「北の山・じろう」時事問題などの日記

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{日米同盟と原発}第6回「アカシアの雨 核の傘」 (2)「岸に賭けよう」 <東京新聞>

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日米同盟と原発
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第6回「アカシアの雨 核の傘」 (2)「岸に賭けよう」 
2013年2月26日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/arrandnuc/list/201302/CK2013022602000216.html
▼全文転載

 

 

1957年6月19日、ワシントン郊外のゴルフコースで、クラブで前方を指しながら話しかけるアイゼンハワー米大統領と岸信介首相(左から2人目)=AP

写真

 

 

 

米から選挙資金

 

 ソ連との対決姿勢を強める米国にとって、熱烈な反共主義者の岸は頼もしいリーダーだった。

 

 米陸軍情報部は、巣鴨拘置所の釈放直後から岸をマークしていた。一九五三(昭和二十八)年九月十八日付の情報ファイルには「岸は親しみやすく西洋的に振る舞い、スコッチウイスキーを飲む」などと好意的に記され、将来の首相候補と分析していた。

 

 首相就任後に岸がぶち上げた、あの「核保有合憲」発言。米国立公文書館で保管されている五七年六月十七日付の国務省極秘文書には「われわれの核配備への要求に対する、日本の首相の初めての啓発的な態度だ」と、その歓迎ぶりが記されてあった。

 

 「ニュールック」と呼ばれる軍事戦略を模索していた当時の米アイゼンハワー政権。それは、原子力の平和利用を推進する「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」を隠れみのに被爆国・日本を含む西側陣営に核兵器を配備する作戦だった。

 

 ところが、日本はマグロ漁船「第五福竜丸」が米水爆実験で被ばくした五四年のビキニ事件で反核世論が高まっていた。岸が首相に就任する前の五六年十二月三日、国務省高官が国防総省へ送った書簡は日本への配備の難しさを認めた上で、こう記されていた。

 

 「日本の指導者へ通常兵器についての教育が進めば、彼らは核兵器の有用性を受け入れ、さらにそれを望むかもしれない」

 

 米国がそんな期待を膨らませていた時、首相に就いたのが岸だった。

 

 五七年六月五日に行われた国務長官ダレスと大統領特別補佐官フランク・ナッシュ(47)の会議メモ。ダレスが「岸に賭けようと思っている」と打ち明けると、ナッシュは「在日米大使館から得た情報ではそれが最良にして唯一の方法です」と答えていた。

 

 その二週間後に訪米した岸を、大統領アイゼンハワーはゴルフに招待し、ラウンド後は並んでシャワーを浴びた。日米の対等関係を演出した。

 

 岸が望んだ日米安保条約の改定は、米国に日本への核配備を許したわけではない。しかし、在日米軍が日本を防衛するという大義は、手詰まり感のあった米国の対日戦略に新たな道を開くものだった。

 

 実際、米国は安保改定後、米艦船の航行や寄港などを通じ、日本近海に核兵器を持ち込んでいる。こうした間接的な手法を通じて米国は核配備とほぼ同等の抑止力を手にし、ソ連や中国ににらみをきかせた。

 

 訪米からほぼ一年後の五八年四月、岸は対米外交の成果をひっさげ、解散・総選挙に打って出る。与党の自民党は過半数を大きく上回る二百八十七議席を獲得。安保改定を実現する条件を整えることになるが、ここでも米国の影がちらつく。

 

 米国務省が二〇〇六年に公表した外交文書集は、この総選挙で米中央情報局(CIA)が関与していた事実をこう記している。

 

 「アイゼンハワー政権はCIAに対し、数人の親米の保守政治家へ秘密裏に資金提供する許可を出した。支援を受けた候補者たちは、米国人ビジネスマンからの資金だとしか伝えられていなかった」

 

 文書は、CIAから資金を受け取った政治家名を明らかにしていない。ただ、安保改定を目指す岸や米国への追い風になったことは確かだった。

 

 六〇年一月、再び渡米した岸はアイゼンハワーとの間で安保改定に調印する。後は自民党が多数を占める国会での審議、承認を残すのみとなった。

 

 ところが、岸と米国のシナリオは最終章で大きく狂いだす。日本が核戦争に巻き込まれるのではないかという国民の不安はやがて戦後最大の反体制運動へ発展し、列島を熱くする。

 

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