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記者の目:脱依存の道進む「原発大国」=宮川裕章<毎日新聞>

毎日新聞
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記者の目:脱依存の道進む「原発大国」=宮川裕章
毎日新聞 2012年12月07日 00時15分
http://mainichi.jp/opinion/news/20121207k0000m070125000c.html
▼全文転載

 昨年3月の東京電力福島第1原発事故を契機にフランスの原子力政策、再生可能エネルギー開発の現場を多く取材した。
 ◇フランスの教訓から学ぶ

 電力の原子力依存率が75%の「原発大国」も、緩やかにではあるが、再生エネの拡大に取り組み、「脱原 発依存」の道を歩んでいる。だが廃炉に伴う放射性物質を含んだ解体物の行き場や、供給が不安定な再生エネの弱点解消など、道のりは容易ではなさそうに見え た。その課題は、日本の近未来にも重なる。

 ◇複雑構造が災い、廃炉作業長期化

 私は11月22日付朝刊の特集「検証・大震災」で放射性廃棄物の処理に困るフランス北西部のブレニリス 原発を取材した。1967年に運転開始し、85年から27年間にわたり断続的に廃炉作業が続く。長期化の背景には、古い設計で作業の安全性の確保に疑問が 指摘されている点と、東部の別の都市に建設中の解体物の一時保管施設が近隣住民の反対で建設を中断した事情がある。60〜70年代に建設された原発は開発 競争のあおりで設計段階では廃炉を想定するまで手が回らず、原子炉などの構造が複雑になった。このため、解体作業の安全性確保が課題になっている。

 日本で唯一解体中の東海原発は「技術的な問題はなく、解体の先例としてマニュアル化するためじっくり時 間をかけている」(内藤正則・エネルギー総合工学研究所原子力工学センター部長)というが、汚染状況は原子炉ごとに違い、すべての廃炉のモデルケースにな るかは保証がない。

 原子炉の解体には設計者や作業員らの知見も必要になる。「運転当時の原発内の状況を知る人の知識を活用 するためには、早期の解体も必要だ」と仏電力公社の廃炉担当幹部は語る。廃炉作業を安全に進めるには、知見のある関係者が高齢化する前に着手するという時 間的感覚も必要だ。

 近隣住民の反対による保管施設の建設中止も、日本で将来起こりうる事態だ。福島第1原発事故の除染によ る汚染土などの中間貯蔵施設は福島県などが現地調査受け入れを表明したが、廃炉の受け入れは決まっていない。解体に先行して安全対策や補償の議論を進めな ければならない。

 もう一つ特集で指摘したのが、洋上風力発電など原発の代替として推進する再生可能エネルギー開発の課題 だ。洋上風力発電所では最新型原発の3分の1の電力を生み出すのに支柱が高さ100メートルを超す風車が100基並ぶ海域を用意しなければならず、漁業関 係者らへの補償が課題だ。

 事業主のスペインの電力会社の担当者は取材で洋上風力発電に適した海域をマークした欧州地図を示したが、遠浅の英仏海峡に集中し、日本近海と同様、海底が急に深くなる地中海にはマークがなかった。日本では浮体式の発電機が必要となる可能性が高く、コストは割高になる。

 また、電力消費地の都市部から離れるほど送電線の建設コストや、送電時に自然に失う電力は増加する。脱 原発を主張しつつ、洋上風力発電による景観悪化を懸念する現地環境保護団体の女性は「電力消費を下げる社会を目指したい」と話し、景観保護との両立の難し さを物語っている。

 取材したフランス・ブルターニュ地方では、洋上風力発電所と同時にガス発電所の建設計画を進めていた。 風力や太陽光などの再生エネは、気象条件に左右される電力供給の不安定さが問題になるため、多くの場合、現段階では他の電力で補う必要がある。仏原子力大 手アレバ社は地中海に浮かぶコルシカ島で蓄電技術の大規模な開発を進めている。日本では「巨大原発企業」のように映る同社だが、すでに再生エネ普及に向け て先行投資しているのだ。実用普及化には時間がかかりそうだが、日本企業も見習うべきところがあるかもしれない。

 ◇将来を見越した戦略の確立必要

 取材を通じて実感したのは、エネルギー政策の転換には大きなコストがかかるということだ。仏でも最前線 の現場でさまざまな課題が浮かび、欧州経済危機に伴う経済状況の悪化が電力コスト上昇による国内企業の競争力低下への危機感を生んでいる。11月29日に 始まった政府、企業、科学者、経済学者などによるエネルギー移行国民大討論会では、5月に誕生したオランド政権の長期的エネルギー政策が今後数カ月間にわ たって議論される予定だ。

 日本も、ただ「脱原発」の是非を問うのではなく、10年、20年先を見越したエネルギー戦略を確立しなければならないのは明白だ。「脱原発依存」を進めるうえでもフランスの教訓から学ぶ点は多い。(パリ支局)

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