「北の山・じろう」時事問題などの日記

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元外交官・東郷和彦氏に聞く(下)「中国は日米の乖離を凝視」<日刊ゲンダイ 2014年3月>

日刊ゲンダイ

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元外交官・東郷和彦氏に聞く(下)「中国は日米の乖離を凝視」
2014年3月16日
http://gendai.net/articles/view/news/148748

※全文転載

米国で生まれている根の深い怒り

 そのアメリカが同盟国の日本に期待しているのは、少なくても東アジアで問題を起こさないで欲しい、アメリカの手を煩わすようなことはやめて欲しいという ことでしょう。いちいち説明しなくても、アメリカの国益の根幹を理解するのは、同盟国として当然のことではないでしょうか。なのに、日本は靖国参拝によっ て、不要に中国を挑発し、自ら中国との対話を袋小路に追いこんだ。同盟国として信じがたい行動として、根の深い怒りがアメリカに生まれています。

 心配なのは、「戦争」と「平和」についての認識もないまま、戦前の日本帝国の栄誉について狭い理解しか持っていない一部の政治家と評論家が、安倍首相の周囲で軍団をつくっているらしいことです。

 国際社会では、A級戦犯軍国主義の象徴ということになっている。そのA級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝するということは、批判の対象になる。私 は靖国の支持者だし、外務大臣だった祖父の東郷茂徳A級戦犯として靖国に合祀されています。しかし、国際社会で定着した見方をひっくり返すにはよほど腰 を据え、時間をかけ、変えるべきものを変えていかない限り、日本人自身も世界も納得する靖国神社にはならない。

 

北方領土に大きく関わってくるウクライナ問題

 安倍首相の外交でひとつだけうまくいっていたのが、ロシア外交でした。安倍首相がソチ五輪の開会式に行ったのは、英断でした。今年の秋にはプーチンの訪日も予定されている。

 実際、いまほど北方領土解決の可能性が高まっている時はないでしょう。

 2012年3月1日、プーチンは大統領になる3日前、日本の記者を含むメディアを集めて「自分が大統領になったら2つのことをする。ひとつは経済関係の 強化。もうひとつは領土問題の解決。領土問題の解決は引き分けだ」「大統領になったら日ロ両国の外務省に“はじめ”と言いましょう」と発言しています。こ れは驚くべき発言です。
 プーチンは、まだ「おわり」とは言っていません。今年から来年がヤマ場になると思うべきでしょう。

 そこに、ウクライナ問題という大きな波乱要因が起きてしまいました。ウクライナ国内は、西半分が親ヨーロッパ、東半分が親ロシアです。ソチ五輪の開催 中、親ロシアのヤヌコビッチ大統領と西の急進勢力が激突し、大統領は追放されてしまった。西中心の大統領代行が選挙を宣言する事態になっています。

 

 さらに、ロシア人の力が強く、ロシアの黒海艦隊も駐留するクリミア半島の人々が、ウクライナからの離脱を求めて声を上げ、プーチンは、クリミアのロシア人の声に呼応して動き始めた。
 西中心の現ウクライナ政府はこれに抗議、アメリカも現政権を支持し、日本を含むG7プーチンに自制を求める声明を出しました。

■中国は日米の乖離をじっと見ている

 さて、これからです。クリミアがどうなり、ウクライナ本土で何が起きるかまだ分からない。ウクライナ問題は、日本の北方領土問題にも大きく関わってくるでしょう。
 もし、事態が暴力化すれば、アメリカは経済制裁を打ち出す可能性が高い。日本が同調すれば、いま開かれつつある日ロの進展は壊れるかもしれない。

 ロシアと欧州の間にあるウクライナは、ユーラシア大陸の戦略的要諦の地です。ここが、EUを向くか、それともロシアを向くかは、これからの世界の力の均 衡の鍵になります。そしてユーラシアの力の均衡の背景には、台頭する中国という、米ロともに無視できない大問題があります。

 

 安倍首相がオバマ政権との間で強固な信頼関係をつくれていれば、この世界の大激動の中で、日本にとっての最重要課題としての領土問題の解決の意味をアメ リカに話しやすかったはずです。しかし、安倍政権靖国という今のアメリカ人には理解されない課題で中国を不要に挑発した。アメリカの利益に不安をあたえ る安倍政権が、さらにウクライナでアメリカの政策から離脱したらどうなるか。恐らく同盟に対するアメリカの猜疑は倍加するでしょう。

 中国はこの日米の乖離を、じっと見ています。その中国と日本は、戦争か平和かの課題を抱えています。実に深刻な事態に日本は突き進みつつあるというべきでしょう。

【とうごう・かずひこ】1945年生まれ。東大卒。外務省入省。条約局長、欧亜局長、在オランダ大使などを歴任。

 

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