教科書の半数に震災や原発事故の記述<NHK NEWS WEB>
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教科書の半数に震災や原発事故の記述
2013年(平成25年)3月26日 18時12分
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▼全文転載
来年の4月から高校で使われる教科書の検定が終わり、合格した教科書のおよそ半数に、エネルギー政策の在り方など東日本大震災や原発事故に関する記述が盛り込まれました。
今回の検定は、来年4月から高校で使われる教科書を対象に行われ、申請された181冊のうち不合格などになった3冊を除く178冊が、検定意見による修正を加え、合格しました。
内容を見ますと、おととしの東日本大震災や原発事故に関する記述が大幅に増え、地理歴史や公民などを中心に、全体のおよそ48.5%に当たる7教科、64冊に盛り込まれました。
特 に公民の「政治・経済」では、エネルギー問題を多く取り上げていて、ある教科書では、原発はひとたび事故が起きると、人々に取り返しのつかない被害を与え ることから、「脱原発」を推進すべきという意見と、電力の安定供給と経済の発展のためには維持すべきだという異なる意見があることを紹介し、エネルギー政 策の在り方を考えさせる内容となっています。
また、音楽2の教科書には、福島市在住の高校教師で詩人の和合亮一さんの詩をもとにした合唱曲「あなたはどこに」が取り上げられました。
詩は、みずからも被災した和合さんが、震災後のふるさとへの思いなどをつづったもので、和合さんは「震災当時の経験や記憶が込められた詩が歌となって届けられ、一つの記憶として心に残してもらえたらと祈っています」と話していました。
検定に合格した教科書は、ことし5月から東京など7つの都道府県で公開されたあと、各高校が使用する教科書を選び、それをもとに教育委員会が採択することになっています。
尖閣諸島の記述など巡り検定意見も
今回の検定で合格した地理歴史と公民の教科書では、9冊のうち8冊で、韓国との間で領土問題になっている竹島や、中国が領有権を主張している尖閣諸島について記述しています。
このうち公民の政治・経済の4冊の記述には、合わせて7件の検定意見がつきました。
政府は、北方領土や竹島と異なり、尖閣諸島については中国が領有権を主張しているものの領土問題は存在しないという立場を取っています。
このため、ある教科書は「日本もロシアとの北方領土のほか、尖閣諸島・竹島の帰属問題など中国・韓国との間に未解決の問題をかかえている」と記述しましたが、竹島と尖閣諸島を同列に扱っているとして検定意見がつきました。
この結果、「日本もロシアとの北方領土問題、韓国との竹島の帰属問題といった未解決の問題をかかえている。また、中国や台湾当局が尖閣諸島の領有権を主張しているという問題もある」と修正しました。
また、太平洋戦争の末期に沖縄で起きた住民の集団自決については、日本史Aと日本史Bの教科書、合わせて9冊のうち8冊に記述が盛り込まれました。
集団自決を巡っては、6年前の教科書検定で、日本軍が直接的に関与したとする記述が検定意見を受けて削除されたあと、沖縄県の強い反発で教科書会社が記述の訂正を申請し復活が認められた経緯があります。
今 回は、「軍命」や「軍の命令」と記述した教科書はなく、ある教科書に「日本兵による命令によっても集団自決をとげた」という記述がありましたが、「軍の命 令で住民を集合させたという事実はあり、自決そのものを示した表現とは解釈できない」として検定意見はつきませんでした。
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