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この国と原発:第8部・自民党、再び/4止 核兵器持たぬ原子力大国・日本<毎日新聞>

毎日新聞
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(連載特集)
この国と原発 2013年
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/
この国と原発:第8部・自民党、再び/4止 核兵器持たぬ原子力大国・日本
毎日新聞 2013年04月11日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130411ddm003040168000c.html

▼全文転載


 ◇蓄積するプルトニウムIAEAが転用監視

                         

 国際原子力機関IAEA、本部・ウィーン)が毎年、日本の原発をはじめとする原子力施設を査察してい ることは一般にあまり知られていない。もちろん、核兵器への転用がないかを監視するためだ。2011年には17人の査察官が日本国内に常駐し、計116カ 所が査察の対象となった。原発だけではなく、核燃料加工施設や企業、大学の研究施設も含まれていた。

                         

 IAEA本部によると、この年は178カ国・地域の核査察に総額約1億3000万ユーロ(11年の平均 レートで約144億円)が投じられた。IAEAの核査察活動に詳しい外交筋によると、うち4分の1ほどは日本に費やされているという。予算は加盟国の分 担。総予算の12%に当たる45億4400万円を支出した日本が「核兵器を持たない原子力大国」であることを示す一断面といえる。

                         

 日本が核兵器を保有する潜在的能力を持つようになったルーツには、安倍晋三首相の祖父である岸信介元首 相の存在がある。岸氏は1957年5月14日の記者会見で「現憲法下でも自衛のための核兵器保有は許される」と表明。国会質疑を経て政府見解として定着 し、以後、歴代政権は自衛権の範囲内なら核兵器保有も合憲との見解を示している。

 岸氏の訪米(同年6月16~22日)直前の発言を当時の米アイゼンハワー政権は歓迎した。米国務省が日本の状況を分析した同月15日付の文書には「岸氏の発言は、日本への核兵器導入という我々の要求に対する、より賢明な姿勢の兆候だ」と記されていた。

                         

 この文書は日米の核政策の歴史に詳しい山崎正勝・東京工業大名誉教授(68)=科学史=が米国立公文書 館で入手したもの。米が当時、東側陣営との対抗上、日本への核兵器配備を強く望んでいたことがうかがえる。山崎氏は「米政府が日本への核兵器の持ち込みと 共に、日本自身が核武装することによって核抑止力が強化できると考えていたふしがある」と分析する。

                         

 しかし、63年に誕生した米ジョンソン政権は核不拡散政策を取り、雲行きが変わる。中国の核実験成功 (64年)に伴い、政府内に日本独自の核武装論が台頭することを警戒したジョンソン大統領は65年1月に訪米した佐藤栄作首相に「核の傘」の提供を約束。 それは日本が核拡散防止条約(NPT)体制に組み込まれ、核を持てなくなることを意味した。

                         

 68年、日本と米は原子力協定を締結。事実上、米の許可がなければ使用済み核燃料を再処理することができない規定だった。代わりに、米は軽水炉用の濃縮ウランを日本に大量供給。以降の日本の原発はすべて軽水炉となった。

 軽水炉は、日本初の商業用原発である日本原子力発電東海発電所(廃炉)の黒鉛炉(英国製)に比べ、核兵器に適したプルトニウム239を取り出すのが難しい。「これも他国に核兵器を作らせない政策の一環だった」と山崎氏は指摘する。

                         

 更に日本は70年2月にNPTに調印。自民党政権は、日米安保体制がある限り核武装はしない道を選んだ。

                         

 一方で、日本政府は「準国産エネルギー」として、再処理で取り出したプルトニウムによる発電を目指して いた。使用済み核燃料再処理への厳しい規制の緩和を目指して78年から粘り強く交渉を続け、88年、米が譲歩する形で日米原子力協定を改定。青森県六ケ所 村の再処理工場が着工されるのは5年後の93年だ。

                         

 78~88年に協定の改定交渉に携わった元外務省科学技術審議官、遠藤哲也氏(78)=元原子力委員長代理=は「原子力協定による規制は、日本の原子力活動の箸の上げ下げにまでいちいち文句をつけるようなものだった」と振り返る。

                         

 だが、プルトニウム利用の目玉だった高速増殖炉計画は難航。この間、再処理だけは主に英仏に委託して続 けられた。原子力委員会は03年8月、核兵器製造の疑念を抱かれかねない「利用目的のないプルトニウム」を持たないと決定したが、日本は「目的はあるが、 使いようのないプルトニウム」を抱え込んでいる。

 現在、その量は非核国で最多の45トン(英仏での保管分も含む)。長崎型原爆4000発分に相当するとされる。仮にプルトニウム・ウラン混合酸化 物(MOX)燃料専用のJパワー大間原発(青森県、建設中)の運転が始まったとしても、消費できるのは年間1・1トンにすぎない。

                         

 成算のないまま、たまり続けるプルトニウム。「一部は外国にお金を払って引き取ってもらうなど、国際的 な選択肢も検討すべきではないか」と遠藤氏は言う。昨年12月21日の原子力委では、駐日英国大使館員が、英国内にある外国のプルトニウムは買い取ること も可能と示唆している。

                         

    □    □

                         

 「新聞は世界平和の原子力」--。自民党が政権を維持する「55年体制」が確立した1955(昭和30)年の新聞週間の標語は「原子力」に平和のイメージを重ねていた。

                         

 それから58年。東京電力福島第1原発を経て、自民党の原子力政策は変わるのか、それとも変わらないのか。日本の核政策の節目に現れた岸、佐藤の両元首相の系譜に連なる安倍首相のかじ取りを注視する必要がある。=おわり

                         

    ◇

                         

 この連載は日下部聡、袴田貴行、福島祥が担当しました。

                         

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 ◇自民党政権下での「核保有」を巡る主な動き

                         

1957年 5月 岸信介首相が記者会見で「現憲法下でも自衛のための核兵器保有は許される」と表明

  58年    外務省内で「防衛用核兵器」の保有が可能か検討

                         

  64年10月 中国が核実験に成功。日本独自の核武装論が台頭

                         

  65年 1月 訪米した佐藤栄作首相にジョンソン大統領が「核の傘」提供を約束

                         

  68年10月 日米原子力協定締結

                         

     11月 外務省の内部文書に「85年ごろまでに核武装」の記載

                         

  70年 2月 日本が核拡散防止条約に調印。核武装しない道を選択

                         

  78年    発電用プルトニウムを得るため日米原子力協定緩和の交渉開始

                         

  88年 7月 同協定が改定され、使用済み核燃料の再処理が容易に

                         

  93年 4月 青森県六ケ所村の再処理工場着工

                         

  97年 1月 プルトニウムを一般の原発に使うプルサーマル計画決定

                         

2002年 5月 安倍晋三官房副長官(当時)が「核兵器は憲法上、問題ない」と発言

                         

  06年10月 安倍政権下で党幹部、閣僚が相次いで「核保有論議容認」発言

    
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