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「次元の違う金融緩和」が秘めた危険性 (田中秀征)<DIAMOND online>

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「次元の違う金融緩和」が秘めた危険性
【第178回】 2013年4月11日
田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
http://diamond.jp/articles/-/34506
▼全文転載


 貸手が気前よくなったら経済は要注意。

 これは経済を観るときの私の重要な視点の1つだ。

 故・速水優氏が日銀総裁に就任した直後にも私は同氏にそう言った。

 「気前が良すぎる貸手が現れたらそれは大きな異変です。貸手が借手に頭を下げて借りてもらうのは経済法則に著しく反する行為だからです」

 速水氏は細川政権当時、経済同友会の代表幹事をしていて、細川政権の改革全般を強力に支援してくれていた。日銀総裁としても「円高」と「規制改 革」には一家言を持つ硬骨漢であった。2006年の量的緩和の解除により景気後退のA級戦犯のように言われるが必ずしもそうではない。私はその直後に、規 制改革を進めない政府に記者会見でボールを投げ返す必要があったと感じて彼にそう言った。政府が必要な経済政策を推進して、はじめて金融政策を転換できる という意味であった。

 さて、素人同然の私が日銀総裁に前述のようなことを言って実に失礼だと反省したが、彼は私の話を真剣に聞いてくれた。

 日銀という高台から見張っていて、貸手が金を持って借手を追いかけている。私のイメージはそんなところであった。もしそんな現象を発見したら半鐘を鳴らして警告すべきだと言いたかった。

「借りてくれる」は危険なサイン

 私は80年代末のバブル最盛期に、ある農協役員にこう頼まれた。

 「金を借りてくれる人がいたら紹介してください」

 このとき私は「借りてくれる」という言葉に強い違和感を持ち、その後幾日も考え込んでしまった。

 「貸してくれる」ならわかるが、「借りてくれる」はおかしい。「貸してくれる」は古代の人でもわかるが、「借りてくれる」は理解できないだろう。

 私はつねづね、経済がどんなに大規模になり、複雑になっても、経済を支配する基本的な法則は不変であると信じている。それは他でもない「人々の暮らしを良くする」という目標は時代にかかわらず変わらないはずだからだ。

 正常な経済状況の下では、金を借りる必要のない人は借りない。そして、借りたい人でも返す力のない人は借りないし、貸手もそんな人には貸さない。

 問題は借りる必要がない人が借りたり、返す力のない人が借りる現象が起きることだ。

 リーマンショックの契機となったアメリカの住宅バブルの崩壊もその典型であった。中流家庭に住宅が行き渡ると、バブルを維持するためには低所得者層に拡大せざるを得ない。返済困難な人にまで融資をすればバブルの崩壊は時間の問題となる。

 また、貸手が借手に「借りてもらう」ようになると深刻なモラルハザードが発生する。「あなたが借りてくれと必死に頼んだから借りてやった」のだから返済する気持ちが極度に弱くなる。結局それが不良債権として蓄積するのだ。

 1980年代バブルが弾けた後、宮沢喜一元首相に「何とかならなかったですか」と聞くと、「みんなが歓んでいるときに水をかけるのは難しいんだな」とつぶやいた。

「80年代バブル」の二の舞にならないために

 私の念頭にあるのは、言うまでもなく、「次元の違う」金融緩和策。特に日銀が市場に供給する資金量を2年間で2倍にするという破天荒な政策だ。資 金需要のないところに供給すればその金はどこに行くか。結局はまず土地や株に向かい、資産バブルを起こさざるを得ない。銀行も旨味の少ない国債から離れて 借手を探すことになる。そうすれば、逃げる借手を追う貸手という不条理な風景が再発するかもしれない。

 黒田日銀はもちろんその対策を考えているだろう。また、金融当局も学界も、何よりも企業や個人も、80年代バブルで多くを学んでいる。今のところ絶好調なアベノミクスをどう着地させるか。官民挙げて知恵を絞らなければ元来た道を再び辿ることにもなりかねない。

 もしも、この絶好調を堅実な成長過程につなげることができれば、アベノミクスの大実験は経済史に深く刻まれよう。

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【第177回】 2013年4月4日
田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
http://diamond.jp/articles/-/34198


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