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社説:敦賀原発の活断層 規制委の判断は当然だ<毎日新聞>

毎日新聞
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社説:敦賀原発の活断層 規制委の判断は当然だ
毎日新聞 2012年12月11日 02時30分
http://mainichi.jp/opinion/news/20121211k0000m070094000c.html
▼全文引用

 原子力規制委員会の有識者による調査団が、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の原子炉建屋直下に活断層が通っている可能性が高いと結論づけた。これを受け、規制委の田中俊一委員長が、2号機の再稼働を認めない考えを表明した。

 活断層の直上に原発の重要施設があると、活断層が地震を起こした時に重大事故につながる。規制委員長の判断は当然のことだ。原電は今後も断層調査を続ける意向を示しているが、運転開始から40年以上過ぎた敦賀1号機ともども、廃炉措置が迫られるだろう。

 活断層の専門家らで作る規制委の調査団は今月初め、敦賀原発を現地調査した。敦賀1、2号機の東約200メートルには「浦底断層」と呼ばれる活断層が走る。そこから枝分かれした複数の断層(破砕帯)が原子炉建屋の下を通っていたからだ。

 10日に開かれた評価会合では、現地調査で新たに見つかった破砕帯が原子炉直下を通る活断層で、浦底断 層と連動する恐れがあることで専門家の意見がほぼ一致した。浦底断層は阪神大震災を上回る規模の地震を起こす可能性があり、原発敷地内にあること自体が異 常だとの意見も出た。最後に、田中委員長が「今のままでは再稼働の安全審査はとてもできない」との見解を示した。

 これまでの経過から浮かび上がるのは、原電の調査の甘さだ。

 浦底断層は、1号機の設置許可時(66年)には存在を知られていなかったが、2号機が営業運転を開始 (87年)した後の91年には学術書に活断層と記載された。それでも原電は否定し続け、04年には3、4号機の増設許可を申請した。活断層と認めたのは 08年3月のことだ。

 電力会社の調査の甘さは、原電だけではない。東日本大震災をきっかけとした再評価作業の過程で、活断層 が見逃されていた可能性のある原発が相次いで浮上した。関西電力大飯原発の敷地を規制委の専門家らが調査した際にも、活断層の疑いがある新たな地層のずれ が見つかり、追加調査を指示したばかりだ。

 敦賀原発の調査に参加した専門家からは「電力会社は無理な解釈を繰り返し、自ら進んで不利になる証拠を出さない」という声も出ている。

 ずさんな電力会社の調査を見逃してきた国の安全審査は、単なる通過儀礼だったのか。そのあり方も、厳しく問われなければならない。

 規制委は策定中の新たな安全基準の中で、活断層の定義を拡大し、原発直近の活断層の評価手法も見直す方針だ。地震国日本にはいたる所に活断層がある。3・11後の活断層研究の進展も踏まえた原発の総点検なしに、再稼働などあり得まい。
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