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原発事故時の海洋汚染、予測可能に 若狭湾研究センターが手法開発{福井新聞}

福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/
原発事故時の海洋汚染、予測可能に 若狭湾研究センターが手法開発
(2012年10月23日午後6時02分)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/37618.html
▼全文引用

 若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市)の研究グループが若狭湾沿岸部で放射性物質の分布を調べ、データを基に敦賀半島原発で過酷事故が起きた場合の海洋汚染の変遷を中長期的に予測できる手法を開発した。予測では事故後、敦賀湾の海底が最も影響が残りやすく、30年後の濃度も下がりにくい傾向が分かった。データは漁業再開などの判断材料になり得るとしている。

 開発したのは、辻宏和研究開発部長(60)や伊藤英樹主査研究員(40)らのグループ。国内最多の原発14基が立地する若狭湾沿岸の海洋環境モニタリングシステム構築を目指し、2007年度から5年間、文部科学省の依頼で海流や地形、地質などを調べてきた。

 まず過去の南太平洋での核実験やチェルノブイリ原発事故の影響とみられる若狭湾沿岸の放射性物質の分布を調査。若狭湾内と周辺河川の計130地点で堆積物を採取、分析した。放射性セシウム137(半減期約30年)の濃度は微量だが、小浜市の北川河口や若狭湾沖の大陸棚などで相対的に高かった。

 これまで沿岸域の濃度データはなく、初めて分かった分布データを「初期値」として用い、海面の流れや沈降速度などを加味し、拡散を予測する手法を開発した。

 予測では敦賀半島にある原発6基のうち1基で過酷事故が起き、セシウム137が大気中に放出された―と想定。東京電力福島第1原発事故の1万分の1に相当する1兆ベクレルと仮定し、海面と海底の汚染状況を計算した。

 海面は敦賀湾への海流の影響で湾内にセシウムがとどまるが、海水1リットル当たりの量は1年後に事故前の濃度を下回った。

 海底には若狭湾中心の時計回りの海流で堆積し、1平方メートル当たりのセシウム量が1ベクレル以上になる範囲は敦賀半島の西約30キロまで拡大。年ごとに範囲は狭まり、濃度が最も高くなる敦賀湾内では1年後は1平方メートル当たり10〜50ベクレルで分布し、30年後も10ベクレル以上となった。

 辻部長らは「放出量が増えれば、汚染も比例して上がる」と説明。予測手法開発の意義については「環境修復の指針になる。漁業など産業活動をする際の判断材料にもなり得る」と話している。

 福島の事故を踏まえ、本年度は飛散して陸に降下した放射性物質が陸から海へ流入することも考慮した予測手法に改良するとしている。



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