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焦点/中央防災会議最終報告の津波対策/「5分で避難」実現多難<証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」

証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/index.htm
※記事数が多いため、一部転載し、ほかは記事タイトルとURLの掲載です。

河北新報
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焦点/中央防災会議最終報告の津波対策/「5分で避難」実現多難
2011年09月30日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110930_01.htm
▼全文転載


写真
東日本大震災の地震発生後、高台への避難中に渋滞に巻き込まれ、津波の直撃を受けた車の列。最終報告は車でも安全に避難できる方策を検討するとしたが、課題は多い=3月12日、東松島市
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110930004jd.jpg
津波避難ビルに指定されていた気仙沼中央公民館=気仙沼市潮見町
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110930005jd.jpg

 東日本大震災を受けて今後の地震・津波対策を検討してきた中央防災会議の専門調査会(座長・河田恵昭関西大教授)が28日にまとめた最終報告は、津波対 策について住民の避難を軸に据えたことが特徴だ。徒歩による避難を原則とし、避難完了までの目安となる時間は「5分程度」を掲げた。津波到達時間が短い地 域では、避難ビルや避難路の建設などを進める必要がある。車での避難の検討など、報告の実現に向けた課題は山積している。(東野滋)

◎ビル・道路整備、課題山積

 報告は、最大クラスの津波には「減災」の考えに基づいて対応するとした。防潮堤建設といったハード面と、ハザードマップの内容充実や防災教育などソフト面の対策を組み合わせる。
 大地震が発生した場合、迷うことなく自ら高台に逃げることを避難行動の基本に定めた。必要な施策として、津波警報の改善などの体制整備や防災意識の向上とともに打ち出したのが、「津波に強いまちづくり」だ。
 避難場所や避難路の適切な選定、浸水リスクの低い地域を居住地域とする土地利用など具体策を提言している。
 特に避難ビル整備は、5分程度での避難完了のためには、多くの地域で不可欠だ。報告は最大クラスの津波に対しても十分な強度で、必要数も確保されるよう整備促進を要望。自治体などへの財政支援の配慮を求めた。
 徒歩避難を原則としながらも、平野部に位置するなど地域の実情に配慮し、やむを得ず車で避難する際の安全で確実な方策の検討を、今後の課題に挙げた。今回の震災で車で逃げて助かった人が多かったのが理由だ。
 ただ、名取市気仙沼市東松島市など多くの地域で避難する車による渋滞が発生し、多数の死者が出た。渋滞を回避しながら、いかに避難するかは難題になりそうだ。
 政府は報告を基に防災基本計画の見直しに入る。28日に報告書を受け取った平野達男防災担当相は「災害法制の見直しを含め、2年以内に国としての方向性を示したい」と説明。自治体への財政支援は「しっかり議論したい」と述べた。

◎「あのビルに救われた」/住民、有効性強く実感

  中央防災会議の専門調査会が「5分程度での避難」を目標に掲げ、津波到達時間の短い地域に整備を促した「津波避難ビル」。東日本大震災の被災地では、その 有効性を示す好例があった。宮城県南三陸町志津川の町指定津波避難ビル「町営松原住宅」がその一つ。より安全な避難ビルの整備や、車による避難の位置付け が課題になる。

 地震発生直後、近隣の体育館で部活動中の高校生や、公民館にいた町職員らが4階屋上に駆け上がって助かった。
 町職員の石沢友基さん(28)は「短時間で津波が到達する危険があった。あの建物以外に誘導先は思い浮かばない。遠くの高台を目指していたら、波にのまれたかもしれない」と振り返る。
 避難ビルに逃げた町職員の佐藤由貴さん(26)も「あの建物に救われた。特にお年寄りにとっては、避難ビルがそばにあれば安心。『5分程度の避難』を目指すならなおさらだ」と避難ビルの必要性を感じている。
 避難の方法について、専門調査会は「徒歩による避難」を原則としたが、やむを得ない場合は車での避難も今後検討するよう求めた。
 仙台市は、市の復興計画で沿岸部の居住を制限する方針だが、農地は使えるようにするため、農家が浸水地域の田畑に通うケースが想定される。
 浸水地域に農地を持つ若林区藤塚の農業斎久義さん(62)は「車での避難だと渋滞が予想される。沿岸部の田畑で農作業中に津波が発生した場合、5分で避難するには、近くに避難場所がなくては」と話す。
 市は沿岸部の農地の間に退避用の公園(丘)を設け、市中心部へ向かう避難道路も整備する計画を示す。市震災復興室は「車での避難が検討されることになった意味は大きい。費用など課題はあるが、できる限り実現できるよう取り組む」と話す。
 一方、釜石市両石町内会の瀬戸元(はじめ)会長(66)は「最終的に車の利用を認めてしまえば意味がない」と疑問を投げ掛ける。
 同町内会は、高齢者らをスムーズに高台に運ぶため、登録した車に制限する取り組みを進め、東日本大震災でも、迅速な避難で被害を最小限に抑えることができた。
 瀬戸会長は「取り組みの意義は高齢者ら弱者を救う点にある。避難は徒歩で高台に逃げるのが正しい選択だと思う。車の利用を認めれば確実に渋滞を招く」と語る。

◎沿岸自治体に高いハードル/国の財政支援望む声

 もともと高い建造物が少ない東北の沿岸部にとって、十分な高さと強度を備えた避難ビルの整備はハードルが高い。
 気仙沼市は震災前、宮城県で最も多い15カ所の津波避難ビルを指定していた。魚市場周辺など浸水想定地域には半径500メートルに一つの割合で避難ビルがあり、指定避難ビル全体で計約3000人の命を救った。
 ところが、津波で多くが損傷し、現在は避難ビルの機能を果たせない状態。市はビル所有者に建て替え後も指定に協力を求める考えだが、復興計画による土地利用や建築制限も絡み、建物の復旧見通しは不透明だ。
 市危機管理課の佐藤健一課長は「ペデストリアンデッキのような人工高台で代用することも検討中だ」と話している。
 3000人を超す死者が出た石巻市は指定避難ビルが3カ所しかなかった。同市は周囲に高台がない沿岸部で、半径500メートル以内に1棟を目標に津波避難ビルの建設を検討中だ。
 市防災対策課は「地理的条件などにより、津波の到達時間は異なる。『5分』にとらわれず、避難ビルの設置場所を柔軟に検討したい」と言う。
 公共施設以外に津波避難ビル自体がなかった宮古市の名越一郎副市長は「複数の避難ビルの建設が必要になる」と強調。市は「国の財政支援が不可欠だ」(都市計画課)と訴えている。

【中央防災会議最終報告骨子】
一、地震・津波の想定はあらゆる可能性を考慮した最大クラスを検討
一、津波対策は、最大クラスと従来の想定レベルの2段階で考える
一、最大クラスは住民の生命を最優先し、避難を軸にハード・ソフト両面の対策を確立する。従来レベルは防潮堤などの構造物整備を進める
一、津波警報の改善や地震・津波観測体制の強化を図る。ハザードマップの内容充実や防災教育を通じ、防災意識を向上させる
一、徒歩で5分以内を目安に避難できるまちづくりを目指す。避難は徒歩が原則。やむを得ず車で避難する場合の安全かつ確実に避難できる方策も検討する

証言/焦点 3.11 大震災{河北新報・連載記事}
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