「北の山・じろう」時事問題などの日記

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焦点/東電の損害賠償請求書/「多い、難解」被害者悲鳴<証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連

証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/index.htm
※記事数が多いため、一部転載し、ほかは記事タイトルとURLの掲載です。


河北新報
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焦点/東電の損害賠償請求書/「多い、難解」被害者悲鳴
2011年12月26日月曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20111226_01.htm
▼全文転載



自宅で請求書類を記入する今野幸一さん。「説明書は分厚く、字も小さくて読みづらい。根負けして請求を諦める人も多いのではないか」と話す=南相馬市原町区
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20111226013jd.jpg

 福島第1原発事故を起こした東京電力に対する損害賠償請求の書式として、東電が作成した「補償金ご請求書類」の評判が悪い。「膨大で分かりにくい」「東 電の有利な方向に誘導される」と被害者の間で批判が相次いでいる。どれぐらい大変なのかを確かめるため、被害者の一人で南相馬市原町区の農業今野幸一さん (63)、長男勝幸さん(38)らと共に一家7人の書類を実際に書いてみた。(浦響子)

◎4人分に15時間

<状況理解せず>
 まず勝幸さん家族の4人分を記入した。書類は約60ページ。初めは「精神的損害」の項目だ。書類と別にある分厚い156ページの説明書をめくり、7つのパターンから該当項目を探す。勝幸さんの場合、月10万円だった。今回の対象期間の3~8月の6カ月分を書き込んだ。
 一時帰宅のときに掛かる「立ち入り費」は移動機会ごとに記す。自宅には6度帰ったが、記入欄は3回分しかない。東電のコールセンターに電話で尋ねると「コピーして記入してください」と言われた。「避難者の状況を理解していない」と勝幸さんがつぶやく。
 続いて「就労不能損害」。事故前、勝幸さんは飲料工場に勤め、妻(41)は介護士として働いていた。2人の平均月収を計算し、事故後の収入との差額を算出する。細かい作業だ。

<社員が説明を>
 計算中に子どもたちが幼稚園から帰って来た。2人とも遊び盛り。「つまんない」「トランプしようよ」と親の袖を引っ張る。「後でね」と諭すと、むずかりだした。
 記入のテンポは一気に落ちた。子連れ世帯の場合、書き上げるまでにかなりの時間とストレスがかかるだろうと感じた。
 所定の項目以外で請求したい事柄を書く「その他」欄の記入も面倒だ。避難に伴って月1万円高くなった幼稚園代、新たに買った家電と家財の代金、山形に家探しに来たときの交通費など挙げればきりがない。
 説明書に記入例がなく、どう書いていいのか分からない。箇条書きで必要性や経緯を記した。
 4人分の完成まで15時間かかった。その間、コールセンターに7回電話した。そのたびに避難状況を一から説明するので、1回の問い合わせで15分以上を要する。
 勝幸さんは「説明書では分からない。東電社員は1軒ずつ回って一緒に書いてほしい」と話す。

<自宅は対象外>
 数日後、今度は南相馬市の自宅で、幸一さんと妻(63)、母(84)の書類を作成した。
 自宅住まいの人は精神的損害の対象外だ。幸一さん夫妻は、4月に避難先から自宅に戻った。5月以降は0円とみなされ、賠償を受けられる長男家族と差が生じる。
 自宅で暮らしても被ばくの不安を覚える。作物栽培もできず、息子夫妻や孫らとも離れ離れだ。
 幸一さんの妻が「避難してもしなくても苦しみは同じ。私たちも精神的損害を請求したい」と言い出す。
 「そんなことしても意味がない。家族の避難先と自宅間の移動費を請求した方がいい」と幸一さん。妻は「どんな思いで生活しているのか、東電に知ってほしいから請求したい」と引き下がらない。言い争いになって険悪な雰囲気になる。
 最終的に移動費などの実費を含めた精神的損害として、月10万円ずつを請求することにした。
 幸一さんら3人の書類作成は午前10時に始まり、終わったのは日が暮れた午後6時だった。

[今 野さん一家]幸一さんと妻、母のほか、長男勝幸さんと妻、長女(6)、長男(4)。地元の介護施設に入っていた母を除く6人で自宅で暮らしていた。原発事 故後、幸一さん夫妻は千葉県などに避難した後、自宅に戻った。母は千葉県の介護施設に移った。勝幸さん家族は山形市に避難した。現地の飲料工場でアルバイ ト勤務し、妻は休職している。


◎簡略化、本質変わらず/2次請求も加害者視点/安易な合意に注意促す

 福島第1原発事故の「補償金ご請求書類」は被害者からの第1次請求の返送率が約3割にとどまり、書きにくさ、使い勝手の悪さを裏付けた。東京電力は批判を受け、第2次請求で書類を簡略化したが、なお問題点を指摘する声は根強い。

 第1次請求は3~8月の損害分が対象。書式は約60ページの記入書類、同意書、請求書など13種類あり、記入の手引きとして156ページの説明書が同封されている。
 請求対象項目は(1)避難生活による精神的損害(2)避難、帰宅費用(3)医療費など生命、身体に関わる損害(4)失業、休業による減収の補償(5)放射性物質検査費―など。それ以外の損害は、領収書を添付して「その他」欄に記入して請求する。
 書類は9月の発送当初から、被害者の間で「記入量が多い」「記載が不親切」と不満が出た。合意書の見本に「合意後は一切の異議・追加の請求を申し立てない」との文言があり、被害者感情を逆なでした。
 全域が賠償対象の福島県の自治体職員は「お年寄りだけで書くのは相当な負担。東電はわざと請求しづらくして、返送しない人を増やすつもりではないか」といぶかる。
 東電広報部によると、第1次請求の返送は11月末時点で約7万件中約2万2400件にすぎない。うち合意に至ったのは、約1560件(計約34億円)で2%程度だ。
 同社は9~11月分の第2次請求の記入書類を60ページから34ページに減らし、合意書の文言も撤回して12月に発送した。「第1次請求分も第2次の請求書類でまとめてできる」と呼び掛けている。
 東日本大震災による原発事故被災者支援弁護団の長谷見峻一弁護士(第2東京弁護士会)は「書類の厚みが変わっただけで本質は同じ」と切り捨てる。「損害額は被害者が一番分かっていることで、加害者の東電が対象項目を判断することがおかしい」と指摘する。
 福島県内には、独自に賠償請求の道を探る自治体も出ている。
  全域が計画的避難区域の飯舘村は第1次請求の受け付けが始まった9月、「賠償額に不満や疑念がある場合、安易に合意しないように」と注意を促す通知を全村 民に郵送した。第2次請求の受け付け開始を機に、法律相談会や原子力損害賠償紛争解決センターの案内を記したチラシを全世帯に送ることを決めた。
 村産業振興課は「村民には請求漏れのないよう慎重な対応をお願いしている。東電が認めない項目は、村で取りまとめて請求することも検討する」と説明する。
 全域が警戒区域の双葉町は、独自の賠償請求書を弁護士の助言を受けて作った。避難生活のストレスを具体的項目で記載し、細かく被害を訴えられる形式にした。
 県原子力賠償支援課の金子達也課長は「請求は東電の書類だけでなく、ADR(裁判外紛争解決)や民事訴訟でもできる。東電の基準に満足いかない場合は別の方法を選んで請求してほしい」と話している。

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