「北の山・じろう」時事問題などの日記

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福島第一原発事故のテレビ会議映像をひた隠す東京電力経営陣に疑問あり!<現代ビジネス

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山崎元ニュースの深層
2012年08月08日(水) 山崎 元
福島第一原発事故のテレビ会議映像をひた隠す東京電力経営陣に疑問あり!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33201
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33201?page=2
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33201?page=3
(全文引用)

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東京電力下河辺和彦会長(左)と広瀬直己社長(右)〔PHOTO〕gettyimages
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/e/5/600/img_e56ff736320794ee7c37cb321dda3d96153830.jpg

 オリンピックの期間中は、商業的に成り立つテレビや新聞にとって、「日本のメダル獲得個数」のようなニュースが、最も価値のあるニュースになるこ とは仕方のないことだ。それでは、あまりに馬鹿馬鹿しかろうと思う読者は、「現代ビジネス」のようなメディアに接して、物を考えたらいい。

 頭ではそのように分かっているが、それでも、大手メディアのニュースの扱い方に驚くことがある。

 それは、日本新聞協会の東京電力に対する申し入れを報じるニュースだった。『朝日新聞』8月4日朝刊の第37面を開き、息子と一緒に次の一手を考 えるために将棋欄を切り抜こうとした筆者は、その真上に「日本新聞協会が全面公開を要望 東電テレビ会議映像」と見出しを付けた、60行弱のいわゆるベタ 記事を見つけた。

 37面というと、いわゆる「社会面」の前のページだが、この記事の位置は左下で、見出しのフォントも最小クラスだ。記事の途中に、「本社も申し入 れ」、「弁護士ら声明」という小見出しが入っている。だが、このように目立たない位置と大きさで報じるには、随分重要な内容の記事だった。

情報隠匿は東京電力に何の利益ももたらさない

 記事によると、東京電力は、6日から報道関係者に「一定の制限を設けて」福島第一原発の事故を巡って、事故対応に当たった同社の幹部社員のやり取 りを収めたテレビ会議の映像を公開するという。問題は、この制限の内容で、公開期間を1ヵ月に限り、視聴を(報道)各社1人に限り、録音・録画を禁じ、東 電の報告書に名前が載った幹部以外の個人名の報道を禁ずるなどの規制があるという。

 これに対して、日本新聞協会は「テレビ会議の録画映像の公開は極めて公共性が高い。国民の『知る権利』に応えるため、全面公開は不可欠だ」として、制限のない全面公開を行うよう申し入れたという。

(2)

 結局、6日に公開された映像は、不鮮明であるだけでなく、随所に「ぼかし」や発言を遮る「ピー音」が入り、全面公開にはほど遠い5日分の映像にとどまった。7日の新聞各紙は、公開映像の模様を伝えたが、公開が不十分であることに言及しつつも、通り一遍の紹介記事だった。

 現在も継続中の重大な事故を起こし、当面だけでも約1兆円の公的資金が投入され、国民生活への影響も大きい電気料金の値上げを行うとする東京電力 が、今に至っても、第三者による事故の検証を阻む規制を設けて、同社の事故処理の様子を隠そうとしていることは大変重大な問題だ。

 このテレビ会議の模様は、会社としての東京電力と事故当時の幹部社員の責任の有無に大いにかかわる問題だし、菅直人前首相をはじめとする政治家の 責任問題にも深く関わる。もちろん、将来の原発の安全確保(廃棄するとしても、廃炉が終わる日までは)に向けた教訓をも提供する、第一級の資料のはずだ。

 筆者が特に不思議に思うのは、今年の6月27日に就任した東京電力の新経営陣、特に、外部から起用された下河辺和彦氏が何を考えて、この方針を良しとしたのかだ。

 たとえば下河辺氏個人は、福島原発事故の処理に関して直接の責任を負っていないのだし、少なくとも建前上は、東京電力の経営の監視と改革を託され て現在のポストを引き受けたはずなのだから、この映像を隠す理由はない。むしろ、映像を全面公開することは、事故処理に関係のあった同社の幹部社員に対す る牽制を強める効果があるはずだ。

 にもかかわらず、全面公開しないという方針には、「社員と上手く(仲良く)やる方が、自分自身が楽だ」という安易な姿勢を見て取ることができる。 「下の者を信頼して任せる」トップは、社内では好かれるかも知れないが、今回のような真に重要な問題に関しては、トップが下に「丸投げ」していいはずがな い。

 また、そもそもテレビ会議の映像を隠すことは、会社としての東京電力に何の利益ももたらさない。競争上の企業秘密に類する内容を含む映像ではなかろうし、もともと東電は同社の地位を脅かす競争相手がいない独占企業だ。

ミイラ取りはまだ十分にミイラ取りなのか

 福島第一原発事故による会社のイメージの悪化は痛かったが、東電の評判はもうこれ以上落ちようがないところまで悪化したのではないか。テレビ会議 の映像・音声にも批判の対象や話題になる部分が含まれている公算は大きいが、今後の営業には、現在に至っても隠し事を続ける姿勢を批判されるよりも、資料 映像を全面公開するオープンな姿勢をアピールする方がプラスではなかろうか。

(3)

 テレビ会議映像を「隠そうとする」理由は、会社としての東京電力の利益のためではなく、事故に関わった東京電力の何人かの幹部社員個人の利益を守るため以外に考えられない。

 新経営陣は、東京電力に元々いた人たちに早くも取り込まれてしまったのだろうか。

 仮にそうではないとした場合、事故の解明に全面的に協力しない姿勢は会社の評判にとって大きなダメージだし、公開できない秘密を抱えた社員がまだ社内で影響力を持っていることは、今後、東京電力の企業体質を変えていく上で大きな障害になるはずだ。

 メディアはこの問題に関して、下河辺会長にコメントを求めるべきだろう。東京電力に遠慮して、目立たぬベタ記事でアリバイ作りをしている場合ではない。ミイラ取りはまだ十分にミイラ取りなのか、あるいは、既にミイラになってしまったのか。

 蛇足だが、本稿は、「反原発」の立論でもないし、「原発推進」を前提とするものでもない。何れの立場をとったとしても、本件に関する東電のやり方はおかしいのだ。


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