「北の山・じろう」時事問題などの日記

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社説:原爆症認定 全面救済を今度こそ<毎日新聞>

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社説:原爆症認定 全面救済を今度こそ
毎日新聞 2013年08月11日 02時33分
http://mainichi.jp/opinion/news/20130811k0000m070096000c.html

▼全文転載

 

 国の審査で却下された被爆者を原爆症と認めた大阪地裁判決に対し、安倍晋三首相が控訴しないことを表明した。高齢化した被爆者の早期救済が求められており、政府が判決を受け入れるのは当然と言えよう。

 広島、長崎の平和式典で、安倍首相は「一日でも早く認定が下りるよう最善を尽くす」とも約束した。今度こそ、被爆者が納得する救済策を講じるべきだ。

 現行の認定基準は、爆心地から3・5キロ以内で被爆し、がんなど七つの特定疾病のいずれかにかかった人 を「積極的に認定する」としている。原爆投下後の入市被爆者も対象にしたが、申請しても認められないケースが続出している。今年3月までの5年間に約1万 500件が認定された一方、却下件数もほぼ同じ約9800件に上る。

 健康被害が放射線の影響によるものか、加齢や生活習慣によるものかの判断は難しく、審査に高度の医学・ 放射線学の知識が必要とされている。却下理由を見ると、発症するほどの放射線を浴びていないとされたり、喫煙や肥満などで病気になったと判断されたりして いる。審査が厳格すぎるとして処分取り消し訴訟が相次ぎ、大阪地裁は今月2日、訴えた8人全員を原爆症と認めた。

 判決は、現行基準の被ばく線量の算定方法では、被爆の影響などが過小評価される疑いが強く、一応の目安にとどめるのが相当と指摘した。そのうえで、被爆状況や症状などに照らし、さまざまな形態での被爆の可能性がないかを十分に検討すべきだと述べた。

 これまでの集団訴訟などで裁判所は、被爆した場所が基準より遠かったり、特定疾病以外の病気を発症したりした人も原爆症と認めてきた。今回の判決は、基準の科学的合理性を否定していないが、柔軟な物差しで救済を図るべきだという司法の姿勢を改めて示したと言える。

 安倍首相は、厚生労働省の制度見直しの検討会に対し、年内に結論を出すよう指示した。首相は第1次内閣の2007年8月にも制度の見直し検討を明らかにし、08年4月に条件を緩和した現行基準に切り替えられた経緯がある。今回は、安倍氏にとって2度目の見直し表明だ。

 認定制度は、国の責任で被爆者を救済するためにある。線引きによる切り捨てという批判が絶えない基準そのものを見直すべきではないか。科学的知見に不確実な部分があることを踏まえ、司法判断との隔たりを解消する制度が望まれる。そのためには政治決断が必要だ。

 国内外に約20万人いる被爆者の平均年齢は78・8歳になった。全面救済を急がなければならない。

 

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