「北の山・じろう」時事問題などの日記

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週刊朝日でしかわからないフクシマの現実<dot.(AERA×週刊朝日)2011年9月

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週刊朝日でしかわからないフクシマの現実
(更新 2011/9/20 18:14)
http://dot.asahi.com/news/domestic/2012092600572.html
▼全文転載

◆回収しきれない放射性物質、いかにこれに対応すべきか◆
(元原子力安全委員会委員長代理・住田健二)

 1、2号機はこれまでの 報道で予知していたとおりだった。しかし3号機建屋の破損ぶりは無残としかいいようがない。水素爆発はチェルノブイリ原発の事故でも大破損の原因になって いたので心配され、知識としては知っていたつもりだったが、これだけ激しい爆発で建物がぶっ飛ぶような事態になるとは、お恥ずかしい話ながら、予想できな かった。

 運転休止中の4号機には、使用済み燃料プールに大量の燃料集合体が保管されていた。このプールで燃料集合体が再び核分裂を起こ し再臨界が起こったとの見方も出ていた。正確な中性子測定データが発表されていないので完全に否定はできないが、大丈夫だったようだ。しかし、今回初めて 眺め得た建物の裏側の崩壊からは、大きな余震に見舞われれば、プールの燃料集合体が大量に崩れ落ちてこないか心配になった。原子炉の炉心部のような厳しい 遮蔽(しゃへい)に囲まれていないので、炉心数個分の大量のウラン燃料が崩れ落ちると、たいへん厄介なことになる。何らかの建屋補修が急務だが、高い放射 線量の場所での作業は、容易ではないだろう。

 それと、東京電力は、4号機の破損について3号機から配管を通して水素が漏れて爆発したと説明しているが、これも金属の表面の組成変化を調べれば、水素爆発が原因かどうか、漏出経路も特定できるはず。爆破や材料工学の専門家にも意見を聴いて解明すべきだ。

  一般論になるが、これだけ大きな原発の事故は過去に例がない。放出された放射能チェルノブイリ原発事故の10分の1と言われているが、1号機から4号機 の原発の中にはチェルノブイリの何倍もの放射性物質がまだ残されている。早急にこれらを封じ込めるだけでも大変な作業だが、この先数十年にわたり、これら をしっかりと封じ込め続けなければならない。

 その大問題にはほとんど前例がない。日本が自分たちで答えを出さなければいけない。その点 からも国が責任をもって後始末の方向を明示すべきで、事業者まかせにならぬようにしてほしい。それには、さまざまな立場の専門家が意見を出し合って、対策 をよく考える必要がある。現状はどうだろうか、手を抜かず正面から取り組め、と言っておきたい。それにつけても、もっと情報をオープンにすることが大切。 公開性、透明性はぜひとも必要。原子力三原則の「自主・民主・公開」の原点に立ち返るべき時点にきている。

 たとえば、東京電力は炉心の 核燃料を回収する計画を発表しているが、果たしてこの状態から溶けてぐちゃぐちゃになった燃料を完全に取り出せるのか。この動画では内部の状態がわからな いが、主要な構造や建造物の外観形状は無事だとしても、汚染された建物や機材までをとなると大変。原発全体を片づけるのには、膨大な費用がかかるだろう。 それと、同時に忘れてはならぬことは、全体としてものすごい被曝(ひばく)量が予想される作業になる。住民感情を考えると、完全に更地に復元することが望 ましいが、現実的な選択肢として、ここを回収しきれない放射性物質などの半永久的な貯蔵地として、使わせてもらうことをお願いしなければならないこともあ りうるのではないか。
     *
すみた・けんじ 1930年、大阪府生まれ。大阪大学名誉教授。原子力安全委員会委員、同委員長代理を歴任。日本原子力学会会長も務めた


◆地下に防壁を造らなければ、汚染はさらに拡散する◆
京都大学原子炉実験所助教小出裕章

 福島第一原発事故の状況は公開された写真で理解していたつもりですが、敷地内で撮影された動画を見て、すさまじい破壊が起こったことがよくわかりました。

 原発事故の危険性を訴え続けてきましたが、私もどこか油断があったと思います。ましてや原子力を推進する人たちは、このような破壊が起こるとは想像もしていなかったでしょう。

  運転を止めていた4号機は下のほうまで壁が吹き飛んでいますね。私は当初、建屋内のプールに保管されていた使用済み核燃料から水素が発生して爆発が起こっ たと考えましたが、そうだとすると水素は軽いので建屋の上部が破壊されたはずです。東京電力の説明のように、3号機で発生した水素がダクトを通じて流れ込 んだのかもしれません。

 停止中の4号機には、建屋上部のプールに使用済み核燃料も含めて1535体もの燃料集合体が入っています。崩壊 を防ぐ補強工事がおこなわれたようですが、余震などで建物が崩れ落ちる危険性があります。そうなると強い放射能を出す使用済み核燃料がばらまかれて、だれ も近づけなくなってしまう。

 私は事故直後から、燃料棒が入っている炉心と使用済み核燃料のプールを、ひたすら冷やし続けなければいけないと言ってきました。半年たっても、それに変わりはありません。冷却に失敗すれば再び水蒸気爆発が起こることも考えられます。

  しかも、1号機から3号機の炉心の核燃料は溶融体となって、どこにあるかもわからない。1号機に関しては、溶融体が圧力容器の鋼鉄を溶かして、格納容器の 下部に落ちています。さらに格納容器を溶かして外に出ている可能性が高い。もし、コンクリートの土台や岩盤にめり込んでいれば、いくら水をかけても内部は 冷やせません。水を循環させる冷却システムもできているようですが、高濃度の放射能を含んだ冷却水をためるタンクを遮蔽するものがないのも気になります。

  核燃料の溶融体が地下水と接触すれば放射能汚染が拡大します。それを防ぐために地下に防壁を張り巡らせる必要があると訴えてきました。できるだけ早く造ら なければいけないのですが、敷地にがれきが散乱する中で、しかも10シーベルトなどという放射線が測定される現場で、地下にダムを造るような大がかりな工 事は非常に困難だと思います。それでも造らなければ、放射能汚染は地下から海に拡大していきます。

 2号機、3号機も内部の状況がわかっ てくれば、1号機と同様に核燃料の溶融体が格納容器の外に出ていることが明らかになるでしょう。大気中への放射能汚染も止まっていないので、壊れた建屋全 体を覆う工事も必要です。核燃料の崩壊熱は10年後も10分の1にしかなりません。熱の問題はつきまといますが、ある段階で覚悟を決めて工事を始めなけれ ばなりません。空調を付けて冷やしながらでもやるしかない。

 放射能汚染は非常に深刻です。国は被害を大きく見せないように避難区域を限 定していますが、放射線管理区域を定める日本の法律を厳密に適用するなら、福島県の東半分、宮城県茨城県、栃木県の一部、さらには千葉や東京都のホット スポット地域を無人にしなければいけません。

 原発がいったん事故を起こせば、これだけ大きな取り返しのつかない被害が出るのです。国も電力会社も、ただちに全国の原発を止めるべきです。
     *
こいで・ひろあき 1949年、東京都生まれ。著書に『隠される原子力・核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ』『原発のウソ』などがある


◆2号機の「きれいさ」が原発の耐震脆弱性を示した◆
サイエンスライター田中三彦

 非常に重要な映像ですが、残念ながらこの外観映像だけでは、1~4号機に何が起きたか、政府や東京電力がこれまで言ってきたことは正しいのか、そういうことまでは判断できません。

 とはいえ、いくつか驚くべきこともあります。2号機の原子炉建屋がこれほど"きれい"だったとは。

 しかし、3月15日早朝、地下にあるドーナツ状の格納容器圧力抑制室付近で爆発が起き、圧力抑制室が大きく破損したという事実があります。地上の外観とは裏腹に、地下の部分は相当破損しているはずです。

 東電はいまだにその爆発原因について触れようとしませんが、おそらく地震で圧力抑制室本体の溶接部に亀裂が入り、そこから水素ガスが漏れ出して爆発したのだろうと思っています。

 しかし、もしそうだとすると、原発が、津波ではなく地震の揺れで重大な損傷を負ったという「耐震脆弱(ぜいじゃく)性」の問題が浮き彫りになるので、東電保安院も、2号機の爆発については黙っているということだろうと思います。

 この映像を見てもう一つ興味深いのは、4号機の損傷状況が想像していた以上に無残であるということです。1、3号機の破壊が原子炉建屋上部に集中しているのに対して、4号機の破壊は、全体的です。外見的には1号機以上にひどい。

  ところが、4号機に何が起きたのかを、東電はこれまた詳しく説明していないし、何も断定していません。3号機と共用している排気筒を経由して水素や放射性 物質が4号機に流入し、水素爆発が起きたなどと大まかには説明していますが、流入だけで、あれほど無残なまでに破壊されるのかどうか、きわめて疑問です。

 さらに不可解なのは、4号機の水素爆発は、その映像を見た人が誰もいないこと。映像があるのに政府や東電がそれを隠しているのか、それとも本当に爆発映像が存在しないのか、とても気になります。もしかすると実は4号機も相当激しい水素爆発を起こしたのかもしれません。

  水素爆発の着火源も気になります。水素爆発が起きるには酸素だけでなく、着火源も必要です。一般によくある着火源は電気的スパークですが、全交流電源喪失 状態であったので、電気的スパークは起きようがありません。周辺環境の温度が600度にもなっていれば爆発するでしょうが、とくに4号機の原子炉建屋内が そういう温度になっていたとは考えにくい。

 3号機にいたっては水素爆発ではなく、使用済み核燃料プールで「核爆発」が起きたのではない か、という説もあります。確かに、爆発時にキノコ雲状の爆煙が上昇していくさまはそれをほのめかすのに十分であるようにも思えます。しかし、今回のスクー プ映像から、核爆発を証明することは難しいでしょう。

 と言っても、私が核爆発を否定しているわけではありません。真に重要なことを政府も東電もいっさい明らかにしていないからです。
     *
たなか・みつひこ 1943年、栃木県生まれ。68年に日立製作所の関連会社「バブコック日立」に入社、福島第一原発4号機の圧力容器などの設計に関わった


◆コンクリート壁がはがれ、塗料が焦げない理由◆
北海道大学大学院教授・奈良林直)

 3号機の鉄骨は間もなく撤去されてしまうので、歴史に残る貴重な映像です。

  私は東芝のエンジニアとして研究所にいた2001年、静岡の浜岡原発1号機で起きた蒸気配管断裂事故の原因究明を担当しました。当初は、水が蒸気を凝縮し ながら管内を高速で移動し、衝撃波を生じさせる「ウオーターハンマー(水撃)現象」が疑われ、「老朽化プラントで配管破断」とマスコミに書き立てられまし たが、それでは厚さ1センチ超の炭素鋼の配管が花びらのように飛び散るほどの破壊力を説明できない。試行錯誤の結果、蒸気に混ざった微量の水素と酸素が管 内に少しずつ高濃度で蓄積し、これがあるきっかけで着火し、音速で燃焼が進み1平方センチあたり2トンもの強い衝撃がかかるデトネーション(爆轟)が起き ていたことが判明しました。この結果は、国際会議でも発表し、マスコミにも公表しました。このとき学んだのが真実を公表することの大切さです。原因が究明 されたので、非難は沈静化しました。

 3、4号機でも同様の事象が起きたのでしょう。

 耐震Aクラスの堅固な4号機のコ ンクリート壁が爆風を受けたようにはがれ落ちている一方で、オペレーションフロアに置いてあった格納容器のフタの黄色い塗料や燃料交換機の緑色の塗料が焦 げていません。爆轟現象は短時間に高速で薄い膜状の衝撃波が通過するため、塗料の焦げる時間がなかったのです。3号機でも爆発時の映像に、球状の衝撃波が 写っています。当時の映像では、衝撃波のあと黒い煙と赤い火炎が見えました。オペレーションフロアで爆発し、火災が発生したためと思います。

  4号機は当時、原子炉が定期点検で停止していたため、水素の発生源はオペレーションフロアにある使用済み燃料プールではないかとも言われていました。しか し、プールの水位は十分でした。最近では3号機と4号機をつなぐ配管のフィルターの3号機側が著しく放射線濃度が高かったことから、3号機から漏れた水素 が配管を通じて4号機の建屋に蓄積し、爆発を起こしたといわれています。

 では、なぜ同じ水素爆発を起こしたにもかかわらず、1号機の壁面は、鉄筋の骨組みがきれいに残っているのか。

 これは3、4号機の壁が50センチ以上の厚いコンクリートでできているためです。強固であればあるほど爆発時に壁が受ける圧力は大きくなる。福島第一原発で最も古い1号機の壁はコンクリートパネルを張り付けた強度の弱いものだったうえ、水素濃度も薄かったのです。

 事故発生から6カ月がたち、原発から放出される放射性物質の量は非常に少なくなりました。しかし、いまだに周辺の土地の汚染は放置され、住民は自宅に帰るメドすら立っていない。

  原子力安全委員会の専門委員にも十分な情報は提供されていないのです。私のコメントは公表されたわずかなデータから推測したものですが、政府による情報統 制、「菅政権(当時)による"菅口令"」のうわさを聞きます。野田佳彦首相には、すみやかに情報を公開し、さまざまな立場の研究者が事故原因の究明に取り 組める態勢をつくることを期待します。
     *
ならばやし・ただし 1952年、東京都生まれ。2005年まで東芝で原子炉の安全について研究を行う。現在は内閣府原子力安全委員会専門委員も務める


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