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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/2 プルサーマルとトラブル隠し<毎日新聞>

毎日新聞
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この国と原発:第7部・メディアの葛藤/2 プルサーマルとトラブル隠し
毎日新聞 2012年10月23日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20121023ddm002040066000c.html
▼全文引用


 ◇「振興」揺れた地元紙

 東京電力福島第1原発6号機の運転開始から2カ月後の79年12月5日、地元紙の福島民報と福島民友は、そろって同原発の完成を記念する8ページの特集を組んだ。米スリーマイル島原発事故の9カ月後のことだ。

 「原子力発電フル回転 代替エネルギーのエース」(民報)、「豊かになった暮らし 地域振興ぐんと進 む」(民友)などの見出しで原発の仕組みの解説や、電源3法交付金で造られた公共施設の紹介、編集幹部と原子力関係者の対談記事などを掲載した。東芝や日 立などのメーカー、東電関連会社の広告も並ぶ。

 民報の対談記事に論説委員長として登場した河田亨氏(81)は「(原発の建つ)双葉郡は何の産業もなかった。原発で発展すると考えていた」と振り返る。

 河田氏は編集主幹だった80年ごろ、東北電力などが参加する原発推進団体「東北原子力懇談会」(現東北エネルギー懇談会)の依頼で宮城県女川町へ講演に出かけ、東北電力女川原発建設予定地の地権者を「津波が来ても原発に避難できる」と説得したという。

 「当時、原発を生かして地域を発展させるには、住民の意識を変えないといけないと思っていた」と言う河田氏は今、「原子力ムラの学者が言う通り、原発は絶対安全だと書いてきたが、本当のことが知らされてこなかった」と語る。


 一方、民友の社説も、原発を地域振興の起爆剤と捉えていた。1号機の営業運転開始翌日の71年3月27日に「県勢振興の新たな誘因にもなろうことを、期待しておきたい」と論じた。

 だが、その後は立地町村に一定の余裕はできたものの「仙台のようになる」といわれた繁栄からはほど遠く、89年の福島第2原発再循環ポンプ破損事故は住民に不安を残した。両紙の報道も変わっていく。大きな転機となったのが01年だ。

 国と東電などは福島第1など全国3原発に、使用済み核燃料から得たプルトニウムも燃料に使うプルサーマルの導入を決めていたが、当時の佐藤栄佐久・福島県知事は慎重だった。原子力行政で県が蚊帳の外に置かれているとの不信があったためだ。

 01年2月8日、東電は佐藤氏の外遊中、佐藤氏の求めていた火力発電所増設の凍結を示唆する。佐藤氏の 不信感は決定的となり、26日にプルサーマル実施を当面認めない方針を表明。5月には県庁内に「エネルギー政策検討会」を発足させ、国の原子力政策の再検 討を始めた。佐藤氏によれば、経済産業省資源エネルギー庁は02年3月、県の頭越しにプルサーマルの安全性を訴えるパンフレット2万2150枚を双葉郡の 町村に配ったという。


 こうした動きを受け、民友の社説は「『地域』はどれだけ『振興』したのか。それを自ら検証しようという機運さえ県民の間にはある」(01年2月11日)と国の原子力行政に疑問を投げかけた。

 民報は連載「岐路に立つエネルギー 原発立地県からの検証」を02年1月に開始。交付金で造った公共施設の維持が自治体財政の重荷となった現状、原発に漠然とした不安を抱く母親の心情などのほか、国や他県の状況も報じ、同年12月まで45回の長期連載となった。

 「核燃料サイクルが未完成なのに、なぜプルサーマルを始めるのかという根本的な疑問があった。原発と共生できるのかという検証も必要だと思った」と当時、県政担当記者として連載を統括した早川正也報道部長(52)は振り返る。

 この連載中、民報には「ウランは、プルサーマルによって長く有効に利用することができます」などと訴える東電の意見広告が頻繁に掲載された。同じものが同じ日の民友にも載った。だが「現場の記者には関係なかった」と早川氏は言う。

 そして02年8月、福島第1原発の検査記録が改ざんされた「トラブル隠し」が発覚。両紙とも連日1面に記事を出し続けた。

 民報の早川氏にはプルサーマルとトラブル隠しを通じ、「書くべきことは書いた」という実感があった。「だから今、忸怩(じくじ)たる思いはあるんですよ。また繰り返されたのか、と」

 民友は取材申し入れに対し、文書で「いずれの局面でも、安全性の担保が第一であるなど県民サイドに立った視点から報道してきました」と回答した。=つづく



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