「北の山・じろう」時事問題などの日記

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原発防災指針 拙速避け実効的基準に(3月5日)社説<北海道新聞>

北海道新聞
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原発防災指針 拙速避け実効的基準に(3月5日)社説
2013年3月5日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/446407.html
▼全文転載

 原子力規制委員会が、原発事故時に住民を守るための原子力災害対策指針を改定した。

 昨年10月に示された指針で、原発から8〜10キロ圏だった防災重点区域は30キロ圏に拡大され、5キロ圏は重大事故発生と同時に避難する区域となった。

 改定で、5キロ圏内の住民に甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤を事前配布することなどが追加されたが、まだ多くの課題が残っている。

 原発の周辺自治体が3月中に指針に沿って地域防災計画を策定するため、これに合わせてにわかづくりとなった感が否めない。

 日程ありきで最重要課題の安全対策がなおざりになるのは本末転倒だ。規制委は、時間を十分にかけて指針を練り上げるべきだ。

 今回の改定で、重大事故の際、5キロ圏外で即時避難する放射線量の基準が毎時500マイクロシーベルトとされた。

 国際原子力機関IAEA)の基準値の半分だが、健康に影響が出るとされる100ミリシーベルトに200時間で達する。「それでも高い」との疑問が出るのも当然だ。

 一方、毎時20マイクロシーベルトで1週間以内に一時移転を求めるという。この値でも直ちに避難することもあり得ると読める。その判断を住民任せにすれば、混乱が生じるだろう。

 何より問題なのは、放射線量を測定するモニタリングポストの設置基準が決まっていない点だ。正確な情報を迅速に把握する基盤がなければ、緊急事態に対応できない。

 ヨウ素剤の配布方法や服用の手順も明確にする必要がある。

 福島第1原発事故の教訓を踏まえれば、30キロ圏外に放射性物質が広がる場合の備えも求められる。

 重点区域の拡大で対象の自治体と住民は一挙に増え、道内も従来の4町村から13町村となる。それぞれが病人やお年寄りの避難、交通路の確保といった難問を抱えている。

 防災計画策定にあたって支援と助言を必要としているのに、規制委は失態続きだ。

 原発事故の放射性物質の拡散予測では訂正を繰り返し、参考として示す予定だった計画のモデル作成も断念した。

 締め切り直前のこの時期に、指針の重要な部分が追加されるようでは、それを防災計画に反映させろと言う方が無理だ。

 実際、多くの自治体が期限に間に合わないと予想されている。

 規制委と自治体は日程にこだわらず、細部を詰めて防災対策を実効性あるものにしてもらいたい。

 地域防災計画は原発再稼働の前提である。肝心なのは住民の安全であり、原発を動かすことではない。
北海道新聞
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