六ケ所村の核燃再処理工場:電事連ですら撤退主張との記事(毎日新聞から){再掲載}
既に、破綻している青森・六ケ所村の核燃再処理工場ですが(巨額の税金の無駄遣い)「電気事業連合会」ですら、青森・六ケ所村の核燃再処理工場からの撤退を主張していたそうです。記事によれば、撤退が決定されたようです。2002年頃からの話のようですが、それが、何故今も継続しているのでしょう??
(1)毎日新聞から全文引用
青森・六ケ所村の核燃再処理工場:電事連でも撤退主張 東電役員「そのまま貯蔵を」
2011年12月3日
東京電力と経済産業省双方の首脳が青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理事業からの撤退について極秘協議していた02年ごろ、東電役員が電力10 社で組織する業界団体「電気事業連合会」の会議で「再処理は高くつくから絶対反対だ」と複数回発言し、他社の首脳にも強く同調を求めていたことが関係者の 証言で分かった。
関係者によると、東電役員は02年ごろ、電事連の会議で再処理事業継続に反対し、漏水事故などトラブルの続出を踏まえ「技術が確立するまで使用済 み燃料は再処理せず、そのまま(プールなどに)貯蔵しておけばいい」と主張した。他の電力会社首脳からは「当面は高くつくが技術開発のために継続すべき だ」との反論も出て、意見はまとまらなかった。
会議に出席していた電力首脳の一人は「(東電役員は)大きな声で何度も撤退を主張した。しかし、巨費を投じており『後に引けない』と思い賛成しな かった」と振り返った。そのうえで「いまだに再処理工場は完成していない。電気料金の値上げさえ避けられない今、電力会社には(さらに料金の値上げにつな がる)核燃サイクルにこれ以上、金をかけるのは難しい」と語った。
経産省関係者によると、再処理工場を建設・運営する「日本原燃」は電力各社が出資し、電事連の構成メンバーとほぼ一致している。このため再処理工場の運営方針について、電事連の会議で協議することがあるという。【核燃サイクル取材班】
毎日新聞 2011年12月3日 東京朝刊
(2)毎日新聞から全文引用
核燃再処理:経産と東電02年に「六ケ所」から撤退で一致
2011年12月2日
核燃サイクルを巡り、東京電力と経済産業省の双方の首脳が02年、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理事業からの撤退について極秘で協議してい たことが関係者の証言などで分かった。トラブルの続発や2兆円超に建設費が膨らんだことを受け、東電の荒木浩会長、南直哉社長、勝俣恒久副社長と経産省の 広瀬勝貞事務次官(いずれも当時)らが撤退の方向で検討することで合意し、再協議することを決めた。しかし3カ月後、東京電力トラブル隠しが発覚し、荒 木、南両氏が引責辞任したことから実現しなかったという。
◇会長の辞任で白紙に
毎日新聞は出席者の氏名や協議の時期、目的などが書かれた経産省関係者のメモを入手し、協議の関係者からの証言も得た。首脳による協議が判明した のは初めて。核燃サイクルを巡っては高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を含め継続の可否が検討される見通しでサイクルのもうひとつの柱である再処理事業で も東電、経産省のトップが9年も前から「撤退を検討すべきだ」と認識していたことは、内閣府の原子力委員会が来年夏をめどに進める原子力政策の見直し作業 に影響しそうだ。
メモや関係者によると、協議は経産省側が「六ケ所村(再処理工場)はいろいろ問題があるようだから首脳で集まろう」と呼びかけて実現し、02年5 月ごろ、東京都内のホテルの個室で行われた。首脳らは「撤退の方向で検討に入る」との意見で一致し、具体的な進め方を再協議することを決めた。さらにその 後、撤退する際に青森県側への説明役を務める東電担当役員も決定したという。
六ケ所村再処理工場の建設費は事業申請時(89年)は7600億円。しかし使用済み核燃料貯蔵用プールからの漏水が相次ぐなどトラブルが続発し、 2兆円を超えることが確実になっていた。本格操業すると将来の解体費用などとしてさらに1兆円以上必要になる。東電など複数の電力会社幹部から「こんなの (再処理事業を)やっても大丈夫なのか」と懸念の声が上がっていたため、経産省側が協議の場を設けたという。しかし02年8月、部品のひび割れなどを隠蔽 (いんぺい)した東電トラブル隠しが発覚し荒木、南両氏が辞任、再協議は実現しなかった。
荒木氏(現東電社友)は「記憶が不確か」として取材を拒否。南氏(現顧問)は協議について「記憶にない」とする一方「当時、経産省との間で再処理 をやめられないか相談が行われており、荒木氏や勝俣氏と議論した」と明かした。勝俣氏(現会長)も協議の有無には答えなかったが「再処理をやるかやらない か5回ぐらい社内で経営会議を開いた」と述べた。広瀬氏は「まったく記憶にない」と話した。【核燃サイクル取材班】
◇六ケ所村の再処理工場
使用済み核燃料から再利用可能なウランとプルトニウムを取り出す工場。東京電力の連結対象会社「日本原燃」(青森県六ケ所村)が建設・運営してい る。極秘協議があった02年当時、工場に放射性物質は流れていなかったが、04年に劣化ウランを流すウラン試験、06年に使用済み核燃料を流すアクティブ 試験に移行。高レベル廃液をガラスで固める工程でトラブルが発生し08年12月以降、試験は中断している。完成予定時期は18回延期され現在は来年10 月。
毎日新聞 2011年12月2日 2時30分(最終更新 12月2日 6時09分)
(3)毎日新聞から全文引用
核燃再処理:経産と東電の「全量再処理」当初から破綻
2011年12月2日
再処理事業推進の両輪である東京電力と経済産業省のトップらが、撤退に向けて極秘に協議していた事実は、使用済み核燃料のすべてを国内で再処理す る「全量再処理路線」が当初から破綻していたことを物語る。「国策民営」の両当事者が経済性、安全性に疑問を持つ事業が現在まで続いている点に、原子力政 策の病巣があると言える。
関係者によると、04年2月ごろまでは東京電力の役員らがたびたび経産省や経産省資源エネルギー庁を訪れ、撤退を模索していた。建設費の膨張、ト ラブルの続出に加え、04年1月には六ケ所村再処理工場を稼働させれば約19兆円もの費用がかかるとの試算も公表された。見通しは悪くなる一方だが撤退を 表明すれば責任問題に直結するため、経産省も東電も撤退方針を打ち出さなかった。
「原子力ムラ」の抵抗も激しかった。その一つが、工場稼働の妨げになるとして内閣府の原子力委員会やエネ庁の一部幹部が、使用済み核燃料受け入れ を提案する02年10月のロシアの外交文書を隠した問題だ。当時の経産省幹部は文書の存在を毎日新聞の報道(11月24日付朝刊)で初めて知り「文書を把 握していれば代替案としてロシアへの核燃料搬出を提示でき、事業撤退への道が開けたかもしれない」と悔しがった。
結果として再処理事業は継続され、19兆円は産業用・家庭用の電気料金に上乗せされている。企業が払う電気料金も最終的に商品価格などに上乗せさ れていると考えると、国民1人当たり約15万円という計算だ。国民負担まで強いた再処理工場は今も稼働しておらず、破綻ぶりは一層明らかになっている。 【清水憲司、太田誠一、松谷譲二】
毎日新聞 2011年12月2日 2時30分(最終更新 12月2日 6時10分)