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焦点/高齢者ケア、受け皿パンク/再建支援に遅れ<証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事

証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
※記事数が多いため、一部転載し、ほかは記事タイトルとURLの掲載です。

河北新報

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焦点/高齢者ケア、受け皿パンク/再建支援に遅れ
2011年05月30日月曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110530_01.htm
▼全文転載


(写真)
特別養護老人ホームからの避難者で、定員の倍近くが住むグループホーム朝日。6畳間に3人の部屋もある=23日、岩沼市山桜
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110530005jd.jpg
メーンアリーナに戻る車いすの被災者=24日、気仙沼市総合体育館
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110530006jd.jpg


 東日本大震災で多くの高齢者福祉施設が津波被害を受けて利用者が移動したことにより、宮城県沿岸部などの施設で定員を上回る状態が続いている。厚生労働 省は当面の定員超過を容認する考えだが、解消に向けた具体的な施策は示していない。各自治体の要介護認定審査は6月中に再開する見通しで、施設利用希望者 は確実に増える。介護の現場からは早急な公的支援を求める声が上がっている。(門田一徳、高橋鉄男)

◎要介護認定審査、再開へ/利用希望増確実

<避難で定員超過>
 宮城県で全壊、水没した高齢者福祉施設は、特別養護老人ホーム(特養)10カ所、介護老人保健施設(老健)2カ所、認知症高齢者グループホーム20カ所など計38カ所に上る。特養だけで県全体の約1割に当たる550床以上が失われた。
 被災施設からの避難者を受け入れた結果、定員を上回る施設が相次いでいる。定員の1.5倍の高齢者を世話する特養や、2倍の利用者を抱えるグループホームもある。
 厚労省は全国の高齢者関係施設で「3万6000人以上の受け入れが可能」と説明する。しかし、他県への避難は敬遠されがちで、宮城県で同省のあっせんを受けたのは953人(20日現在)にとどまる。

<福祉仮設は2棟>
 被災自治体では、手続きが中断していたことに加え震災後体調を崩す人もいて、要介護認定の申請が増えている。5月中旬までに、石巻市で約420件、気仙沼市名取市で150件前後に上る。認定審査が本格化すれば、施設の利用希望者の増加が見込まれる。
  一方、高齢者らが共同で住む福祉仮設住宅で建設が決まったのは、1棟に9人が入る2棟だけ。対象も認知症に限られ、受け入れ先確保に向けた動きは限定的 だ。特養や老健といった定員が50人を超えるような施設は、「利用者の介護度が高いうえ、防災面でも問題がある」(厚労省老健局)として福祉仮設住宅の対 象にしていない。

<行き場失う恐れ>
 宮城県は2010年、特養の入所待機者が1万人を超えていることから、13年度までに2200の増床を計画した。しかし、震災によって県全体の定員の1割近くが減った状況から、受け皿不足が深刻度を増すのは確実とみられる。
  宮城県老人福祉施設協議会の西沢優李子会長は「全壊した特養の再建には3年かかる。廃校校舎など公的施設の提供や特養の仮設住宅設置など、飽和状態解消の ための緊急的な支援が必要だ。具体的な施策が示されないまま、定員超過の容認が打ち切りになれば、利用者は行き場を失ってしまう」と訴える。

◎高齢者施設、飽和状態

<6畳個室に3人生活「大規模仮設あれば」/岩沼>
 岩沼市山桜の認知症グループホーム朝日。震災前は個室だった6畳間のほとんどに、二つのベッドがL字形に並んでいる。空いた床に布団を敷いた3人部屋もある。
 定員18人のほぼ倍の34人が生活する。津波の被害に遭った特別養護老人ホーム「赤井江マリンホーム」(岩沼市)の利用者が身を寄せているからだ。
 マリンホームは海岸から約300メートルにあり、壊滅状態となったが、利用者とスタッフは全員避難して無事だった。利用者45人は、同じ社会福祉法人「ライフケア赤井江」が運営するグループホーム朝日など、岩沼市と宮城県柴田町の3施設に分散した。
 グループホーム朝日に避難したお年寄りは要介護4以上で、車いす生活か寝たきり。介護はマリンホームのスタッフ8、9人が担当する。
 厚生労働省は各自治体に対し、被災施設から他の施設への利用者の移動を要請。宮城県は県内の施設に定員の1割以上の受け入れを促している。
  マリンホームの小助川進園長は「利用者は特養が一つのコミュニティーになっている。被災者の2次避難や仮設住宅と同様に、分散避難はそれを崩壊させる。大 規模仮設住宅のような施設があれば助かるのだが…」と訴える。同時に「入所者が分散すれば、被災した特養はスタッフを解雇せざるをえなくなる」と雇用の問 題も口にする。
 被災施設は、新たな施設を造る場合、建設費の公費負担割合が4分の3から6分の5に割り増しされる。今回の被災施設の多くは津波被害のない場所への移転が必要になるが、用地取得の公的支援はない。
 ライフケア赤井江でも新たな場所で特養の再建を目指す。マリンホームそばに建て、受け渡し直前に被災したグループホームの建設費(約1億8000万円)が重くのしかかり、再開には3年は必要とみている。
 宮城県長寿社会政策課によると、被災施設からは二重ローン問題の問い合わせが相次ぎ、特養の仮設住宅の設置支援を求める要望も上がっている。特養など高齢者福祉施設の再建支援策については「厚労省に何度も問い合わせているが全く回答がない」という。

<避難所も負担ズシリ 要介護・要支援者37人/気仙沼
 約450人が暮らす気仙沼市最大の避難所、市総合体育館のメーンアリーナの一角では、ベッドに横たわったり、車いすで移動したりするお年寄りの姿が目立つ。
 体育館で生活する要介護・要支援者は、要介護度が最も重い「5」の人も含めて37人。うち身寄りのない14人がアリーナで生活し、看護師や介護福祉士らが付きっきりで支える。
 介護の態勢が整う体育館では、別の避難所で体調を崩して一時入院し、退院した高齢者も受け入れている。アリーナは一般の被災者も避難生活を送っており、介護は苦労の連続だ。
 看護師の女性(45)は「周囲の目がある中でやむを得ず、排せつの介助や体を拭くことがある」と明かす。生活空間を区切るのは卓球用の高さ約50センチの仕切りだけで「個人の尊厳を大切にできない」と悩みを吐露する。
 気仙沼市内では今回の震災で特別養護老人ホーム(70床)と介護老人保健施設(100床)の2施設が被災した。他の施設が定員以上を受け入れ、約30人が市外施設に移った一方で、震災後に体調を崩す人もいて要介護認定の申請が増えている。
  高齢者施設の受け皿が不足する中、その代替機能を避難所が担わざるを得ない現実がある。体育館の介護スタッフは他の自治体からの派遣がほとんどだ。避難所 運営を担当する市職員酒井勇一さん(59)は「今はケアできても、これからずっと行政応援が続くわけではない」と継続支援の困難さを指摘する。
 最も懸念しているのは、仮設住宅への入居が本格化しても、自立した生活が難しく、避難所に残るしかない高齢者が出てくることだ。
 震災後に体が不自由になった60代女性は仮設住宅への入居を申し込んだが、「失敗したかも」と悩む。今は避難所にいる親族やスタッフの支えがあるが、もし入居すれば一人暮らしになるという。
 「避難所なら3食もらえる。仮設住宅に入って何事も自分でやれるかどうか。自信はなくなったよ」

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