「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第8部・自民党、再び 戦後政治と原子力 九州大副学長・吉岡斉氏の話<毎日新聞>

毎日新聞
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(連載特集)
この国と原発 2013年
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/
この国と原発:第8部・自民党、再び 戦後政治と原子力 九州大副学長・吉岡斉氏の話
毎日新聞 2013年04月08日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130408ddm010040203000c.html
▼全文転載


                    

 ◇日米同盟、脱原発へ最大の障害--九州大副学長(科学技術史、科学技術政策)・吉岡斉(ひとし)氏

                         

 日本の原子力推進体制は1956年にほぼ確立したが、当初は国会議員の大多数が賛成する挙国一致体制 だった。必ずしも自民党だけが原発を推進してきたとは言えない。原発の推進は官僚と電力業界が中心で、政治の介入は少なかった。しかし、ウラン濃縮▽使用 済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理▽高速増殖炉--など、核兵器製造につながる「機微(きび)核技術」については、自民党政権は強い執着を見せ てきた。

                         

 その典型は67年の動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)設立だ。労働争議に揺 れた日本原子力研究所(原研、同)を国会で問題化させて中枢から追い出し、機微核技術開発は国家プロジェクトとして動燃に担わせた。「もんじゅ」のナトリ ウム漏れ事故をめぐっては、97年2月に原子力委員会が「高速増殖炉懇談会」を設置し、私も専門委員に任命された。ところが、私たちが議論している最中 に、自民党は動燃改革検討委員会を動かして高速増殖炉開発を存続させる方針を出させ、懇談会の議論は無意味になった。

                    

 原発については霞が関の決定を粛々と追認し、機微核技術が危機に陥れば介入する。それが自民党政権の基本姿勢だ。背景には「国家安全保障のための原子力」という発想がある。核武装は控えるが、その技術的・産業的な潜在力を外交カードとして使うということだ。

                         

 日本の核武装を嫌う米国にとっては、非核保有国の中で日本にのみ機微核技術開発の特権を与えることで、日本の権力者の自尊心を満足させるとともに、米国への忠誠心を高めさせることができる。機微核技術の維持は、日米軍事同盟の生命線ともいえる。

                         

 原発については、今や米国の原子力プラントメーカーが日本メーカーに製造面で強く依存している。日本が原発から撤退した場合、米国の原子力産業に与える打撃は重大だ。軍事と民事双方にまたがる「日米原子力同盟」は、日本の脱原発に立ちはだかる最大の障害だろう。

                         

 民主党政権は当初、自民党政権の原子力政策を追認するだけだったが、福島の事故で変わった。逃げ道を作りながらも「30年代ゼロ」方針を決めた。世論に敏感に反応したといえる。問題は、それを体系的な政策にする力量がなかったことだ。

                         

 自民党政権は、再び官僚任せ・現状維持の原子力政策に回帰しようとしているかにみえる。将来の脱原発は不可避と考えるが、電力不足の恐れのある地域や季節に限り、安全度の相対的に高い原発のみ臨時運転を認めるという過渡的な選択肢はあるだろう。

    
                    

 新政権がそういう具体的な戦略を提示しないまま、単に事故以前の体制に戻ろうとするならば、国民の底流にある不信感が消えることはなく、ささいな事故・事件にも敏感に反応するだろう。

                         

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 ■人物略歴

                         

 ◇よしおか・ひとし

                         

 九州大副学長・教授。1953年、富山県生まれ。東大大学院修了。政府の福島原発事故調査・検証委委員を務めた。「原子力の社会史」「脱原子力国家への道」など著書多数。

    
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