「北の山 じろう」日記               (その心は?明日、天気にな~~れ!)

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ハゲタカファンド→実業家に転売され「オーナーが自己利益のために意見を表明する場」となった米地方紙

現代ビジネス
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牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」
ハゲタカファンドから実業家に転売され「オーナーが自己利益のために意見を表明する場」となった米地方紙。その実態は日本の大新聞と瓜二つ!?
2012年06月22日(金) 牧野 洋
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▼全文転載

(1)
どこかの誰かとそっくり(?)なメディア王ルパート・マードック 〔PHOTO〕gettyimages
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 メキシコと国境を接するカリフォルニア州サンディエゴ。ここで発行される唯一の日刊紙UTサンディエゴ(旧サンディエゴ・ユニオン・トリビューン)が激震に見舞われている。数年でオーナー(社主)が2度も入れ替わり、紙面内容が様変わりしているのだ。

 新聞社がまるで商品のように売買されるアメリカ。それと比べると日本の新聞界は別世界のようだ。オーナーが入れ替わることはめったになく、経営は 安定している。「経営の独立性=編集の独立性」と見なす経営者は多い。だが、経営側の意向を反映して紙面が編集されるという点では、実はUTサンディエゴ とそっくりだ。

 まずはUTサンディエゴの過去数年を振り返っておこう。

 1928年以来のオーナーであるコプリー家が2009年、同紙の売却に踏み切った。買い手は、機関投資家や富裕個人から資金を預かって運用する買収ファンド「プラチナム・エクイティ」。買収ファンドは、日本のメディア業界では「ハゲタカファンド」と毛嫌いされがちだ。

 2年後の2011年、プラチナム・エクイティは同紙を転売した。今度の買い手は、サンディエゴの不動産業者ダグラス・マンチェスターだ。サンディエゴ市内に高くそびえる高級ホテル「サンディエゴ・マリオット・マーキス&マリーナ」を所有している実業家である。

(2)

 2010年9月2日付の当コラム「な ぜ買収ファンドが調査報道NPOを資金支援するのか」でも書いたように、プラチナムによる買収をきっかけにユニオン・トリビューン(今年1月からUTサン ディエゴへ名称変更)の編集局内では高コストの調査報道班は消滅した。調査報道NPO(民間非営利団体)としてスピンオフ(分離・独立)したのだ。

オーナーの一存で紙面内容が様変わりする

 オーナーが「ハゲタカファンド」から実業家へ切り替わったことでUTサンディエゴはどうなったのか。ニューヨーク・タイムズのメディア担当コラムニストであるデビッド・カーの言葉を借りれば、「UTサンディエゴはオーナーが自己利益のために意見を表明する場」になった。

 UTサンディエゴの新オーナーは筋金入りの反「大きな政府」、反増税、反同性愛であると同時に、サンディエゴの中心部に巨大なアメフト競技場を建設する計画を支持するなど再開発推進派である。コラム上でカーは以下の「経営側による編集介入」事例を挙げている。

*1面を使ってアメフト競技場建設推進論を報道。土地を管理するサンディエゴ港湾局が動かないと、資金絡みで同港湾局の不正を糾弾する記事を掲載する。

*スポーツ担当のベテランコラムニストがアメフト競技場建設に否定的な記事を書く。すると、このコラムニストは編集局長室に呼び出され、その場で解雇される。

*選挙前に、論説面に加えてニュース面でも保守派・再開発推進派候補に肩入れする報道を展開。新オーナーが支持する市長候補については1面で社説を掲載する。

 新聞のオーナーが入れ替わるのが日常茶飯事であるアメリカでは、新しいオーナーの一存で紙面内容が様変わりすることがある。インターネットの普及や2008年金融危機の影響で身売りを強いられる新聞社が続出していることから、なおさらである。

 たとえば有力経済紙ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズ。1世紀近くにわたってバンクロフト家がオーナーとして君臨してい たが、2007年にメディア王ルパート・マードック率いるニューズ・コーポレーションへ同家は持ち株を売却。それ以降、紙面上では「マードック色」が強く 出ている。

株式持合いの結果としての「経営者独裁」

 翻って日本はどうか。大手新聞社はそろって株式非公開であるため、オーナーが入れ替わることはほとんどない。しかも、株主構成を見ると役員持ち株会や従業員持ち株会、グループ会社が大株主リスト上位にずらりと並んでいる。いわば「身内株主」ばかりだ。

(3)

 たとえば朝日新聞社。従業員持ち株会が筆頭株主で、系列のテレビ朝日が第2位の株主だ。これだけで発行済み株式のざっと3割になる。系列下のテレ ビ朝日が親会社である朝日新聞の大株主であるというのは奇異に聞こえるかもしれないが、極端な株式持ち合いを進めた結果である。

 日本の新聞界で特に異例ではない。毎日新聞グループホールディングスを見てみよう。持ち株会社であるにもかかわらず、同社第2位の株主に100% 子会社の毎日新聞社が登場する。筆頭株主である従業員持ち株会の持ち分を合わせると、ホールディングスの発行済み株式数の2割近くに達する。読売新聞グ ループ本社では役員持ち株会が株式の3割以上を握る。

 役員・従業員持ち株会や系列会社は、株主として議決権を行使することはまずない。株主総会にはいわゆる「白紙委任状」で臨む。株主として経営陣に対して注文をつけないということだ。株式持ち合いで特徴づけられる「日本株式会社」の縮図がここにある。

 このようなガバナンス(統治)構造には深刻な問題が潜んでいる。A社とB社がそれぞれ相手の株式を51%取得しているとしよう。自社株を相手に 売った代金で相手の株式を買っていれば、実質的に一銭も払わないままでお互いに筆頭株主になれる。残りの49%を保有する投資家は実際に株式取得代金を 払っているにもかかわらず、議決権を剥奪されたも同然だ。

 これでは経営に対するチェック機能が働かない。結果として「経営者独裁」が横行する。その意味ではUTサンディエゴやマードック系新聞社と同じである。ただし、同じ経営者独裁でも、日本の新聞社では経営トップはオーナーではなく「サラリーマン社長」である点で異なる。

重要なのは編集の独立性

 たとえ経営者独裁でも、報道機関としての独立性を保てればいいのではないか? ハゲタカファンドや実業家に支配されるよりも、中立公正な報道を手掛けられるのではないか?

 そんなことはない。経営の独立性を保っていれば(身売りなどで会社を売買しなければ)自動的に編集の独立性も保たれるというわけではないのだ。 ジャーナリズムの観点から重要なのは、経営の独立性ではなく編集の独立性である。たとえマードックが経営権を握ったとしても、編集の独立性が保たれている 限りは問題ない。

 それを象徴しているのが、著名投資家ウォーレン・バフェットが率いる投資会社バークシャー・ハザウェイによる地方紙63紙の買収だ。前回の当コラム書いたように、バフェットは各紙の発行人・編集長にあててこう書いている。

(4)

< 紙面編集についてはあなた方は以前と同様にやってください。私は 自分なりの政治信条を持っています。ですが、新聞のオーナーは私ではなくバークシャーであり、バークシャーはいつも政治的に中立です。バークシャー株主の 政治信条を 代弁するために新聞を利用することもありません。実を言うと、紙面不介入方針を伝えるというのもこの手紙を書いている理由の1つなのです >

 つまり、63紙は経営の独立性を失っても編集の独立性は保つわけだ。

経営側の意向が色濃い日本の大新聞

 日本の新聞界ではマードック系新聞社の現状を目の当たりにして「だから経営の独立性が必要」と語る向きが多い。だが、繰り返しになるが、「サラ リーマン社長」がワンマン化して経営者独裁体制を築いていれば、経営の独立性を維持していても実態はマードック系新聞社とあまり変わらない。

 経営側が紙面に介入するという点でもマードック系新聞社と似ている。日本の新聞界では、経営と編集の間に明確なファイアウォール(業務の壁)が築 かれていないのだ。記者として優秀だとある時点でいきなりジャーナリストを卒業し、経営者へ転進してしまう。事実、社長を筆頭に副社長や専務、常務ら幹部 の大半は記者出身者だ。

 これだと記者は「ジャーナリスト」というよりも「サラリーマン」としての立場を優先せざるを得ず、経営幹部の意向にはなかなか逆らえない。たとえ ば、日本の新聞界のドン的な存在である渡辺恒雄。読売新聞グループ本社の会長兼主筆という肩書が示すように、経営の最高責任者であると同時に編集の最高経 営者でもある。

 事実、大新聞の紙面を点検すると、UTサンディエゴのように経営側の意向が色濃く出ている。その代表例が「自社モノ」だ。社長が海外の要人と会見 すれば、内容にニュース性がなくても1面の扱いになる。自社主催の国際会議が開催されれば、成功しようがしまいがやはり1面ニュースの扱いになる。スポー ツニュースであれば、読売新聞は読売ジャイアンツに大きな紙面を割くし、朝日新聞は高校野球に大きな紙面を割く。

 アメリカの新聞社では通常、記者は編集局以外で働かない。最終ポストは社長ではなく、「エグゼクティブエディター」や「マネジングエディター」と 呼ばれる編集局長だ。少なくとも仕組みの上では編集と経営は分離しており、人事交流はほとんどない。多くの場合、社長に選ばれる人材はジャーナリストでは なく経営のプロだ。

 UTサンディエゴではマンチェスターが強力なオーナーとして登場し、ファイアウォールが一気に崩れ去ってしまった。その意味で日本の新聞社に近づいた。ただし、マンチェスターは正真正銘のオーナーであり、オーナーのように振舞う「サラリーマン社長」とは違う。

(文中敬称略)

著者:牧野 洋
『官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪』
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