「北の山・じろう」時事問題などの日記

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脱原発:オーストリアからの報告/下 完成後36年、核なき原子炉<毎日新聞>

毎日新聞
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脱原発:オーストリアからの報告/下 完成後36年、核なき原子炉
毎日新聞 2012年12月24日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121224ddm016040023000c.html
▼全文転載


                    

 オーストリアには「世界一安全な原発」がある。36年前に完成したが、国民が脱原発を選択し、一度も稼働しなかった。その後、国内に原発は一基も建設されず、再生可能エネルギーが普及した。「原発ゼロ」の原点とされるその原発を訪ねた。【奥山智己】

                         

 ■技術者研修に利用

                         

 首都ウィーンから北西へ約50キロ。ドナウ川のほとりに箱形の巨大な建物と煙突が並んでいた。ツベンテンドルフ原発(沸騰水型、73万キロワット)だ。

                         

 72年に着工し、76年完成したが、核燃料が入れられることはなかった。放射性物質による汚染はなく、今では防護服を着ずに原子炉圧力容器など内部を見学できる。実際に容器底部に入り見上げると、核反応を制御する「制御棒」の装置が無数にぶら下がっていた。

                         

 施設は、隣接するドイツの原子力技術者が、原子炉内のクレーンを操作するなどの研修に利用されている。また、敷地内ではバイオマス発電や太陽光発電の研究開発にも取り組んでいる。

                         

 国民投票で禁止

                         

 オーストリア政府は76年、国のエネルギー計画を発表。同原発を含め3原発を建設する構想だった。

                         

 ところが、77年には母親9人が原発の試運転を阻止するため、ハンガーストライキを決行。「高濃度の使 用済み核燃料は安全に処理できない」と懸念する世論も高まっていた。当時のクライスキー首相は、国民の信任を得て原発政策を不動とするため、原発稼働の是 非を問う国民投票を実施した。

                         

 ふたを開けてみると、予想外の結果となった。78年11月に実施された国民投票には人口の7割にあたる 約400万人が参加。うち50・47%が反対票を投じた。結果を重視した政府は翌月、原発建設や稼働を禁止する法律を成立させた。99年には憲法が改正さ れ、原発禁止が盛り込まれた。

                         

 建設当時、原発の運転員ら職員約200人は米国などで訓練を受け、建設費などに約5億ユーロ(555億 円)がかかっていた。電力会社は世論が変わることを見込み、いつでも稼働できるよう85年まで職員200人態勢を維持した。そのため、さらに5億ユーロが かさんだという。

                         

 ■過去の汚染に学ぶ

                         

 再生エネが普及した背景には、過去の環境汚染の苦い経験に基づき、環境産業が育っていたこともある。オーストリア経済・家庭・青少年省によると、60年代、家庭などからの汚水が河川や湖に垂れ流され、水質汚染が深刻な社会問題になった。

                         

 そのため、環境保護に関する法律が成立。同省は「水質基準に関する規制が強化され、水質を改善する技術など環境産業が育つきっかけになった」と説明する。

    

                    

 現在でも環境技術や再生エネの研究は大学で活発に行われ、専門の学部を持つ大学も少なくない。大学以外でも民間の16施設が研究開発でしのぎを削る。

                         

 政府は研究内容によって上限を定めているものの、研究開発費の10~50%を補助。同省は「技術革新と競争力強化を図っている」と話す。

                         

 さらに、欧州連合(EU)の政策も後ろ盾になった。EUは01年、加盟各国に再生エネの利用促進を求め る指令を出した。これを受け、オーストリアは電力や暖房などエネルギー消費量に占める再生エネの割合を、現在の31%から20年までに34%に引き上げる 必要があるという。

                         

 一方、日本では9月に民主党政権が、「30年代に原発ゼロ」を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を 打ち出したが、閣議決定できなかった。使用済み核燃料を再処理したプルトニウムが核兵器に転用されることを懸念した米国から「賢明な判断を求める」との公 電が届けられたことが影響している、と指摘する声もある。

                         

 ◇「省エネが重要」--オーストリア副経済・家庭・青少年相、クリスチャン・シェーンバウアー氏

                         

 日本が脱原発を 目指すにはどうすべきか。オーストリアのクリスチャン・シェーンバウアー副経済・家庭・青少年相は「省エネによってエネルギー効率を高めることが重要」と 強調する。オーストリアでも消費電力は年々増えており、省エネを徹底しなければ、再生可能エネルギーを拡充させても増加分をまかなえないためだ。

                         

 また、風力や太陽光などの再生エネが天候に左右されるなど不安定要素が大きい点については「風力や太陽光の余剰電力が生じれば、その電力で水を高所にくみ上げておき、風力や太陽光の発電量が低下したときに、それを使って水力発電すればいい」と指摘する。

                         

 日本の脱原発に ついては「技術的には原発での発電分を(火力や再生エネなどの)代替エネルギーでカバーすることは可能だろうが、重要なのはそれが経済的かどうかを議論す ることだ」と指摘。「再生エネの広がりは雇用創出にもつながる。政府は適切な額の補助金などで関連する産業を支援すべきだ」と語り、政策による誘導が欠か せないとの認識を示した。

    

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