原子力規制委の非常識「外部識者に6000万円」原発マネー<経済の死角<現代ビジネス
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経済の死角
原子力規制委の非常識「外部識者に6000万円」原発マネー
2012年12月14日(金) フライデー
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34326
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34326?page=2
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▼全文引用
(1)
原発の安全神話が失墜する中、〝原子力ムラ〟から独立した組織として設立された原子力規制委員会(以下、規制委)に、早くも重大な問題が浮上して いる。原発の新しい安全基準を作る検討チームにおいて、「公正かつ中立的な立場」から意見を述べるメンバーとして、10月に6人の「外部有識者」が選定さ れた。しかし、その中立的であるべき6人の識者のうち4人に、6000万円近い〝原発マネー〟が渡っていたことが判明したのだ。
規制委は各識者に、過去3年間の原発関連企業からの寄付や報酬、共同研究費などの有無とその額を報告する「自主申告書」の提出を要求(次ページに 掲載したのは、その一部)。本誌が調査したものと申告書を照らし合わせると、4人の識者へ、以下のような原発マネーが流れていることが明らかになったので ある。
●筑波大学大学院・阿部豊教授
原子炉メーカー・三菱重工から、寄付約600万円。東京電力技術開発研究所から、共同研究費約300万円。
●日本原子力研究開発機構安全研究センター・杉山智之研究主幹
原子燃料工業から、共同研究費約300万円。
●大阪大学大学院・山口彰教授
三菱重工や日本原子力発電などから、寄付約990万円。原子力エンジニアリングから、報酬約50万円。東芝電力システムから、共同研究費約350万円。
●名古屋大学大学院・山本章夫教授
原子燃料工業や関西原子力懇談会などから、寄付約530万円。原子力エンジニアリングなどから、報酬約600万円。三菱重工や原子燃料工業などから、委託研究費約2180万円以上(「申告書」の一部が黒塗りのため詳細分からず)。
上の写真の数時間前、11月29日に行われた新しい原発安全基準検討会の様子。右が山口、左が山本の両教授だ
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いったい何を基準に彼らが選ばれたのか理解に苦しむが、常識的に考えてこれほど多額のカネを原発関連企業から受け取っていながら、公正な判断がで きるとはとても思えない。自身に原発の安全基準を作る資格があると思うか問うため、大阪大の山口教授を直撃した。だが「(取材は)ダメです」と、顔を背け て言うばかり。筑波大の阿部教授と名古屋大の山本教授にも質問状を送ったが、期日までに返答はなかった。唯一応じたのが、日本原子力研究開発機構の杉山氏 である。
「私は、(他の委員のような)寄付や報酬はもらっていません。共同研究費が出ていますが、メーカーと折半して実際かかったコストに充てる必要経費です。私が自由にできるおカネではないのです」
(2)
画像URL
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山本教授が、規制委に提出した「自主申告書」。三菱重工からの委託研究費が黒塗りになっている
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山口教授の申告書。「原子力は効率の良いエネルギー源で簡単に止めてはいけない」というのが持論
言い訳のようにも聞こえるコメントだが、国民の命にかかわる基準を決める委員に選ばれながら、何も答えないという姿勢はさらに深刻だ。元東芝の原子炉格納容器設計者・後藤政志氏が憤る。
(3)
「安全性を議論する委員を選ぶ際には審査が必要だと思いますが、自分 たちに都合のいい人間を集めたのでしょう。大飯原発(福井県)のストレステストへの意見聴取会で、私は山口教授と議論をしましたが、腸が煮えくりかえる思 いでした。原発の安全性を考える場なのに、彼は電力が足りなくなると経済的に問題が出ることなど、発言の多くがバイアスがかかったものなんです。経済的な 視点でものを見るような人たちは、原発の安全性を問う委員として失格だと思います」
失格とまで指摘される識者を、規制委はどんな経緯で選定したのだろうか。規制委の事務局である原子力規制庁の技術基盤課課長補佐・田口達也氏は、 「規制庁で人選案を作り規制委と密に連絡を取り合いながら決めた」と答えるが、多額の原発マネーを受けた人間が安全基準を作るのは問題だろう。田口氏が釈 明する。
「(原発関連企業と)まったくかかわりのない人だけにしようとする と、選択肢が狭くなります。例えば大飯原発だけを対象にした基準なら、関西電力と関係の深い人は問題でしょう。しかし今回作るのは、全国の原発すべてにあ てはまる一般的な安全基準のルールです。情報を透明にすれば、(受けた)金額の有無や大小で除外する必要はないと思います」
一般的には、こうした〝原子力ムラの論理〟が通じるはずはない。発足して日が浅いにもかかわらず、早くも馬脚を現した原子力規制委員会。原発の未来に、暗雲が立ちこめ始めている。
「フライデー」2012年12月21日号より
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