「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第2部・司法の限界/4 震災で態度一変<毎日新聞>

毎日新聞
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この国と原発:第2部・司法の限界/4 震災で態度一変
毎日新聞 2011年09月20日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20110920ddm002040064000c.html
◎全文転載

(1)

 「非常用発電機2台が同時に壊れる事態は想定していない」。07年2月、静岡地裁の証言席に、班目(まだらめ)春樹・東京大教授(63)=現原子 力安全委員長=が着いた。現在も東京高裁で係争中の浜岡原発運転差し止め訴訟。被告・中部電力側の証人として原発の安全性を力説。「ちょっとの可能性まで 考えていたら設計できない」と述べた。

 審理に高度の専門知識が必要とされる原発訴訟は、「科学裁判」とも呼ばれる。浜岡原発訴訟では計11人の専門家が出廷し、自説を繰り広げた。

 徳山明・元富士常葉大学長(78)=構造地質学=は「想定する東海地震でも安全と、科学的根拠を持って断言でき る」と説明。伯野元彦・東京大名誉教授(79)=地震工学=は「浜岡原発の岩盤は固い地盤の『相良層』で十分な安全性がある」と明言した。いずれも中部電 力側の証人として、原発の安全性を証言した。静岡地裁は07年10月、専門家の証言を引きながら、「安全評価に問題はなく、安全余裕は十分に確保されてい る」として、住民側全面敗訴の判決を言い渡した。

 高度な専門性が絡む原発訴訟。裁判所は安全性について踏み込んだ審理・判断をすることに消極的な姿勢もにじませる。

(2)
 「原発が安全か否かを直接判断する審理方法は相当ではない」。浜岡原発訴訟の2審・東京高裁。10年4月の口頭弁論で岡久幸治裁判長(62)はそう述べ、「判決に必要な審理はほぼ尽くされている」と言い切った。その態度が原告団代表の白鳥良香さん(78)=静岡市葵区=には、「裁判を放棄しているのと同じ」と映った。

 ところが、東日本大震災が発生すると、高裁の態度は一変する。1年ぶりに開かれた7月6日の口頭弁論で、岡久裁判長は「安全性が立証できなければ、(原発は)止めるということが当たり前」と発言。傍聴席からは拍手がわき起こった。

 事故後は専門家の意見も揺れている。班目氏は3月22日の参院予算委員会で、浜岡原発訴訟での証言につ いて問われ、「割り切り方が正しくなかったことを十分反省している。抜本的な見直しがなされなければならない」と述べた。徳山、伯野両氏は毎日新聞の取材 に「原発の審査では津波が弱いという気がしている」「ああいう事態になった以上は、もっと丈夫なものを造るしかない」とそれぞれ話した。想定外の被害が専 門家の認識をも変えた。

 「もう私たちは『オオカミ少年』ではない」。原告弁護団長の河合弘之弁護士(67)は、控訴審で新たに津波被害を争点化するよう求めている。=つづく

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 ■ことば

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市

(3)
 76〜05年、沸騰水型軽水炉の1〜5号機(5号機は改良型)の運転を開始。1、2号機は老朽化を理由に09年に停止した。震災後の5月に国の要請で稼働中の4、5号機を停止し、定期検査中だった3号機の運転再開見送りを決めた。

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html

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