中小野党が内閣不信任案提出、首相の決断迫る自民<朝日新聞
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中小野党が内閣不信任案提出、首相の決断迫る自民
2012年8月7日21時37分
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201208070132.html
(全文引用)
[東京 7日 ロイター] みんなの党、国民の生活が第一など、消費増税を含む一体改革関連法案に反対する中小野党7党は7日夕、衆議院議長に内閣不信任決議案を提出した。
参議院での同法案採決前に解散の確約を求める自民党も、これを受けて公明党と対応を協議。解散などについての野田佳彦首相の決断を明日の午前中まで待って、次の対応に踏み切る考えを示した。自民党は首相の回答次第では独自の不信任決議案提出も視野に入れており、解散をめぐる与野党の攻防は大きな節目を迎えている。
<首相回答次第で自民は不信任案提出、3党合意は破綻>
自公以外の野党が不信任決議案と問責決議案を提出したことを受け、自民党は7日夕、公明党と幹事長・国対委員長会談を開いた。公明党は一体改革関連法案の採決前に内閣不信任決議案や問責決議案を提出することに慎重な考えをあらためて示したが、解散に関する首相の考えを明日までに確認した上で、連携して協議していくことで一致した。
自民党の石原伸晃幹事長は、首相の決断を促した上で、「しかるべき時に国民の信を問うということをうかがえるものでなければ、わかりましたということにはならない」と、解散の確約が条件であることを繰り返し主張。民自公による3党合意が堅持できるかも、野田首相の決断次第との認識を示した。同党の岸田文雄国対委員長は、あすの午前中までに回答がない場合、自民党として不信任決議案を提出することを考えないといけないとし、問責決議案の提出も検討中だと語った。
一方、自民党の脇雅史参院国対委員長は7日午後、自公以外の野党が内閣不信任決議案を提出した場合、自民党としても賛成せざるを得ないとの考えを示し、独自の内閣不信任案提出を見送っても中小野党の不信任案に同調する可能性を示唆している
これに対して、民主党は7日午後、野田首相が輿石東民主党幹事長と会談、今後の対応について協議した。7日午前には自見庄三郎国民新党代表と野田首相が与党党首会談を行い、不信任案が提出されれば、一致して否決することを確認。
民主党の城島光力国対委員長は7日午後、自民党が不信任案提出を検討していることについて、「一体改革が成立する前に提出することは理解しにくい」と批判。一体改革関連法案の採決前に自民党から不信任案が提出された場合、3党合意は破綻するとの認識を示した。
中小野党の不信任決議案提出を受け、8日に予定されていた一体改革関連法案の委員会、本会議での採決は見送られる見通し。不信任決議案の採決は早くても野田首相が長崎から戻る9日午後以降になる可能性が大きい。
<一体改革法案、廃案のリスク>
野田首相から打開策が打ち出されず、内閣不信任案が採決された場合、自民党などの野党がすべて賛成しても、民主党から15人以上が賛成しなければ否決される見通し。しかし、仮に否決されても、「(自民党が)不信任決議に賛成した以上、その後は審議が進みにくくなり、おそらく法案の成立は極めて難しくなる」(脇自民参院国対委員長)とされる。中小野党7党は野党が多数を占める参議院にも首相の問責決議案を提出しており、同案は可決される見通し。問責可決となれば、政府提出法案への審議に野党が応じず、参議院での審議は実質止まることとなる。
この結果、民主、自民、公明が3党合意で進めてきた一体改革関連法案は成立が困難となる。残された道は参議院で60日間採決されなかった法案を否決とみなし、衆議院で再議決することだが、この場合は衆議院で3分の2以上の賛成が必要で、与党だけでは議決できない。自民党が「不信任案を提出したら3党合意は事実上解消」(岸田国対委員長)とする中では、衆議院、参議院で合わせて200時間以上審議してきた同法案も廃案となる可能性が高まる。
<財政再建に懸念、「日本の政治は厳しい指弾受ける」>
一体改革関連法案の成立が見通せない状況となったことに、政府・与党関係者からは日本の財政への信頼を損ないかねないとして、危機感を表明する声が相次いだ。
安住淳財務相は閣議後の会見で、政局的な理由で一体改革関連法案が成立しない場合は「世界から日本の政治は厳しい指弾を受ける。結果的には、日本の財政に対する信頼を揺るがす大変な事態になりかねない」と警告。「財政再建と成長を地道にやっていかなければ、世界経済が安定しない。日本に求められているのは財政再建だ。内需が堅調なだけに財政に対するしっかりとした見通しを持って日本政府が財政再建に取り組んでいるという姿勢こそが、世界の安定につながると確信している」と述べ、「道を踏み外し始めたと思われたときに、世界は厳しい目で日本をみる」と語った。
国民新党の自見代表は野田首相との党首会談で「日本の財政規律に関して油断と隙を見せることのないよう、きちっとやっていただきたい。国際的視野をしっかり持って、大局に立って対処していただきたいと申し入れた」と述べた。
(ロイター日本語ニュース 吉川裕子、基太村真司、伊藤純夫、石田仁志;編集 山川薫)
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