高まっている。一概に増減は言えない」と主張する。
 どちらが事実なのか。
 福島県立医大の山下俊一副学長を訪ねた。1991年から100回以上、旧ソ連の被災地に入り、調査研究を重ねた。長崎の被爆2世でもある。
 「病気の人はどこにでもいる。放射線との因果関係が見えない」。山下氏はステパノワ教授ら放射線の影響を大きく見積もる地元研究者の論文を多数、英訳して読んだ。対照群の設定や線量評価があやふやで、国際的に評価できる水準ではなかった、と言う。
 事故の健康リスクは全ては解明されていない。いま影響が認められていない事象の中から将来、因果関係が見つかる可能性はある。ただ、現地で晩発影響による死者が相次いでいる報告はない。ウクライナベラルーシも、人々は普通に暮らしていた。

<心の被害深刻>
 チェルノブイリで最も深刻な健康被害は心的影響だった。「91年当時はあらゆる病気、交通事故までが原発事故のせいにされていた」と山下氏は振り返る。その轍(てつ)は踏みたくない。
 根拠のない不安と安心をどう避け、長期の低線量被ばくと向き合えばいいのか。被ばく者の自問自答は続く。

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二つの被ばく地ーチェルノブイリと福島
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