「北の山・じろう」時事問題などの日記

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焦点/震災関連死 定まらぬ判断/被災3県、計280件<証言/焦点 3.11 大震災「河北新報」

証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
※記事数が多いため、一部転載し、ほかは記事タイトルとURLの掲載です。

河北新報
トップ >http://www.kahoku.co.jp/
焦点/震災関連死 定まらぬ判断/被災3県、計280件
2011年07月04日月曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110704_02.htm
▼全文転載


市町村の担当者を対象に開かれた災害弔慰金の事務説明会。厚生労働省の職員が審査会設置の注意点などを説明した=6月27日、宮城県庁
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110704_02.htm

http://www.kahoku.co.jp/img/news/201107/20110704azu.jpg
男性に届いた災害死亡共済金の不払い通知書。「不慮の事故による死亡」を否定している
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110704_02.htm

 東日本大震災による生活環境や体調の悪化が原因で亡くなった「震災関連死」について、被災市町村が関連死の可能性があるとみているケースが宮城、岩手、福島の3県で、少なくとも計270~280件に上ることが、河北新報社のまとめで分かった。

◎市町村、審査会まだ半数

 関連死に絡み3県で計25市町村が、遺族に災害弔慰金を支払うかどうかを審査する機関(審査会)を設置済み、または設置予定であることも判明した。
 各県の発表で震災による死者が報告されている計49市町村を対象に、担当部署から(1)審査会設置の有無(2)審査対象見込み数―を聞き取った。結果は表の通り。
 関連死が疑われ、市町村が現時点で審査を見込んでいる件数は宮城が約140件、岩手が10~20件、福島が約120件。審査会を設置、または設置予定の自治体は宮城が12市町、岩手が6市町村、福島が7市町村。
 いわき市相馬市、福島県新地町、広野町は「審査会の設置予定なし」「未定」と回答した一方、関連死が疑われるケースが4市町で計30件程度あるとした。
  災害弔慰金支給法は「市町村は災害で死亡した住民の遺族に災害弔慰金の支給を行うことができる」と定めているが、審査機関に関する規定はない。同法の逐条 解説書にある「災害による死亡か否かの判定が市町村で困難な場合、医師や弁護士など有識者による審査会を設置して意見を聞く」との記述が実務上の根拠と なっている。
 関連死は明確な判断基準がなく、市町村が個々のケースごとに「災害による死亡か否か」を判定する。震災関連業務で忙殺される中、審査会メンバーの人選や最終的な可否の結論を迫られる市町村では、負担や不安を訴える声が絶えない。
 厚生労働省は6月、市町村が県に審査会の設置や運営を委託できるとする通知を出した。これを受け、いわき市や新地町など一部の自治体は県への委託を検討する方針を示している。
 委託は市町村の権限を県に移譲することになるため県議会、市町村議会双方の議決が必要で手続きに時間を要する。判断基準についても「地域事情を考慮せず、画一的な線を引かざるを得ないが、納得してもらえるのか」(宮城県)など懸念は根強い。
 福島県では「(東京電力福島第1原発周辺の)双葉郡8町村で合同審査会をつくるべきだとの意見もあり、検討を進めている」(楢葉町)など、独自の動きも出ている。
(若林雅人、東野滋)

◎保険機関、異なる判定

 「災害共済金の支払いはいたしかねます」
 6月中旬、東日本大震災の直後に亡くなった仙台市宮城野区の女性(71)の長男(47)に、全国生活協同組合連合会(全国生協連)から通知が届いた。女性は同会の生命共済に加入していた。
 女性は3月11日、青葉区のビル1階で知人とエレベーターを待っていた際、地震に遭遇。ビルの外に逃げようとし、知人が振り返ると女性は路上に倒れており、間もなく死亡が確認された。
 検視した医師は死体検案書の直接死因欄に「循環器系の疾患」と記載。死因の種類の欄では「不詳の外因」に印を付け、「地震の際、まもなく心肺停止になったとのこと」と付記した。
 全国生協連は、検案書の直接死因が「疾患」で体に外傷もないことを理由に「不慮の事故による死亡」に当たらないとして、災害死亡共済金の支払いを拒んだ。
 女性は生命共済とともに民間の保険に加入していた。この保険会社は5月、申請から数日で災害死亡保険金を支払った。
 男性が提出した検案書は全国生協連へ提出した書類と同じ。両者が約款などで支払い対象とする「不慮の事故」の定義も全く同じだが、支払いの判断は正反対になった。
 全国生協連は「保険会社の判断の詳細が分からないため、コメントはいたしかねる。当方は公正な給付に努めている」と話す。
 検案書自体も当初、医師が震災との関連を否定する「病死および自然死」に印を付け、男性が修正を求めて書き直してもらった経緯がある。
 男性は「検案書は、行間にさまざまな解釈を含むものなのだろうか」と首をひねり、続けた。「既往症も入院歴もなかった母は、震災がなければ3月11日に死ぬことはなかった。地震で亡くなったという以外、他人に説明する言葉が見つからない」

◎地震直後でも「病死」/健康診断1週間前「問題なし」

<茨城・男性のケース/「震災が原因」を拒む病院>
 地震の1週間前に届いた健康診断の結果は「問題なし」。ゴルフも楽しんでいた。
 「そんな父が突然倒れたのは、地震が原因としか考えられない」。東日本大震災直後、同居していた父親(67)を亡くした茨城県の女性(39)は訴える。
 父親は揺れが始まると母親と自宅の外に避難した。そのとき、父親が「胸が苦しい」とつぶやくのを母親が聞いた。
 揺れが収まった後、「水をくんでくる」と言って出掛けた父親はほどなく、自宅近くで倒れているのが見つかった。病院に運ばれ、まもなく死亡が確認された。
 死体検案書の直接死因欄には「急性心疾患疑い」と記され、死因の種類は「病死および自然死」に印が付けられた。後日、女性の求めで、病院側は「震災後1時間以内に急に病状を呈し、心停止に至った」と診断書に追記した。
 ところが、女性が何度頼んでも、病院側は「病死および自然死」の修正を拒み続けている。「地震以外の原因で亡くなった可能性もある」との理由だ。
 災害弔慰金の問題が生じるため、地元の市役所に相談すると「審査機関が設立されておらず、受け付けすらできない」と言われた。
 6月下旬、病院側に再度、検案書の訂正を求めた。「『自然死』で弔慰金がもらえるかどうか、市に確認したらいいんじゃないですか」との回答を聞き、女性は心を決めた。今後は弁護士を立てて交渉し、訂正を求めるつもりだ。
 弁護士は「関連死どころか、地震のショックで亡くなった『直接死』ではないか」とみる。女性は「父が震災で亡くなったという証しを残したいだけ。こんなことで本当はもめたくない」とうんざりした表情で語った。

証言/焦点 3.11 大震災{河北新報・連載記事}
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/index.htm
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