「北の山・じろう」時事問題などの日記

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官々愕々 駆け込み退職問題の裏に中央官僚のエゴ(古賀茂明)<現代ビジネス>

現代ビジネス
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古賀茂明「日本再生に挑む」
官々愕々
駆け込み退職問題の裏に中央官僚のエゴ
2013年02月16日(土) 古賀 茂明
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34811
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34811?page=2
◎全文転載

(1)

 全国の自治体で職員の退職金を引き下げたことが原因で、年度途中の職員の駆け込み退職が大量に発生し、学校などの現場で混乱が生じている。

 教師と自治体それぞれに対する批判があるが、本当の責任者は彼らではないということはマスコミも取り上げていない。

 まず、教師に対しては、「教師は生徒のために身を捧げる職業なのに、カネのために生徒を犠牲にするなんて許せない」という批判がなされる。引き下げ覚悟で最後まで勤める心ある教師も多いので、そうでない教師への風当たりはさらに強まる。

 しかし、責任を最後まで全うすると150万円もの大金(年度末退職ならそれまでの間の給与がもらえるので、その分損する額は小さくなるが)を損するというのは制度としておかしい。

 そこで、批判は自治体に向かう。学校などの場合、年度途中で突然退職されると確実に生徒が犠牲になる。従って、普段から、年度途中の退職には一定 の制限をかけておくべきだ。無責任に年度途中で退職する場合は退職金が減少するようなルールにしておけば良い。今回のように、急に引き下げを決めたら、こ うした駆け込みが起きることは当然予測できる。そうならないような手立てを十分に考えて実行すべきだった。首長の責任が問われても仕方ない面はある。

 しかし、実は、教師も自治体も今回の事態を生じさせた本当の責任者ではない。では、誰なのか。

 国家公務員の退職金はずっと前から民間よりもかなり高かった。しかし、国家公務員の集まりである人事院は、自分たちの退職金を下げたくないから、 何年もの間調査をさぼっていた。ようやく調査を始めたのが2011年の夏。調査の結果、驚くべきことに国家公務員の退職金が、民間より平均で400万円も 高いことがわかった。その公表が昨年('12年)3月になってからだ。本来は、'11年秋までに調査を終えて引き下げを決め、直ちに自治体にも引き下げを 申し入れておけば、'12年度初めの4月からいっせいに引き下げが行えたはずだ。

(2)

 しかし、キャリア官僚の幹部たちの退職は、夏から秋だ。4月からの引き下げを決めれば、自分たちがやめた時の退職金を引き下げることになる。特 に、財務省勝栄二郎事務次官(当時)は、昨年退官がほぼ既定路線だったので、「ザ・官僚」である同氏の退職金を守るため、昨年8月の同氏退官を見極めて 法案作成に入った。

 さらに、官僚たちは、400万円をいっぺんに下げたくないので、これを今年1月から2年で3回に小分けして下げる法案を作った。しかし、これが国 会で議論され、選挙を控えた民主党政権が腰砕けになるとまずいので、この法案提出を引き延ばし、昨年の衆議院解散間際の混乱に乗じて、まんまと議論なしで 通してしまった。

 そして、中央官僚は、偉そうに、国が1月に下げるのだから、地方も下げろと言った。慌ててそれに付き合った自治体では、年度途中の引き下げとなり、結果、今回の混乱に至ったのである。

 そもそも、国がめったに退職金の調査をしないことが問題だ。毎年民間と比較してこまめに引き下げていれば、一回あたりの引き下げ幅は、せいぜい数 十万円だっただろう。そうであれば、今回のような混乱にはならなかったはずだ。国が怠慢で高い退職金を継続し、引き下げをする時も自分たちの都合で時期を 決め、地方はそれに合わせようとして混乱が生じたというのが実態なのである。

 生徒や一般市民、そして罪のない先生を巻き添えにした中央官僚のエゴ。その罪は極めて大きい。

『週刊現代』2013年2月16・23日号より

こが・しげあき/1955年生まれ。元経産省職員。改革派官僚として活躍したのち、'11年9月に退官。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社)、『官僚の責任』(PHP新書)など。「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンhttps://mall.ismedia.jp/category/select/pid/8767」も好評配信中
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