「北の山・じろう」時事問題などの日記

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サンデー・トピックス:幌延深地層研トラブル 「情報隠し」不信増幅 /北海道<毎日新聞>

毎日新聞
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サンデー・トピックス:幌延深地層研トラブル 「情報隠し」不信増幅 /北海道
毎日新聞 2013年03月03日 地方版
http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20130303ddlk01040136000c.html
▼全文転載

(図)幌延深地層研究センターの地下施設
http://mainichi.jp/graph/2013/03/03/20130303ddlk01040136000c/001.html
(写真)ガス濃度上昇などのトラブル後、報道陣に公開された調査坑道=幌延深地層研究センターで
http://mainichi.jp/graph/2013/03/03/20130303ddlk01040136000c/002.html

(1)
◇「想定内」公表せず 道や町の対応も不十分

 日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター(幌延町)で2月起きたメタンガス濃度の上昇や地下水 流出をめぐり、住民団体などから「情報隠し」と批判が出ている。同機構は道などの指摘を受け、トラブルの公表基準を見直したが、95年の高速増殖炉「もん じゅ」の事故ビデオ改ざんなど、前身の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)から繰り返される情報隠蔽(いんぺい)体質に、住民らの懸念が増している。【横田 信行】

 ■排水2倍以上

 トラブルは先月6日夜、地下350メートルの坑道工事で発生。メタンガスの濃度が1%を超え、酸欠の恐 れもあるため、自主基準に基づいて作業員が退避。その後、1・5%以上が5分以上続き、作業用電源が自動停止した。メタンガスは5%以上で爆発の危険性が 高まるとされ、作業用電源の同施設での停止は誤作動を除けば初めて。7日には約30メートル離れた側壁からの地下水流出が急増し、通常1時間当たり8〜 30立方メートルだった排水量が一時60立方メートルに増え、20日まで掘削を中断した。

 通常、地下には縦横に走る水脈があり、掘削時の地下水流出は避けられないが、同施設の地盤はメタンガス を含む堆積(たいせき)岩で、ガスが溶け込んだ地下水が閉じ込められている。工事はセメントなどで地下水を抑えながら進めるが、止水による掘削の見合わせ は珍しくなく、メタン濃度の1%超えも過去5、6回あったというが、同施設は「想定内で、工事も中断しておらず、記録もしてこなかった」としている。

 事故やトラブル時の外部への通報・連絡は、内規で(1)死傷者の発生(2)火災・爆発(3)設備の故障 (4)汚染水流出など環境に影響を与える事象(5)妨害破壊行為など社会的影響を与える事象−−の5項目とし、文部科学省経済産業省の監督官庁などに報 告して公表する「通報連絡」と、軽微で道や幌延町などへの連絡にとどめる「お知らせ」に分けている。今回のケースについて同施設はガスの基準超えについて 「お知らせ」と判断し、翌7日に道や幌延町などに連絡。地下水流出は「内規の基準外だが、通常と異なる状況」として、8日以降、道や町に自主的に3回報告 したという。

 ■変わらぬ体質

(2)

 高レベル放射性廃棄物の地下処分の研究をする同施設については、道と幌延町との3者協定で、同機構が積極的な情報公開に努め、道と町が監視すると しているが、今回のトラブルについて道や町、同機構を所管する文部科学省も「協定違反はなく、機構が自主的に発表する問題」として対応を追認する。

 しかし、今回の道への報告時期をめぐっては不自然さも。6日に発生したガス濃度の基準超えについては、道庁で7日午前に道、町との意見交換会が開かれており、その場で報告することもできたが、その会議終了を待って知らせていた。

 担当者は「議題ではないと考えた」と釈明するが、同施設の内規では夜間に発生した「お知らせ」事例につ いて、土・日曜日などの休日を挟まない限り、翌日に速やかに伝えるとしている。また、会議の議題には事業の進捗(しんちょく)状況も含まれており、放射性 廃棄物の地下処分に反対する団体などからは「会議を傍聴していた市民らに知られるのを避けたのではないか」と批判が出ている。

 トラブルは一部報道機関が14日に報じたのを受け、高橋はるみ知事が15日に対応を批判。同機構は18 日になって外部への公表方針を見直し、処理能力を超える恐れのある地下水流出や作業を中断した場合は幌延町以外の周辺町村や報道機関にも連絡することにし たが、具体的な判断基準や公表する時期については示さなかった。

 同機構をめぐっては、幌延と同様の地下工事を実施する「瑞浪超深地層研究所」(岐阜県瑞浪市)で05年 10月、掘削残土から放射性物質のウランが検出されたり、排水から環境基準値を上回るフッ素が検出されたにもかかわらず、県に報告していなかったことが発 覚。172メートルまで掘削していた立て坑は排水ができなくなり、水没したケースがある。

 地元の反対団体「放射能のゴミはいらない!市民ネット岐阜」(岐阜市)の兼松秀代代表は「都合の悪い情 報は隠し、暴露されると言い訳で正当化する体質は変わっていない」と指摘。幌延の地下処分に反対する「核廃棄物処分場誘致に反対する道北連絡協議会」の代 表委員を務める鷲見悟町議は「想定内を強調し、問題を小さくして批判をかわす小手先の対応。道や町の対応も不十分で、当事者としての認識に欠ける」と批判 している。

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 ■ことば

 幌延深地層研究センター

(3)

 日本原子力研究開発機構が、原発の使用済み燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物をガラスで金属製容器の中に固め、地下深く埋める「地層処分」 に関する研究開発を進めている施設。実際に地下坑道を掘削する施設は国内では瑞浪超深地層研究所(岐阜県瑞浪市)と二つだけ。00年度に事業を開始し、期 間は20年程度とされる。05年度に始まった地下掘削では3本の立て坑を地下500メートルまで掘り、水平坑道や研究施設も整備する。当初計画では、10 年度に地下500メートルの研究施設が完成する予定だったが、現在、2本が350メートル、1本は279メートルまでで、工事が大幅に遅れている。

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 幌延深地層研のトラブルの経過◆

 【2月6日20時45分】地下350メートルの坑道掘削現場でメタンガス濃度が1%を超え、従業員退避。さらに1.5%超えが5分以上続き、火災防止のため作業用電源停止

 【同22時】換気で濃度低下し電源復旧

 【7日8時】約30メートル離れた側壁からの地下水流出が急増。排水の総量が一時1時間当たり約60立方メートルに増加し、掘削中断

 【同10時半】道庁で道、幌延町、深地層研による意見交換会

 【同11時半過ぎ】ガス濃度の基準超えについて道など関係機関に報告

 【8日】止水作業開始。地下水流出の急増について関係機関に報告(12、14日に続報)

 【14日】一部の掘削を再開。トラブルについて一部報道機関が報道

 【15日】ホームページで経過を公表

 【18日】公表方針の見直し発表

 【20日】掘削を本格再開

 【26日】幌延町、町議会に事情説明

 【3月1日】道が現地調査

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