「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

この国と原発:第1部・翻弄される自治体/2 新設計画30年、交付金頼みの上関町

毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
この国と原発:第1部・翻弄される自治体/2 新設計画30年、交付金頼みの上関町
毎日新聞 2011年08月20日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20110820ddm003040067000c.html
◎全文転載

(1)

 ◇「白紙」の未来図なく

 今月1日朝、瀬戸内海に面する山口県上関町の町役場は、全町民3555人を対象とした一律2万円の地域振興券を受け取る町民で混雑した。振興券の原資は、同町で原発建設を計画している中国電力からの寄付金だ。

 振興券配布は昨年からで、前回は町民の97・4%が受け取った。町民からは「苦しい中、助かります」と率直な声も聞かれた。

 上関原発は現在、原子炉設置の許可申請が出ている全国唯一の新設原発だ。電源3法交付金は調査段階から交付され るため、町は「図上の原発」で潤ってきた。交付金は84〜10年度に計約45億円。中国電力からの寄付(07年以降約24億円)も流れ込み、11年度一般 会計当初予算では、「原発マネー」が14億円で歳入の3分の1を占める。

 原発計画は82年、町側が手を挙げる形で始まった。一般企業の誘致を試みたが、「平地が少なく、水もな い。交通の便も悪く、原発しか来てくれなかった」と推進派の中心組織「上関町まちづくり連絡協議会」事務局の古泉直紀さん(53)。以来、推進派と反対派 が約30年間、町を二分して激しく対立してきた。8回の町長選はいずれも推進派が当選。計画は徐々に進み、来年にも本格着工という段階で東日本大震災が起 きた。

(2)

 建設地造成のため、今年2月に強行再開された1年3カ月ぶりの海面埋め立て工事も震災後、二井(にい) 関成知事らの要請で中断された。原発事故への不安から、原発予定地から30キロ圏内の周辺8市町議会が中止や凍結を求める意見書を相次いで可決。上関町に は思いもよらぬ「包囲網」が築かれた。

 「それでも原発は必要だ」。古泉さんは苦渋の表情で語る。「町の活性化には雇用の場を作って人を集めね ば。原発マネーがあるから、高齢者のバス代補助や中学生以下の医療費無料化ができる」。言葉の裏には「中国電力が最新技術で安心安全な原発を造ってくれる はず」との期待感ものぞく。

 町はこの30年間、過疎化が進み、人口が半減した。高齢化率は49・4%(09年)と県内トップ。こう した状況で交付金はありがたい。町内では今年末、年間約8万人の利用を見込む温浴施設(総工費約9億円)が完成する。しかし、町の税収が歳入の5%にすぎ ない2億2500万円に落ち込む中、交付金がストップすれば、予定している総合文化センター(同約12億円)などの着工には赤信号がともる。

(3)

 「他の自治体並みに町民の生活支援をするためには原発財源が不可欠」。9月に予定される町長選で3選を 目指す柏原重海町長(61)は力説し、推進の立場を変えてはいない。だが、国がエネルギー政策を見直し、新規立地が中止された場合も考え、6月町議会では 「原発の賛否を超え、議論する場を作りたい」と述べざるを得なかった。

 長年、原発推進の国策に翻弄(ほんろう)されてきた小さな町。新規立地が見送られた場合は、どう生き残るのか。展望は全く立っていない。【小中真樹雄】=つづく

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html

毎日新聞 ホーム>http://mainichi.jp/



☆ホームページのご案内
福島第1原発事故と原発問題、チェルノブイリ原発事故関係情報案内所
福島原発事故と放射能環境汚染・食品汚染・健康被害、チェルノブイリ関連情報案内所