「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

脱原発:オーストリアからの報告/上 輸入分もゼロへ 「風力」普及に力<毎日新聞>

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
脱原発:オーストリアからの報告/上 輸入分もゼロへ 「風力」普及に力
毎日新聞 2012年12月03日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121203ddm016040007000c.html
▼全文転載


                    

 原発禁止を憲法に明記しているオーストリアは、国内に稼働中の原発が1基もない。さらに、15年までに原発電力の輸入ゼロを目指し、再生可能エネルギーを強力に推進している。現地を歩くと、「原発ゼロ」へ向けた日本の課題が見えた。2回に分けて報告する。【奥山智己】

                         

 一面に広がる小麦畑に、高さ約135メートルの風車が数百メートルおきに並ぶ。3枚羽根のプロペラはさまざまな方角を向き、穏やかな風が吹き抜けるとゆっくりと回り続けた。オーストリア東部ブルゲンラント州バイデン。「エネルギー・ブルゲンラント」社の風力発電所だ。

                         

 同州は広大な平地と風に恵まれ風力発電が盛んな地域。97年創業のエネ社は、わずか15年で州内に147基の風車を持つ国内最大手に成長した。

                         

 オーストリアは、北海道とほぼ同じ面積の約8・4万平方キロに約840万人が暮らす。年間発電電力量 (10年)は711億キロワット時で、59%を水力発電で賄う。一方で年50億キロワット時前後を周辺国から輸入、うち原発で発電した分が3~4%を占め るが、15年までにゼロにする方針だ。

                         

 ■20年に2倍以上に

                         

 脱原発を 進めながら、年々増える電力需要に応えるため、オーストリア政府などは、再生エネの中でも風力発電の普及に力を入れている。現行では風力は年間発電電力量 の3%に過ぎないが、経済・家庭・青少年省は「同州などの開発を進めれば、現在の出力120万キロワットが18~20年には倍以上の300万キロワットに なる」と見込む。

                         

 同州で風車を建てる場合、州が決めた発電に適した区域に限られる。さらに景観や地下水、鳥の飛行進路に悪影響を与えないかなど環境アセスメントで15項目の基準を満たさなければならない。

                         

 ■買い取り制度で後押し

                         

 アセスはエネ社にとって負担だが、担当者は「それでも買い取り制度のおかげで、建設費など1基あたり約1400万ユーロ(約14億9700万円)を十数年で回収できる。電気代は九つある州の平均程度です」と話す。

                         

 買い取り制度とは、エコ電力法に基づき、電力会社に一定期間、固定価格で再生エネによる電力の買い取り を義務づけるもので、03年1月にスタートした。現在の買い取り価格は13年間で1キロワット時当たり9・5~9・7セント(約10・1~10・3円)。 電力卸市場の約2倍の値が設定されている。

    
                    

 高い価格で買い取っても、電気代に直接跳ね返らないのは、政府が年5000万ユーロ(約53億3100 万円)を助成しているからだ。ただし、日本貿易振興機構ジェトロ)によると、再生エネの発電事業には継続的な公的支援が不可欠で、今後再生エネの拡充に 伴い電気代が上昇する懸念もあるという。

                         

 ■日本では0・01%未満

                         

 オーストリアの発電電力量(10年)の電源別内訳は、水力に次いで▽火力31%▽バイオマス6%▽風力3%--などとなっている。水力が多いのは、山間地が多くダムで貯水できるためだ。さらに、国土をドナウ川が横切り、沿岸に大規模な水力発電所が10カ所ある。

                         

 一方、福島原発事故前の10年度、日本は火力が59%と最も多く、原子力33%、水力7・7%で、風力は0・01%に満たない。

                         

 政府は9月に「30年代に原発ゼロ」とのエネルギー・環境戦略を決め、原発に代わる電源の柱の一つを風 力と位置づけた。風力は発電電力量を年間43億キロワット時から903億キロワット時へと増やす必要がある。そのためには、7月に始まった再生エネの固定 価格買い取り制度の価格をさらに優遇することや、19兆円以上の追加投資などが必要としている。

                         

 ただし、狭い日本での建設には、騒音・低周波対策や野鳥への影響、景観問題などの課題も多い。三菱総合 研究所環境・エネルギー研究本部の寺澤千尋研究員は「風力発電の普及のためには、周辺住民の理解が不可欠で、丁寧な説明と合意形成が重要だ」と指摘する。 さらに導入量の拡大には、洋上風力が必要で(1)技術開発(2)漁業者の理解(3)地域経済・雇用への貢献--などの課題をあげる。

    

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
購読申し込み
https://form.mainichi.co.jp/annuncio/koudoku/form.html
サンデー毎日(定期購読のお申し込み)
http://www.mainichi.co.jp/publish/magazine.html